魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
15 集落の話
俺たち3人は転移魔法で直接会議場に転移する。
会議場には真ん中に道を開けて、両サイド対面する形で武龍団の団員が合わせて100名近く整列して立っている。
2列あるうちの左1列目の1番左端に武龍団団長――シュタルクさんがいて、その反対の右1列目の1番右端に母さんがいる。
母さんと目が合うと、1度ニコッと笑ってからまた真面目な顔になって前を向く。
その笑顔に少し緊張がほぐれる。
俺は真ん中に開かれた道の奥を見ると、茣蓙に胡座で座る長がいた。
フリージアお姉ちゃんは初めて転移魔法を体験したのか「え、何、何これ! 一瞬で会議場に着いた!? 面白い!」と1人興奮していた。
そんなフリージアお姉ちゃんは置いといて、俺はアカネと顔を合わせてから道を進み、長から2、3メートル離れたところで止まる。
「うむ、早かったのぉ」
「転移魔法を使ったから……です」
「そんなに畏まらなくてもいいのじゃぞ? ひとまず立って話すのもなんじゃ、座ってくれ」
俺は促されるままにその場に座る。アカネも俺に合わせて隣に座る。
「それにしても何から話したもんかのぉ……」
長は長く伸びた白い顎髭を少しさわってから喋り始める。
「ユーリには集落が今置かれている状況を話すとしよう」
集落が置かれている状況……。
きっとこれからのことに関係する気がする。
俺は長の一言一句聞き逃さないつもりで聴き構える。
「この集落――ドラフヘンはその存在をこれまで外界に秘匿してきた。それは集落の成り立ちに関係しているのじゃ」
「成り立ち?」
「うむ。その前に龍人国ドラシャフトは知っているか?」
「神話時代以降に存在していたといわれている龍人の国のこと?」
大昔、集落とは違う地に龍人は国を建て、栄えていたという。
そして、その初代龍王こそが黒龍王ノワールロワ、つまり師匠だった。
それがどういうわけか国が滅び、生き残ったものが現在の集落をつくったらしい。
そのことについての詳しい資料がないため、滅んだ理由はわからないことが多い。
「そうじゃ。じゃがな、本当は龍人の国は滅んでなどいない。今もなお実在しておる」
「滅んでない!?」
「龍人国……いや龍帝国ヘルシャフトという名に変えて全世界を支配しようとしている」
全世界を支配……?
龍人の国が滅んでないだけでも驚きなのに、わけがわからない。
外の世界は今、どうなっているんだ?
俺が考えている以上に外の世界は危険かもしれない。
このことは大戦と関係するのか?
「その話は驚きだけど、集落の成り立ちにどうつながってくるの?」
聞きたいことはたくさんあるけど、まずはここからだ。
『待て、その話妾が話そう』
その凛とした声が会議場に響くと、俺の腰に差している黒い刀『龍剣ノワールロワ』――師匠が光を放ち、人の姿で俺の背後に現れる。
師匠は俺の肩に手を置いて体を預けてくる。
「師匠っ!?」
「妾は老体なのじゃ。許せ。それにこの方が聞こえやすかろう?」
老体って、見た目は母さんより少し年上ぐらいにしか見えないでしょうが!
だいぶ無茶苦茶なこと言ってるけど、この人はそういう人だってことが修行中にわかったからもう慣れた。
頭の上に何かが乗っかっているのは気のせいだと思おう。
あれ? 隣からすごい殺気が向けられて気がする……ん、右前からもやや殺気が……。
「ユーリ、その女の人は誰なんだ」
母さんがやや語気を強めて言う。
「ま、まさか……このお方は」
長があわあわと今まで見たことがないほど慌てて落ち着きがなくなる。
「この人は……」
「妾は初代龍王、又の名を黒龍王ノワールロワじゃ! いや、今はユーリの剣、龍剣ノワールロワが正しいかのぉ?」
「って感じです」
師匠は「呼び名が増えたのじゃ」と言って笑っていた。
気がつくと周りがザワついていた。
「お初お目にかかります。私この集落ドラフヘンの長を任されております、ベルホルトと申します。初代龍王ノワールロワ様にお会いできたこと大変光栄でございます」
え、何この長の対応。
「ほう! お主、ベルホルトか! それならば妾はお主と会うのは2度目じゃ。まぁ、1度目はまだ何も喋れぬ赤ん坊じゃったがの」
そういえば師匠って長が生まれた頃ぐらいまで生きてたんだっけ。
ん? そう考えると長って老けすぎじゃない?
師匠が若すぎるだけか?
「そうじゃ、ホワイトはどうしている?」
「母はこの集落が出来て直ぐに病で死にました」
「そうじゃったか……」
師匠の声色から少し落ち込んでいるように感じた。
ホワイトという人は長の母親で、師匠とも知り合いだったのだろう。
「母はよくノワールロワ様のことを話していました。強く美しく、そして温かい方だと、その温かさに私は救われたのだと……」
「ホワイトのことは実の娘のように思っていたのじゃ。残念じゃが、心優しかったホワイトのためにも龍帝国の暴動を止めなければな」
「母もノワールロワ様にそのように言って頂き嬉しく思っていると思います」
「うむ……おっと、話が逸れてしまったのじゃ。すまない、ユーリ」
「大丈夫ですよ」
それに師匠も久しぶりに龍人に、それも顔を知っている人に会えたんだ、話したいことは色々あると思う。
「それでは集落が成り立つ前の話をしよう」
読んで頂きありがとうございます!!
