異世界で教師⁈やらされました

田中 凪

38

思った以上に時間を取られてしまった。どうしようかなぁ。今からクエスト受けても仕方ないしなぁ。街の中フラフラしてもゲーセンとかがあるわけじゃないからつまらないし・・・

ぎゅるるるるる

そんなことを考えていたら、お腹が激しく自己主張してきた。
考える前に飯だな。腹が減ってはなんとやらというし。
たまには、学園の食堂じゃないところに行ってみるか。
街の人達にどこかいい店はないかと尋ねたところ、ホクサイ亭がいいと言われた。ホクサイと聞いてすこし驚いた。北斎って言ったら、あの北斎?東海道五十三次の絵を描いた人?と思い中に入ると・・・いたってシンプルな店だった。この世界での標準がわからないが、ファミレスというよりは、そば屋さんのようだった。どうやら、ホクサイという名前はただの偶然だったようだ。
店「いらっしゃいませ。」
大「今日のおすすめってなんですか?」
店「オススメですか?そうですね、日替わりそば定食ですね。」
え、そばあるの?なんで?俺以外にもこの世界に来た人いるの?
そう思いつつ、聞いてみると
店「はい、店長が東方の島国出身ですので。」
へぇ、夏休みにでも行ってみようかな?しかも、ホクサイってことはその人の苗字が北斎なのかな?
大「とりあえず、そのそば定食でお願いします。」
5分ほど経つと、どこで取ったのか、ゼンマイに似たような山菜などの和え物とローストビーフ(?)と、そばにはあまり合わない(個人論)漬物が出てきた。そばはざるそばだった。だがな、なぜにフォークなんだ?!
大「すいません、箸ってありますか?」
店「ありますが、お客さんもそっち出身なんですか?」
大「ま、まあ、そんなところです。」
正確には違うけどな。
店「わかりました、少々お待ちください。」
すぐに、箸とフォークを取り替えてもらい、そばを堪能していた・・・のだが、隣で何かこそこそやっていたチンピラ風の男達が
チン「店長はいるか!」
と言い出した。
店「どうかなさいましたか?」
チン「はあ?どうかなさいましたか?じゃねえだろうが!麺つゆの中にこんなのが入ってたんだぞ!どうしてくれるんだ?!」
えぇ、こいつら自分で入れておいて何言ってんの?
ん?よく考えたらあれか?ライバルの店がちょっかいを出しに来た的なやつか?
店「そんなわけありません!それはあなた達が勝手に入れただけでしょう?!」
チン「俺たちがそんなことして何になるってんだよ?」
チン「生意気なねーちゃんだなぁ。これはお仕置きが必要か?」
チンピラ風の男達が悪い笑みを浮かべる。もう見てらんねぇ。
大「静かに飯を食えないのか!大迷惑だ!」
チン「あぁ?!んだてめえ!俺らと殺りあおうってのか?!」
大「別にそんなつもりはないぞ。それに、お前らならすぐに片付けられるしな。」
チン「言ったな!!」
その瞬間、5人の男が殴りかかってきた。下手に店を荒らされてもこちらが迷惑だし【ワープ】を使って店の外へ出す。
外に出すと言ってもただ外に出すわけではない。誰もいない広場に、頭から落ちるように出したのだ。
後はどうなったかしらん。俺は再び、そばを楽しむだけだ。
店「あの、さっきはありがとうございました。」
大「いえ、気にしなくていいですよ。このお店も気に入りましたしね。」
店「そうですか。ありがとうございます。」
それから、俺はそば定食を堪能し、店を出た。しかし、東方の島国か。本当に行ってみる価値がありそうだ。

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