「初心者VRMMO(仮)」小話部屋

神無乃愛

ブクマ1500件突破お礼小話~マープルさんのとある一日 その5~


 ある程度二つのアイテムが集まり、作ってみることにした。
「ばあちゃん、団子が上手く作れない!」
「『小さな薬』も、飲んでも何も起きない!」
 イッセンとロイドが困ったように言う。
「『団子のモト』と『小さな薬』を合わせてみて頂戴」
 マープルが昔見た「小さな薬」は、瓶がそれなりに大きかった気がするのだ。

 大目に集めた二つを合わせると、煙が周囲に蔓延した。
「え!?」
 確かに団子は出来た。しかも「小さくなるための黍団子」である。そして、パーティ全員が年寄りになっている。
「……浦島太郎もなの?」
 イッセンの呟きが、周囲にこだました。
「となると、亀を見つけないとね」
 マープルは次の動きを考える。
「亀!?」
「浦島太郎といえば、亀でしょう?」
 これは楽しそう。そう思ったマープルは次の道しるべを捜しに洞窟を動くことにした。


「お父さん、叔父さん」
「どうした?」
 イッセンの呟きに、イッセンの父親である「ヒトユメ」が返した。
「ばあちゃんってさ、昔っからあんな感じなの?」
「母さんかい? 久しぶりだね。あそこまで楽しそうに限定クエストをしているのは」
 リュートは少しばかり嬉しそうに言う。
 ここのところマープルから見れば「二番煎じ」の限定クエストが続いていたため、不満が多すぎたのだ。
「ばあちゃんってやっぱりすげぇよな」
 難しいクエストがある度に、マープルは嬉々として助言をするなり、一緒に来てくれるなりしていた。だからこそ、イッセンたちも有名なプレイヤーになったのだ。
「皆! ここに湖があるわよ。亀もいるかもしれないけど、罠があってもおかしくないから、気をつけてね!」
「母さん、トラップは俺が見るから、一度下がって」
 リュートが呆れたように言い、トラップを解除していた。

 小さな亀がわんさかと出てくる。そして、一撃を入れるだけであっという間に逃げていく。
「ちょっと試してみようかしら?」
 ふふふっと笑ってマープルが亀に団子を与えた。

 すると小さかった亀は大きくなり、逃げていく。
「次は捕まえてみるわよ。それから火の耐性と水中で息が出来るようにしておきましょうか」
「へ!?」
「念のため。他の罠があると悪いから、そちらの準備も怠らないようにね」
 楽しんでいるマープルは閃きの宝庫だった。

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