魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
4 くすぐり
1名放心状態、1名逃走により話し合いは延期となった。
少し落ち着いてきた母さんを家まで送り、俺はセレーナを探すことにした。
アカネが俺の服をくいくいっと引っ張る。
「あの女を探すの?」
「アカネ、あの女じゃないぞ。セレーナだ」
「そっ」
なぜか不機嫌になったアカネは俺の影に再び潜り込む。
慣れない場所、知らない人ばかりで不安になるのもわかるがこれから一緒に過ごすことになるのだから仲良くして欲しい。
そう思うのは押しつけなのだろうか。
確かに俺のわがままで集落に帰って来たが、集落のみんなは優しくて温かい人ばかりだ。
きっとアカネのことも受け入れてくれる。
どうしたらいいもんかなぁ……。
ひとまずセレーナを見つけて、まずはお互いを知るところからだ……なんてこと昔の俺なら考えもしなかっただろうな。
探し方は指輪から魔力を辿るのもありだが手っ取り早く行こう。
俺は一瞬にして集中力を極限まで高め魔力感知を使う。
集中力を一瞬で高める方法は修行によって習得したものだ。
これにより魔法の正確さなども格段に向上した。
「そこか」
場所はここから近い森の少し開けた場所みたいだ。
ん? 魔法を使ってる? セレーナ、魔法を使えるようになったんだ。
やっぱり知らない間に変わったこともあるよね。
俺は転移魔法でセレーナから少し離れた場所に転移する。
「求めるは水。水よ槍となりて貫け」
セレーナは一言、一言に思いを込めて詠唱している。
その姿を見て、自分が初めて魔法を使った時のことを思い出す。
まぁ今では詠唱をしなくても魔法が使えるようになったんだけどね。
『ウォーターランス』
少し離れたところにある1本の木に向かってセレーナは両手を伸ばし詠唱を終える。
魔力が流れをつくり魔法陣が描かれ始めた。
しかし、魔法陣があと少しのところで消え去ってしまう。
「やっぱりダメ……」
「全身に力が入りすぎてるよ」
「ユーリくん!?」
セレーナは近くまで来た俺の方へと振り返りわかりやすいくらいに驚いている。
「ずっと見てたの?」
「ウォーターランスの詠唱をしてるところからかな」
「よかった……」
「何か言った?」
「ううん! 何でもないよ!」
声が小さくて聞き取れなかったけど、まぁセレーナが何でもないって言ってるしいいか。
俺はセレーナの横まで近づく。
もう落ち着いているみたいで、また走り去られてしまうことはなさそうだ。
「でもちょっと残念。本当は上手くできてるところを見て欲しかったのに」
「俺はすごいって思ったよ? この短期間で中級の魔法を使うまでになってるなんてさ」
「本当?」
「よく頑張ったね、セレーナ」
「うん」
俺はセレーナの頭を軽くポンポンと撫でる。
さっきまで気分が落ちていたとは思えないくらいに、セレーナは満面の笑みを浮かべ嬉しそうにしている。
セレーナの笑顔が見れてよかった。
「ユーリくん。わたしに魔法を教えてくれる?」
遠慮する必要なんてないのにセレーナは遠慮がちにでもしっかり上目遣いで聞いてくる。
俺は迷うことなく答えた。
「よろこんで!」
***
早速、マンツーマンの魔法実技講座を始める。
「よろしくお願いします、ユーリ先生」
待って、ユーリ先生は破壊力がすごい。
俺は不意打ち気味に(愛嬌的)精神攻撃を食らう。
「う、うん。任せて」
動揺からかぎこちない喋りになってしまった。
セレーナはというと、もし尻尾があったなら振りまくっていたに違いない。
「まずはさっきと同じ魔法をもう一度発動してみようか」
「うんっ」
言われた通りにセレーナは先ほどと同じように詠唱を始める。
「求めるは水。水よ槍となりて貫け」『ウォーターランス』
詠唱が終わると魔力の流れが荒々しく魔方陣を描き始め、またもや完成せずに消え去ってしまう。
セレーナは魔方陣が消え去った虚空を見つめひとつため息をついた。
「むー、上手くできるときもあるのに」
「セレーナ、両手を空に向かって真っ直ぐ伸ばしてみて」
「うん」
何でだろうっと言った表情を見せつつもセレーナは真っ直ぐ両手を伸ばす。
これで魔法を使えるように……というわけではないが、これからすることに大いに関係する。
「うん、そのままでいてね」
「え? ……ちょっ、まって、あははははっ、く、くすぐったいよ、はははっ、ゆ、ゆーりくん!? あははははははっ」
俺は今何をしているのかというとセレーナの脇腹を全力でくすぐっている。
「ひゃんっ……くくくく、だめ、まって、あはははは……もう、ゆるして~」
「こちょこちょこちょこちょこちょ」
勘違いしないで欲しい。
これはセレーナのためを思ってやっているわけで、ちょっとくすぐるつもりが意外と楽しくなってきたとかそういうわけではない。
なぜくすぐっているのか。それはセレーナをリラックスさせるためだ。
魔法を使うときにセレーナは全身に力が入ってしまっている。
手っ取り早く全身をほぐすにはくすぐりが1番だ。
俺は魔力を具現化し更に腕を10本増やす。
4つの手が捕捉し残りの手がセレーナを容赦なく襲う。
「ゆ、ゆーりくんの悪魔ぁー!!」
「フハハハハー」
読んで頂きありがとうございます!!
