日本円でダンジョン運営

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ナーダルの正体

 突然表れた男に着いていった先は、スラム街にある一件の古民家だった。壁が崩れていたりクモの巣が張っていたりと、荒れ放題になっている。

「さて、まず俺の話からしようか。俺はナーダル。前の獣神の混沌迷宮の子だ」

「……はい?少し整理させてください」

 前の獣神の混沌迷宮?私が獣神の混沌迷宮という名前をつけたのが、前にもあった獣神の混沌迷宮と名前が被ったってことなのか?
 あと前の獣神の混沌迷宮の子?このナーダルって人はダンジョンの子ってことか?

「もういいか?まず、たまたまダンジョンの名前が被っているだけだと思ってるだろう。だが、正確には何者かからの思考操作が影響している。そう俺の親父が言っていた」

「思考操作?いったい誰から」

「おそらく邪神だろうな。邪神はこの世界に降り立つとき5つの混沌迷宮を造らせる。お前はその内の一つ、獣神の混沌迷宮のダンジョンマスターに選ばれたって訳だ」

「選ばれた?だが確かに、それが本当なら日本からあの男に連れてこられたのも納得できる」

 今までこのダンジョン運営を神の使いに任されたことを、どことなく妙に思っていたのだ。だが、選ばれたというのを鵜呑みにするなら納得がいく。つまり、神の使いは邪神の使いだったのか?
 とりあえず今はそう考えるしかないか。

「日本、なんか聞き覚えがあるような……。そうだ!確か母さんの故郷だったはずだ。ということはその日本からダンジョンマスターが選ばれているのか?」

「あの、ナーダルさんの親ってどんな人だったんですか?」

 さっき前の獣神の混沌迷宮の子って言ったのに、親父と母さんと言っている。ダンジョンの子では無いのか?それともその親がダンジョン?

「ああ、分かりにくい言い方してたな。俺の親は、前の獣神の混沌迷宮のダンジョンマスターと人間だ」

 なるほどスッキリした。

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