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戦闘狂

「では、ゆくぞ」

「えっ、ちょっと待っ」

 竜……間違いなくアンライバルトだろう。アンライバルトは有無を言わさず翼で竜巻を生み出し、それを放ってきた。

「ウォオオォオォオンッ!」

 ジョセフィーヌの雄叫びに続いて、虹色の光が辺り一面に広がる。虹色の光は階層全体を包み込み、全てを歪ませた。
 気付くと、曇天だった空が虹色のオーロラが輝く夜空に変わっていた。

「ほぅ、空間支配か。やるではないか」

「なぜ突然襲いかかってくるのですか!?」

「余に勝てたら教えてやろう。では次だ。ゆくぞっ!」

「ヴォルルル」

 アンライバルトは話を聞く気が無いようだ。ジョセフィーヌも臨戦態勢だし、戦闘狂しかいない。ここは大人しく離れて観戦していよう。

「ハアァアアッ!」

 アンライバルトは口からオレンジ色の極太レーザーを放った。熱線と言った方がいいかもしれない。熱線はジョセフィーヌに向かってまっすぐ進んでいく。

 熱線はジョセフィーヌに命中する寸前、散弾のように分かれた。そして、その一つ一つが爆発する。
 煙が晴れると、周囲に無数の光の玉を浮かべた無傷のジョセフィーヌが立っていた。

「アオオォォオォオンッ!」

 ジョセフィーヌが吠えると同時に、全ての光の玉から細いレーザーが放たれた。無数のレーザー群は、アンライバルトに突き進む。しかし、レーザーは全て赤褐色の鱗に弾かれた。鱗にはうっすらと焦げ痕が付くだけだ。

「なかなかやりおる。流石、選ばれし者の従者と言ったところか。しかしっ、まだまだこれからだ!」

「ワンワンッ!」

 いつまでも長引きそうだ。マルムルーナの言った通り、確かにこれは面倒くさい。

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