初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

現実世界にて<クリストファー、驚愕>


 そんな出来事から数日後。

 クリストファー宛に「脅迫状」が届いた。
 差出人は「禰宜田 昌代」である。
「……これをどうしろと」
 どうせならエアメールでなく、メールで送ってほしかったと思ってしまう。

 いや、正確には「脅迫状」ではないはずだ。そして、ただの私信だ。
 英文字の住所すらも毛筆で書き、裏には差出人とサインのようなもの(後日、花押だと知った)。
 その場にいた全員が封書を見ただけで硬直しているのだから、なおのこと始末に負えない。
「……よくもまぁ」
 クリストファーは思わず呟く。
 ほんのりと香りのついた和紙に、毛筆で書かれた英文。……しかも細かい。
 これで読みづらいのなら、文句もつけられるが、読みやすいので感心するしかない。

 内容はセラフィムの常識はずれな行動を戒めるとともに、「ちょっとした計画」を立てているので協力してほしいというものだった。
「……さすが女帝」
 これは根回しの手紙である。しかも、これと同様のものを他にも書いているらしい。
「どうなさいます?」
「メリット、デメリットともに明記したうえで、あくまで『協力』を募るというわけか」
 だが、「TabTapS!」というゲームにおいて、昌代からの申し出はメリットの方が上だ。他ゲームとの差別化を図るという点においても。
「これもLittle ladyのためっていうあたりが凄いですよね」
 部下の一人が呟く。


 その呟きを聞いたクリストファーは思わず思った。
 Little ladyにどこまで望んでいるのだと。

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