初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

新素材を作るのは……

「ここか!!」
 ディッチとジャスティスは思わず叫んだ。
 いたるところに使われている布、それはまさしく、探していたものだった。
「わんわん。この布いるのか?」
「でもやれないわん」
「ここでしか作れない、糸を使っているわん」
「やれても端切れだわん」
 次々に言い出す犬たち。種族は「ワイルー」。どこのパクリだ。


「これはここにしかいない生物が作ってくれるわん。我々はその地を守っているだけだわん」
 いつの間にやら仲良くなったカナリアが、一匹(一頭? 一人?)のワイルーに尋ねていた。称号は伊達ではない。
「で、そいつは魔物か?」
 ジャッジがここが重要といわんばかりに聞いていた。魔物と聞かずに植物系か動物系かと聞け、そうディッチが聞きたくなったのは悪くないはずだ。

「もちろんだわん。ツインスパイダーという変異種だわん」
「素敵な素材なのに……。どうしてクモさんが作るやつなんですか。メリちゃんやウルちゃんの仲間を期待していたのに」
「カナリア。期待どころが違う」
 触った感じからして、メリノーンやウルリーノではないということを見当づけていたディスカスの言葉に、カナリアはなおさらへこんでいた。
「あ、この蜘蛛、シルクスパイダーと違って小っちゃいんだ」
 そんなカナリアを放っておきつつ、リリアーヌがツインスパイダーを触っていた。毒がないなら、触っても大丈夫というあたり強かさを感じてしまう。
「ちっちゃいわん。かわいいわん」
「お、蜘蛛ちゃんの可愛らしさを分かってくれる仲間発見」
 もう一頭のワイルーとリリアーヌが仲良くなっていた。
「食事大変なのだわん。小食だわん。でも、ふたっつとも食べたいものちがうわん」
「え゛!?」
 少しばかり大きな爆弾が、古参組に投下された。

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