中途半端なところできれてますが、お許し下さい!
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会議場には真ん中に道を開けて、両サイド対面する形で武龍団の団員が合わせて100名近く整列して立っている。
2列あるうちの左1列目の1番左端に武龍団団長――シュタルクさんがいて、その反対の右1列目の1番右端に母さんがいる。
母さんと目が合うと、1度ニコッと笑ってからまた真面目な顔になって前を向く。
その笑顔に少し緊張がほぐれる。
俺は真ん中に開かれた道の奥を見ると、茣蓙に胡座で座る長がいた。
フリージアお姉ちゃんは初めて転移魔法を体験したのか「え、何、何これ! 一瞬で会議場に着いた!? 面白い!」と1人興奮していた。
そんなフリージアお姉ちゃんは置いといて、俺はアカネと顔を合わせてから道を進み、長から2、3メートル離れたところで止まる。
「うむ、早かったのぉ」
「転移魔法を使ったから……です」
「そんなに畏まらなくてもいいのじゃぞ? ひとまず立って話すのもなんじゃ、座ってくれ」
俺は促されるままにその場に座る。アカネも俺に合わせて隣に座る。
「それにしても何から話したもんかのぉ……」
長は長く伸びた白い顎髭を少しさわってから喋り始める。
「ユーリには集落が今置かれている状況を話すとしよう」
集落が置かれている状況……。
きっとこれからのことに関係する気がする。
俺は長の一言一句聞き逃さないつもりで聴き構える。
「この集落――ドラフヘンはその存在をこれまで外界に秘匿してきた。それは集落の成り立ちに関係しているのじゃ」
「成り立ち?」
「うむ。その前に龍人国ドラシャフトは知っているか?」
「神話時代以降に存在していたといわれている龍人の国のこと?」
大昔、集落とは違う地に龍人は国を建て、栄えていたという。
そして、その初代龍王こそが黒龍王ノワールロワ、つまり師匠だった。
それがどういうわけか国が滅び、生き残ったものが現在の集落をつくったらしい。
そのことについての詳しい資料がないため、滅んだ理由はわからないことが多い。
「そうじゃ。じゃがな、本当は龍人の国は滅んでなどいない。今もなお実在しておる」
「滅んでない!?」
「龍人国……いや龍帝国ヘルシャフトという名に変えて全世界を支配しようとしている」
全世界を支配……?
龍人の国が滅んでないだけでも驚きなのに、わけがわからない。
外の世界は今、どうなっているんだ?
俺が考えている以上に外の世界は危険かもしれない。
このことは大戦と関係するのか?
「その話は驚きだけど、集落の成り立ちにどうつながってくるの?」
聞きたいことはたくさんあるけど、まずはここからだ。
『待て、その話妾が話そう』
その凛とした声が会議場に響くと、俺の腰に差している黒い刀『龍剣ノワールロワ』――師匠が光を放ち、人の姿で俺の背後に現れる。
師匠は俺の肩に手を置いて体を預けてくる。
「師匠っ!?」
「妾は老体なのじゃ。許せ。それにこの方が聞こえやすかろう?」
老体って、見た目は母さんより少し年上ぐらいにしか見えないでしょうが!
だいぶ無茶苦茶なこと言ってるけど、この人はそういう人だってことが修行中にわかったからもう慣れた。
頭の上に何かが乗っかっているのは気のせいだと思おう。
あれ? 隣からすごい殺気が向けられて気がする……ん、右前からもやや殺気が……。
「ユーリ、その女の人は誰なんだ」
母さんがやや語気を強めて言う。
「ま、まさか……このお方は」
長があわあわと今まで見たことがないほど慌てて落ち着きがなくなる。
「この人は……」
「妾は初代龍王、又の名を黒龍王ノワールロワじゃ! いや、今はユーリの剣、龍剣ノワールロワが正しいかのぉ?」
「って感じです」
師匠は「呼び名が増えたのじゃ」と言って笑っていた。
気がつくと周りがザワついていた。
「お初お目にかかります。私この集落ドラフヘンの長を任されております、ベルホルトと申します。初代龍王ノワールロワ様にお会いできたこと大変光栄でございます」
え、何この長の対応。
「ほう! お主、ベルホルトか! それならば妾はお主と会うのは2度目じゃ。まぁ、1度目はまだ何も喋れぬ赤ん坊じゃったがの」
そういえば師匠って長が生まれた頃ぐらいまで生きてたんだっけ。
ん? そう考えると長って老けすぎじゃない?
師匠が若すぎるだけか?
「そうじゃ、ホワイトはどうしている?」
「母はこの集落が出来て直ぐに病で死にました」
「そうじゃったか……」
師匠の声色から少し落ち込んでいるように感じた。
ホワイトという人は長の母親で、師匠とも知り合いだったのだろう。
「母はよくノワールロワ様のことを話していました。強く美しく、そして温かい方だと、その温かさに私は救われたのだと……」
「ホワイトのことは実の娘のように思っていたのじゃ。残念じゃが、心優しかったホワイトのためにも龍帝国の暴動を止めなければな」
「母もノワールロワ様にそのように言って頂き嬉しく思っていると思います」
「うむ……おっと、話が逸れてしまったのじゃ。すまない、ユーリ」
「大丈夫ですよ」
それに師匠も久しぶりに龍人に、それも顔を知っている人に会えたんだ、話したいことは色々あると思う。
「それでは集落が成り立つ前の話をしよう」
読んで頂きありがとうございます!!
中途半端なところできれてますが、お許し下さい!
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