魔法陣を描いたら転生~龍の森出身の規格外魔術師~
44 自重を検討します
「じゃぁセレーナ、ちょっと離れててね」
「キュウ!」 (うん!)
俺たちは今、森の表層地帯にある開けた場所に来ている。広さはというと、小中学校のグラウンド程度はあるんではないだろうか。
「よし、始めるよ」
今日はセレーナの魔法の練習のために来たのだが、セレーナがどうしてもどーしても俺の魔法が見たいと言ったので、俺が自分自身の魔法の確認も兼ねて、お手本を見せることにした。
「土よ」
俺が一言、発するだけでここから10メートル以上先に、土の人形が20体程できあがる。その大きさは、それぞれ2メートルくらいだ。
まずは、単純放出力を試すとしますか。
使うのは水魔法。火や風などよりも水の方が万が一のとき、被害が最小限に抑えられると考えたためだ。 
「水よっ!」
俺は土人形に向けて手を突き出す。そして全力でただ、水を出すことだけに要点を置く。コントロール、イメージがおざなりになるが気にしない。
手の前に魔法陣が現れる。その大きさは俺の身長とあまり変わらない。そして、魔力が魔法陣に集まっていくのが視える。
あ、これ、結構ヤバイかも……。
俺は直感的に、魔法が強力になってしまうことを感じ取る。
――「(ドッガァァーンッ!!)」
手から滝が噴き出した。嘘ではなく、本当に……。
俺は直ぐさま水の放出を止める。土人形の方へと目を向けると、4分の1の土人形が跡形もなくなっていた。
い、いやー。結構威力あったなぁ……まぁ、知らなかったし、しょうがないしょうがないっ!
「キュ、キュー」 (び、びっくりしたー)
ごめん、ごめん。驚かせるつもりは全くなかったんだよ、セレーナ。
「さ、さぁ、切り替えて、次にいこう!」
俺は無理やり、場の雰囲気を変えて次の魔法を使うことにする。次はコントロールをメインに魔法を使う。
「まずは……鉱石よ」
鉱石魔法。それは石、岩、鉱石を創り出し、操る魔法だ。
俺は鉱石魔法で、礫を十数個ほど創り出し宙に浮かせる。そこから次は雷魔法を使う。
「雷よ」
二種類の魔法を同時発動させるには、高度な集中力が必要とされる。だがしかし、俺は厳しく苦しい修行を乗り越えたことによって、同時発動を可能にした。
俺は雷を、先に創り出した礫に纏わせる。
「(ビリッ、ビリビリ)」
いつかテレビで観た電磁砲なるものをイメージ――あくまでイメージをしているだけで、原理はよく知らない――する。狙いはもちろん土人形だ。
いけっ!
俺の意思に従い礫は高速でもとい、音速――であろう速さ――で土人形を突き抜ける。目では追えない。
――「(ドッゴォーーンッ!!)」
土人形を見ると、その体は3分の1以上も抉り取られていた。そして、形状をとどめることができなくなり、パラパラと土が崩れ去る。あれほどいた土人形は今はもう、1体も残っていない。
い、いやー……これは使い所を考えて使おう。うん。
「キュ、キュ、キュ?」 (え、え、え?)
「セレーナは何も見てない。見てない」
「キュ、キュウ……」 (う、うん……)
軽く催眠術的な何かになってしまったが、良しとしよう。俺もここまで派手に魔法を使うつもりはなかったんだけどね……今更か。
よし、最後は最大火力を試すとしよう。妥協? 何それ美味しいの? ここまできたら、やるしかないでしょ。
俺は自身の魔法の中で最大火力となる魔法を使うことにする。しかし最大火力となると、ここら辺一帯がどうなるか予想もつかないので、強固で巨大な壁を創ることにする。
「求めるは氷。氷よ壁となれ」 『アイスウォール』
俺はあえて詠唱をすることで魔法を、より強力なものへとする。詠唱はイメージの補助という役割とは別に、魔法の威力をあげる効果をもつ。
土人形がいた辺りにマンションの4、5階相当の高さをした、氷の壁がそり立つ。横幅というと、この広場を遮れるほどだ。厚さもかなりあるように感じられる。
「キューーウ」 (おおきーーい)
「まだまだ。ここに土と鉱石を重ねて……土よ、鉱石よ」
俺は念には念をとばかりに土の壁と石の壁を、氷の壁と同じ大きさにして重ねて創る。
さぁ、俺の火魔法を食らってみろっ!
