死神始めました

田中 凪

大昔の出来事1

時を遡ること数百億、いや、数兆年ほど前のこと。
なにもない、ただの空間に唐突に現れたそれはそっと目を開けた、そこには彼等、5人以外なにもなくただ、果てしない黒い場所があった。
彼等はどこで、いや、誰に造られたのかわからなかった。しかし、役割だけは覚えていた。
死天龍、魂を刈り取る龍。しかし、魂はない。
命天龍、魂を作り出す龍。しかし、作り出した魂はすぐに砕け散る。
創天龍、魂以外の全てを作り出す龍。しかし、創造力が足らないため訓練中。
破天龍、創天龍が作ったものを計画的に壊していく龍。しかし、創天龍はまだなにも作っていないため、なにもできない。
悪天龍、生き物の欲をある程度吸い取り、それを具現化させる龍。しかし、生き物がいないためなにもしていない。
そう、最初はなにもなかった。虚無の空間だった。なにもない空間、変わらない風景、日常。そして、創天龍は力を手に入れた。これでなにもない世界にものが作れる、と彼等はしゃいだ。
そして”宇宙”と呼ばれる黒い球体ができた。しかし、ただの黒い球体ではない。この、彼等がいる世界とは異なった者たちを住まわせるための”庭”が、造られている。
彼等にとってはものすごく小さく、しかし、生み出された生物たちにとっては広大な庭だ。
彼等は生物たちを観察し、改良を施した。欲求に忠実な生物と、欲求はあるがそれを律しようとしている生物が生まれた。彼等はそれをしばし観察し彼等の短い一生をささやかな楽しみとして見ていたのだった。

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