今回も日常パートというわけで、しばらく日常パートになりそうです。
展開が変わるまでもう少しお付き合いください!
少し落ち着いてきた母さんを家まで送り、俺はセレーナを探すことにした。
アカネが俺の服をくいくいっと引っ張る。
「あの女を探すの?」
「アカネ、あの女じゃないぞ。セレーナだ」
「そっ」
なぜか不機嫌になったアカネは俺の影に再び潜り込む。
慣れない場所、知らない人ばかりで不安になるのもわかるがこれから一緒に過ごすことになるのだから仲良くして欲しい。
そう思うのは押しつけなのだろうか。
確かに俺のわがままで集落に帰って来たが、集落のみんなは優しくて温かい人ばかりだ。
きっとアカネのことも受け入れてくれる。
どうしたらいいもんかなぁ……。
ひとまずセレーナを見つけて、まずはお互いを知るところからだ……なんてこと昔の俺なら考えもしなかっただろうな。
探し方は指輪から魔力を辿るのもありだが手っ取り早く行こう。
俺は一瞬にして集中力を極限まで高め魔力感知を使う。
集中力を一瞬で高める方法は修行によって習得したものだ。
これにより魔法の正確さなども格段に向上した。
「そこか」
場所はここから近い森の少し開けた場所みたいだ。
ん? 魔法を使ってる? セレーナ、魔法を使えるようになったんだ。
やっぱり知らない間に変わったこともあるよね。
俺は転移魔法でセレーナから少し離れた場所に転移する。
「求めるは水。水よ槍となりて貫け」
セレーナは一言、一言に思いを込めて詠唱している。
その姿を見て、自分が初めて魔法を使った時のことを思い出す。
まぁ今では詠唱をしなくても魔法が使えるようになったんだけどね。
『ウォーターランス』
少し離れたところにある1本の木に向かってセレーナは両手を伸ばし詠唱を終える。
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しかし、魔法陣があと少しのところで消え去ってしまう。
「やっぱりダメ……」
「全身に力が入りすぎてるよ」
「ユーリくん!?」
セレーナは近くまで来た俺の方へと振り返りわかりやすいくらいに驚いている。
「ずっと見てたの?」
「ウォーターランスの詠唱をしてるところからかな」
「よかった……」
「何か言った?」
「ううん! 何でもないよ!」
声が小さくて聞き取れなかったけど、まぁセレーナが何でもないって言ってるしいいか。
俺はセレーナの横まで近づく。
もう落ち着いているみたいで、また走り去られてしまうことはなさそうだ。
「でもちょっと残念。本当は上手くできてるところを見て欲しかったのに」
「俺はすごいって思ったよ? この短期間で中級の魔法を使うまでになってるなんてさ」
「本当?」
「よく頑張ったね、セレーナ」
「うん」
俺はセレーナの頭を軽くポンポンと撫でる。
さっきまで気分が落ちていたとは思えないくらいに、セレーナは満面の笑みを浮かべ嬉しそうにしている。
セレーナの笑顔が見れてよかった。
「ユーリくん。わたしに魔法を教えてくれる?」
遠慮する必要なんてないのにセレーナは遠慮がちにでもしっかり上目遣いで聞いてくる。
俺は迷うことなく答えた。
「よろこんで!」
***
早速、マンツーマンの魔法実技講座を始める。
「よろしくお願いします、ユーリ先生」
待って、ユーリ先生は破壊力がすごい。
俺は不意打ち気味に(愛嬌的)精神攻撃を食らう。
「う、うん。任せて」
動揺からかぎこちない喋りになってしまった。
セレーナはというと、もし尻尾があったなら振りまくっていたに違いない。
「まずはさっきと同じ魔法をもう一度発動してみようか」
「うんっ」
言われた通りにセレーナは先ほどと同じように詠唱を始める。
「求めるは水。水よ槍となりて貫け」『ウォーターランス』
詠唱が終わると魔力の流れが荒々しく魔方陣を描き始め、またもや完成せずに消え去ってしまう。
セレーナは魔方陣が消え去った虚空を見つめひとつため息をついた。
「むー、上手くできるときもあるのに」
「セレーナ、両手を空に向かって真っ直ぐ伸ばしてみて」
「うん」
何でだろうっと言った表情を見せつつもセレーナは真っ直ぐ両手を伸ばす。
これで魔法を使えるように……というわけではないが、これからすることに大いに関係する。
「うん、そのままでいてね」
「え? ……ちょっ、まって、あははははっ、く、くすぐったいよ、はははっ、ゆ、ゆーりくん!? あははははははっ」
俺は今何をしているのかというとセレーナの脇腹を全力でくすぐっている。
「ひゃんっ……くくくく、だめ、まって、あはははは……もう、ゆるして~」
「こちょこちょこちょこちょこちょ」
勘違いしないで欲しい。
これはセレーナのためを思ってやっているわけで、ちょっとくすぐるつもりが意外と楽しくなってきたとかそういうわけではない。
なぜくすぐっているのか。それはセレーナをリラックスさせるためだ。
魔法を使うときにセレーナは全身に力が入ってしまっている。
手っ取り早く全身をほぐすにはくすぐりが1番だ。
俺は魔力を具現化し更に腕を10本増やす。
4つの手が捕捉し残りの手がセレーナを容赦なく襲う。
「ゆ、ゆーりくんの悪魔ぁー!!」
「フハハハハー」
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