魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
13 吸血狼
え?
先ほどまで共に戦っていた茜眼の白狼は現在、俺の左手を噛んでいる。それもがっしりと。
まさかの展開に動揺していると、噛まれている手の甲に魔法陣が浮かび上がる。未だ俺の手には白狼の牙が突き刺さったままだ。
すると、手の先から何かが抜けていく感覚が俺を襲う。
だが、不思議と俺の中の危機感は今この状況に反応していない。
もう、なるようになれ……。
俺は疲れからなのか、それとも白狼のせいなのか分からないが脱力感に抗うことも出来ず、その場に座り込む。
手の甲から流れ出る血は白狼の口の中へと流れ込み、そのまま喉の奥へと消えていく。
しばらく(と、言っても数秒だが)経った頃、白狼が牙抜いて少しさがる。
気がつけば手の甲の魔法陣は消え、牙が突き刺さった痕も消え去っていた。
「終わった……のか?」
そんな疑問も束の間、急に白狼が体を震わせる。
つ、次は何だ?
白狼の足下に“緋い”魔法陣が浮かび上がる。
魔法陣から溢れ出る“緋色の魔力”は、白狼の中へと流れ込んでいく。白狼の魔力が回復していくのが感じ取れる。
これは!
全ての魔力が白狼の中へ流れきるが、その魔力の多さ故に体から魔力が漏れ出している。
その緋い魔力は、まるで燃え上がる炎のように激しく、時に静かに揺れ動く。
『ガウゥゥオォォ!!!』
白狼の遠吠えが森の隅々まで響き渡る。
「ブラッドウルフ……」
ブラッドウルフ。通称『吸血狼』であり、書物によれば絶滅したとされている魔獣だ。
魔力量、魔力操作は上級魔術師のそれと同等、もしくはそれ以上とまで言われており、種族魔法以外の魔法使える魔獣の一種だ。
しかし、本当の力は他にある。
吸血狼と呼ばれるように、ブラッドウルフは血を吸血することで本領を発揮する。
目の前のブラッドウルフが、先ほど俺から血を吸血したように、血を摂取することで魔力の回復、自身の強化が可能となるらしい。
「ガウッ!」
「ん? どうした?」
ブラッドウルフが俺の側へと近づく。
「ま、まさか、また血が欲しいとかじゃないよな?」
俺は血を吸われる独特な感覚を思い出し、少し腰を引いてしまう。
お、おやめくだせぇ!
ブラッドウルフが俺の手を……
ペロッ
「あれ?」
ブラッドウルフは俺の左手をペロペロと舐めたり、頬擦りしている。まるで飼い主に懐いている犬のように見える。
可愛いなコイツ。
俺はさりげなくブラッドウルフの背中を撫でる。
や、ヤバイ! 毛がふっわふわだ。
森の中だというのに無我夢中でモフリだす俺。
頭から腰にかけてゆっくりと優しく撫でると、心なしかブラッドウルフが嬉しそうな顔をしているように見える。
気がつけば俺が座っている膝の上にブラッドウルフが体を乗せていて、俺もブラッドウルフのふわふわで柔らかい毛並みを堪能していた。
「ガウぅ」
「あーいいなぁ、これ」
ブラッドウルフは伸びきった欠伸をする。俺も緊張感のない声を出してしまう。
ふと、あることを思い出す。
長の家で読んだ書物に載っていた、ある魔法のことだ。
確か『契約魔法』だったかな?
視線を感じ俺はブラッドウルフの方を見る。ブラッドウルフと目が合い、案外いけるような気がしてくる。
『なぁ、俺の相棒になってくれないか?』
先ほどまで共に戦っていた茜眼の白狼は現在、俺の左手を噛んでいる。それもがっしりと。
まさかの展開に動揺していると、噛まれている手の甲に魔法陣が浮かび上がる。未だ俺の手には白狼の牙が突き刺さったままだ。
すると、手の先から何かが抜けていく感覚が俺を襲う。
だが、不思議と俺の中の危機感は今この状況に反応していない。
もう、なるようになれ……。
俺は疲れからなのか、それとも白狼のせいなのか分からないが脱力感に抗うことも出来ず、その場に座り込む。
手の甲から流れ出る血は白狼の口の中へと流れ込み、そのまま喉の奥へと消えていく。
しばらく(と、言っても数秒だが)経った頃、白狼が牙抜いて少しさがる。
気がつけば手の甲の魔法陣は消え、牙が突き刺さった痕も消え去っていた。
「終わった……のか?」
そんな疑問も束の間、急に白狼が体を震わせる。
つ、次は何だ?
白狼の足下に“緋い”魔法陣が浮かび上がる。
魔法陣から溢れ出る“緋色の魔力”は、白狼の中へと流れ込んでいく。白狼の魔力が回復していくのが感じ取れる。
これは!
全ての魔力が白狼の中へ流れきるが、その魔力の多さ故に体から魔力が漏れ出している。
その緋い魔力は、まるで燃え上がる炎のように激しく、時に静かに揺れ動く。
『ガウゥゥオォォ!!!』
白狼の遠吠えが森の隅々まで響き渡る。
「ブラッドウルフ……」
ブラッドウルフ。通称『吸血狼』であり、書物によれば絶滅したとされている魔獣だ。
魔力量、魔力操作は上級魔術師のそれと同等、もしくはそれ以上とまで言われており、種族魔法以外の魔法使える魔獣の一種だ。
しかし、本当の力は他にある。
吸血狼と呼ばれるように、ブラッドウルフは血を吸血することで本領を発揮する。
目の前のブラッドウルフが、先ほど俺から血を吸血したように、血を摂取することで魔力の回復、自身の強化が可能となるらしい。
「ガウッ!」
「ん? どうした?」
ブラッドウルフが俺の側へと近づく。
「ま、まさか、また血が欲しいとかじゃないよな?」
俺は血を吸われる独特な感覚を思い出し、少し腰を引いてしまう。
お、おやめくだせぇ!
ブラッドウルフが俺の手を……
ペロッ
「あれ?」
ブラッドウルフは俺の左手をペロペロと舐めたり、頬擦りしている。まるで飼い主に懐いている犬のように見える。
可愛いなコイツ。
俺はさりげなくブラッドウルフの背中を撫でる。
や、ヤバイ! 毛がふっわふわだ。
森の中だというのに無我夢中でモフリだす俺。
頭から腰にかけてゆっくりと優しく撫でると、心なしかブラッドウルフが嬉しそうな顔をしているように見える。
気がつけば俺が座っている膝の上にブラッドウルフが体を乗せていて、俺もブラッドウルフのふわふわで柔らかい毛並みを堪能していた。
「ガウぅ」
「あーいいなぁ、これ」
ブラッドウルフは伸びきった欠伸をする。俺も緊張感のない声を出してしまう。
ふと、あることを思い出す。
長の家で読んだ書物に載っていた、ある魔法のことだ。
確か『契約魔法』だったかな?
視線を感じ俺はブラッドウルフの方を見る。ブラッドウルフと目が合い、案外いけるような気がしてくる。
『なぁ、俺の相棒になってくれないか?』
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