「求めるは火。深紅の火よ、烈火となりて燃やし尽くせ」
『クリムゾンフレア』
壁と同等の大きさをした魔法陣が現れる。その魔法陣から感じられる魔力の濃さは、魔法を発動する前だというのに壁を破壊できることを確信させる。
あ、ヤバーイ。これちょっと危険だわ。いや、かなり危険だわ。
「セレーナ、ちょっとここから離れるよ」
「キュウ、キュウ」 (うん、わかった)
セレーナも何となくだが、強力な魔法だということがわかったようだ。俺は宙を飛ぶために、飛翔魔法を使う。
「飛翔」
飛翔魔法によって宙に浮いた俺は、そのままセレーナと上空へ飛ぶ。
ここまで来れば、大丈夫だろ。
魔法陣を見る。そのとき……
――「(ヒューー。ッバッッアァァーーーンッッ!!!)」
エネルギーが収束する音のようなものが聞こえた瞬間、壁が爆ぜ、巨大な火柱が目の前に現れた。森に轟音が響く。動物が驚き、鳴く声が聞こえる。
あちゃー……これは母さんに怒られるかも。まぁ、魔法が試せたしいいかぁ。
「……」 (……)
あ、セレーナが固まってる……。
「せ、セレーナ? おーい、セレーナ! セレーナ!?」
俺は固まってしまったセレーナを揺さぶり、意識を戻させる。
「キュ、キューウ?」 (え、えーと何?)
「よかった……大丈夫?」
「キュウ……キュ「何でもないよ」……キュ、キュ、キュウ」
(うん……あれっ「何でもないよ」……え、あ、うん)
「セレーナ、帰ろうか」
俺は無理やり、誤魔化そう――全然、誤魔化せてないが――とする。そして、何事もなかったかのように帰ることにする。
「キュ、キューウ」 (そ、そうだね)
俺は今回を機に魔法の自重を――できないだろうが――検討するのであった。
「キュウ!」 (うん!)
俺たちは今、森の表層地帯にある開けた場所に来ている。広さはというと、小中学校のグラウンド程度はあるんではないだろうか。
「よし、始めるよ」
今日はセレーナの魔法の練習のために来たのだが、セレーナがどうしてもどーしても俺の魔法が見たいと言ったので、俺が自分自身の魔法の確認も兼ねて、お手本を見せることにした。
「土よ」
俺が一言、発するだけでここから10メートル以上先に、土の人形が20体程できあがる。その大きさは、それぞれ2メートルくらいだ。
まずは、単純放出力を試すとしますか。
使うのは水魔法。火や風などよりも水の方が万が一のとき、被害が最小限に抑えられると考えたためだ。 
「水よっ!」
俺は土人形に向けて手を突き出す。そして全力でただ、水を出すことだけに要点を置く。コントロール、イメージがおざなりになるが気にしない。
手の前に魔法陣が現れる。その大きさは俺の身長とあまり変わらない。そして、魔力が魔法陣に集まっていくのが視える。
あ、これ、結構ヤバイかも……。
俺は直感的に、魔法が強力になってしまうことを感じ取る。
――「(ドッガァァーンッ!!)」
手から滝が噴き出した。嘘ではなく、本当に……。
俺は直ぐさま水の放出を止める。土人形の方へと目を向けると、4分の1の土人形が跡形もなくなっていた。
い、いやー。結構威力あったなぁ……まぁ、知らなかったし、しょうがないしょうがないっ!
