魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
14 契約魔法
『契約魔法』とは基本的に、魔獣との主従関係を結ぶ魔法のことである。
契約を結んだ魔獣は契約主である術者に従って行動する。そのため、契約した魔獣を“使い魔”と呼ぶことがある。
契約には条件があり、それを満たしていなければ契約は成立しない。
その条件とは魔獣が術者を主人として認めているかどうかである。
知能が高い魔獣ほど契約は難しく、大抵の場合は力の差を見せつけて認めさせることが多い。
しかし、魔獣と契約した者は少ない。
それは人の言葉を理解できるほどの魔獣が少ないということ。また、理解できる魔獣は最上級などの強い魔獣がほとんどだからである。
そんなわけで、俺は貴重な機会を逃さぬように膝の上にいるブラッドウルフに問いかける。
「なぁ、俺の相棒になってくれないか?」
俺はしばらく、ブラッドウルフの様子を伺うことにする。
ブラッドウルフの目に敵意は感じない。
まぁ、そもそも膝の上に乗っているくらいだから、敵意がある方がおかしな話だ。
すっと、急にブラッドウルフが立ち上がり俺の膝から離れて行く。
やっぱりダメだったか……。
俺は思ったよりも落ち込んでしまう。
心のどこかでは予想していたことではあるが、実際にそうなってしまうと悲しくなる。
それは一瞬でも心が通じ合った気がしていたからだ。
数歩進んだブラッドウルフが立ち止まる。
別れの挨拶なんざいらねぇーよ。
俺のくだらない思考とは別に、ブラッドウルフは俺の方へと向き直す。
柔らかな白毛が揺れ、鋭い茜色の眼が俺を見つめる。
「ありがとな」
俺はこの森に入ってから初めて笑う。
また会いたいと、素直にそう思った。
「ガウッ!」
ブラッドウルフが、またなっと言っているように……見えない?
その目は何かを訴えていて、俺は少し経ってから理解する。
「お前……」
ブラッドウルフは頭を少し下げる。
俺は立ち上がり、ブラッドウルフの側へと近づく。
イメージする魔法は、ただ1つ。
「求めるは契約」
俺たちの下に大きな魔法陣が展開されていく。
「契約の鎖よ、我に従いし魔なる獣へと繋げ」
魔法陣が完成する。
『リンケージ』
魔法陣から現れる白光の鎖は俺の左腕と、ブラッドウルフの首に巻きつく。
しかし、魔法はそこから動きを見せなくなる。
あぁ、そうか。
「まだ名前を決めてなかったな」
「ガウッ」
俺は目の前にいるブラッドウルフの顔を少しばかり見つめる。
夕焼けに染まった空のような茜色の眼。
安直かもしれないけど――――
『アカネ』
「ガウッ!!」
すると、俺たちに巻きついていた白光の鎖は砕け散り、魔法陣も消える。
契約が完了した。
「これからよろしくな、アカネ」
「ガウぅ」
アカネは甘えるように俺の脚に擦り寄る。
そんなアカネの頭を俺はポンッポンッと軽く撫でて笑う。
頼りになる相棒が出来た。
吸血狼の“アカネ”だ。
夕焼けに染まった空のような茜色の眼をしているから、アカネだ。
安直だが、そんなに悪くないと思っている。
あ、そういえばアカネってオスか? メスか?
まぁ、別に気にしなくてもいいか。
「よしっ、行くか」
「ガウッ!」
俺は、いや俺たちは一歩を踏み出し、再び前へと進み始めた。
契約を結んだ魔獣は契約主である術者に従って行動する。そのため、契約した魔獣を“使い魔”と呼ぶことがある。
契約には条件があり、それを満たしていなければ契約は成立しない。
その条件とは魔獣が術者を主人として認めているかどうかである。
知能が高い魔獣ほど契約は難しく、大抵の場合は力の差を見せつけて認めさせることが多い。
しかし、魔獣と契約した者は少ない。
それは人の言葉を理解できるほどの魔獣が少ないということ。また、理解できる魔獣は最上級などの強い魔獣がほとんどだからである。
そんなわけで、俺は貴重な機会を逃さぬように膝の上にいるブラッドウルフに問いかける。
「なぁ、俺の相棒になってくれないか?」
俺はしばらく、ブラッドウルフの様子を伺うことにする。
ブラッドウルフの目に敵意は感じない。
まぁ、そもそも膝の上に乗っているくらいだから、敵意がある方がおかしな話だ。
すっと、急にブラッドウルフが立ち上がり俺の膝から離れて行く。
やっぱりダメだったか……。
俺は思ったよりも落ち込んでしまう。
心のどこかでは予想していたことではあるが、実際にそうなってしまうと悲しくなる。
それは一瞬でも心が通じ合った気がしていたからだ。
数歩進んだブラッドウルフが立ち止まる。
別れの挨拶なんざいらねぇーよ。
俺のくだらない思考とは別に、ブラッドウルフは俺の方へと向き直す。
柔らかな白毛が揺れ、鋭い茜色の眼が俺を見つめる。
「ありがとな」
俺はこの森に入ってから初めて笑う。
また会いたいと、素直にそう思った。
「ガウッ!」
ブラッドウルフが、またなっと言っているように……見えない?
その目は何かを訴えていて、俺は少し経ってから理解する。
「お前……」
ブラッドウルフは頭を少し下げる。
俺は立ち上がり、ブラッドウルフの側へと近づく。
イメージする魔法は、ただ1つ。
「求めるは契約」
俺たちの下に大きな魔法陣が展開されていく。
「契約の鎖よ、我に従いし魔なる獣へと繋げ」
魔法陣が完成する。
『リンケージ』
魔法陣から現れる白光の鎖は俺の左腕と、ブラッドウルフの首に巻きつく。
しかし、魔法はそこから動きを見せなくなる。
あぁ、そうか。
「まだ名前を決めてなかったな」
「ガウッ」
俺は目の前にいるブラッドウルフの顔を少しばかり見つめる。
夕焼けに染まった空のような茜色の眼。
安直かもしれないけど――――
『アカネ』
「ガウッ!!」
すると、俺たちに巻きついていた白光の鎖は砕け散り、魔法陣も消える。
契約が完了した。
「これからよろしくな、アカネ」
「ガウぅ」
アカネは甘えるように俺の脚に擦り寄る。
そんなアカネの頭を俺はポンッポンッと軽く撫でて笑う。
頼りになる相棒が出来た。
吸血狼の“アカネ”だ。
夕焼けに染まった空のような茜色の眼をしているから、アカネだ。
安直だが、そんなに悪くないと思っている。
あ、そういえばアカネってオスか? メスか?
まぁ、別に気にしなくてもいいか。
「よしっ、行くか」
「ガウッ!」
俺は、いや俺たちは一歩を踏み出し、再び前へと進み始めた。
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