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初代魔王 カースキング

 時は流れた。世界は巡り、4代目勇者がその名を轟かせていた頃だった。かつてのカースキングは、初代勇者の大いなる伝記のごく一部として、歴史の波に呑まれてしまった。

 ある日、1つの村が滅びた。大賢者アドゥル・ハザードを、初代勇者の時代から代々祀っていた村だった。

 瞬く間に、ある者に1つの国が支配された。ありとあらゆるアンデットが蔓延り、生を全く感じられなくなってしまった事から、その国は死の国と呼ばれた。

 その死の国の頂点に君臨したその者。骨だけとなった身体と、負の力が凝縮した漆黒のローブを纏ったその者は、自らをカースキングと名乗った。

 その者は、世界のあまねく全てを死で包み込んだ。その者に、七大罪の悪魔を筆頭とする負の力を持つ者が味方したのだ。人々は、4代目勇者が命と引き換えに創り出した聖なる結界の中で暮らすほか無かった。

 カースキングは、初代魔王と呼ばれるに相応しい存在となった。

 その者は、前世ではできなかった邪神の復活を目論んだ。神の生み出した封印の解除に取りかかった。

 その頃人々は、4代目勇者の遺した最大の遺産、5代目勇者を誰よりも強く育て上げた。5代目勇者は、仲間たちと供に死の国へ向けて旅に出た。

 5代目勇者は初代勇者より強い力と仲間たちの命を持って、邪神を解放しようとしていた初代魔王を打ち倒すことに成功した。初代魔王は、聖なる力により完全に消滅した。

 それから、世界は平和な時代を歩むことになる。初代魔王カースキングの残した惨劇を胸に刻んで。

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