「キュ、キュー」 (び、びっくりしたー)
ごめん、ごめん。驚かせるつもりは全くなかったんだよ、セレーナ。
「さ、さぁ、切り替えて、次にいこう!」
俺は無理やり、場の雰囲気を変えて次の魔法を使うことにする。次はコントロールをメインに魔法を使う。
「まずは……鉱石よ」
鉱石魔法。それは石、岩、鉱石を創り出し、操る魔法だ。
俺は鉱石魔法で、礫を十数個ほど創り出し宙に浮かせる。そこから次は雷魔法を使う。
「雷よ」
二種類の魔法を同時発動させるには、高度な集中力が必要とされる。だがしかし、俺は厳しく苦しい修行を乗り越えたことによって、同時発動を可能にした。
俺は雷を、先に創り出した礫に纏わせる。
「(ビリッ、ビリビリ)」
いつかテレビで観た電磁砲なるものをイメージ――あくまでイメージをしているだけで、原理はよく知らない――する。狙いはもちろん土人形だ。
いけっ!
俺の意思に従い礫は高速でもとい、音速――であろう速さ――で土人形を突き抜ける。目では追えない。
――「(ドッゴォーーンッ!!)」
土人形を見ると、その体は3分の1以上も抉り取られていた。そして、形状をとどめることができなくなり、パラパラと土が崩れ去る。あれほどいた土人形は今はもう、1体も残っていない。
い、いやー……これは使い所を考えて使おう。うん。
「キュ、キュ、キュ?」 (え、え、え?)
「セレーナは何も見てない。見てない」
「キュ、キュウ……」 (う、うん……)
軽く催眠術的な何かになってしまったが、良しとしよう。俺もここまで派手に魔法を使うつもりはなかったんだけどね……今更か。
よし、最後は最大火力を試すとしよう。妥協? 何それ美味しいの? ここまできたら、やるしかないでしょ。
俺は自身の魔法の中で最大火力となる魔法を使うことにする。しかし最大火力となると、ここら辺一帯がどうなるか予想もつかないので、強固で巨大な壁を創ることにする。
「求めるは氷。氷よ壁となれ」 『アイスウォール』
俺はあえて詠唱をすることで魔法を、より強力なものへとする。詠唱はイメージの補助という役割とは別に、魔法の威力をあげる効果をもつ。
土人形がいた辺りにマンションの4、5階相当の高さをした、氷の壁がそり立つ。横幅というと、この広場を遮れるほどだ。厚さもかなりあるように感じられる。
「キューーウ」 (おおきーーい)
「まだまだ。ここに土と鉱石を重ねて……土よ、鉱石よ」
俺は念には念をとばかりに土の壁と石の壁を、氷の壁と同じ大きさにして重ねて創る。
さぁ、俺の火魔法を食らってみろっ!
「求めるは火。深紅の火よ、烈火となりて燃やし尽くせ」
『クリムゾンフレア』
壁と同等の大きさをした魔法陣が現れる。その魔法陣から感じられる魔力の濃さは、魔法を発動する前だというのに壁を破壊できることを確信させる。
あ、ヤバーイ。これちょっと危険だわ。いや、かなり危険だわ。
「セレーナ、ちょっとここから離れるよ」
「キュウ、キュウ」 (うん、わかった)
セレーナも何となくだが、強力な魔法だということがわかったようだ。俺は宙を飛ぶために、飛翔魔法を使う。
「飛翔」
飛翔魔法によって宙に浮いた俺は、そのままセレーナと上空へ飛ぶ。
ここまで来れば、大丈夫だろ。
魔法陣を見る。そのとき……
――「(ヒューー。ッバッッアァァーーーンッッ!!!)」
エネルギーが収束する音のようなものが聞こえた瞬間、壁が爆ぜ、巨大な火柱が目の前に現れた。森に轟音が響く。動物が驚き、鳴く声が聞こえる。
あちゃー……これは母さんに怒られるかも。まぁ、魔法が試せたしいいかぁ。
「……」 (……)
あ、セレーナが固まってる……。
「せ、セレーナ? おーい、セレーナ! セレーナ!?」
俺は固まってしまったセレーナを揺さぶり、意識を戻させる。
「キュ、キューウ?」 (え、えーと何?)
「よかった……大丈夫?」
「キュウ……キュ「何でもないよ」……キュ、キュ、キュウ」
(うん……あれっ「何でもないよ」……え、あ、うん)
「セレーナ、帰ろうか」
俺は無理やり、誤魔化そう――全然、誤魔化せてないが――とする。そして、何事もなかったかのように帰ることにする。
「キュ、キューウ」 (そ、そうだね)
俺は今回を機に魔法の自重を――できないだろうが――検討するのであった。
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