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無比なる守護者の階層

 アンライバルトの居る98階層。そこは荒廃した大地に幾千の竜巻が荒れ狂う階層だった。

「うっ、風が強い」

「ワンッ」

 現在ジョセフィーヌに支えてもらってなんとか歩けている状態である。どうやらジョセフィーヌでもただ強いだけの風は防ぎようがないようだ。

 アンライバルトは、恐らくだがここからまっすぐ進んだ先に見える巨大な竜巻の中にいると思われる。
 たが、そこに辿り着くまでに障害はもちろんある。

「アオンッ」

 迫り来る竜巻を虹色の光が包み、まるで空間をねじ曲げるように竜巻自体を消し去る。そんなことを、かれこれ数十回は続けていた。

 そして、巨大な竜巻まで後半分といった頃に、声が聞こえた。

『余を蘇らせし男とその従者よ。ここまで来たからには、その力を試させて貰おうか』

 その声と共に、嫌というほど荒れ狂っていた竜巻が全て掻き消えた。

 ズシンと何かが地に降り立つ音がした。その体躯を茶褐色の鱗で包み、2対4枚の翼をはためかせる。深紅の双眸を曇天の下に輝かせ、力強く逞しい足で荒野の大地を踏みしめる。鋭利な爪が生え揃う腕は空気を唸らせ、高く翻したその尾は大地に存在を轟かせる。

 圧倒的な存在感を放つ巨大な竜が、荒野の中心に佇んでいた。

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