初心者がVRMMOをやります(仮)
ディッチの悩み
やみくもに探すのも、という事でまずはジャスティスにその新素材を見せたプレイヤーに話を聞くことにした。
「で、ガナル大陸のどのあたりで見つけたんだ?」
「フラーニュ地方の西よりです」
「おかしいな」
相手方の言葉に疑問を呈したのは、そこを拠点とするジャッジだ。
「何でだ?」
「フラーニュ地方ってのは、ガナル大陸最大の地方だから未開の地くらいあってもおかしくないって思うのが当たり前だけどな……」
そこでジャッジは言葉を切り、視線をそらした。
「お前何をしでかした」
すぐさま突っ込みを入れたのは、ユウ。流石としか言いようがない。
「あっ」
「カナリア君、君が何か知っているみたいだね。教えてくれるかい」
「もしかしたら、ですよ?」
「もしかしたらでいいんだよ」
「私の問題が結構マスコミで取りざたされていたあたりなんですけど……」
こうして語られた内容に、「カエルム」メンバーも、素材を持ち込んだプレイヤーも絶句した。
カナリアの言葉を要約するとこういうことになる。
私が不安定になったあたりから、ジャッジさんも情緒不安定になってて。ちょうどその時クリスさんの知り合いとおっしゃる壮年の方がいらっしゃったんです。ジャッジさんもお知り合いらしくて、しばらくお二人で話した後「ガナル大陸まで出かけてくるって」。一時間くらいで帰って来たんですけど、ものすごくすっきりしたお顔になってたんです。
どうもおかしい。カナリアのことで不安定になっていたジャッジが、たった一時間ですっきりするわけがない。
時期を聞いたディッチがため息をついた。その頃だと、あの姦し組がログインしなくなったあたりである。
「お前、ガナル大陸でPKでもやったのか!?」
「やってたら俺、アカ停止処分食らってますよ。カナリアと一緒にいれる時間があるという、このゲームでそんな事するわけないでしょう」
「PvPに記録ないし」
タブレットを弄りながらユウが言う。PvP履歴をさかのぼって調べていたらしい。
「あ、これか。お前の名前が出てないから、無関係かと思ったが」
ジャスティスもタブレットで何かを検索していた。
「当たり。俺が魔法標的になる代わりに、あいつらのことを頼んだ」
「どういう人物なんだよ」
「クリスと一緒にあの組織を立ち上げたお人だ。ついでに言うと、クリスよりも上の爵位持ちな。それからマープルの婆さんたちともネット上で面識がある」
ディッチの意識が一瞬飛んだのは仕方がない。
「で、記事内容は?」
「『スフィンクス氏ゲーム参戦。早速新規魔法開拓』だな」
ジャスティスの言葉に、カナリアとジャッジ以外がその記事を確認していく。
「……あーー。こりゃ、あり得なわな。フラーニュ地方西よりの未開の地全損って」
「え!? 俺らが行った時、復興してましたよ!」
「まぁ、こいつらの言うとおり復興しているというのが、一つだな」
しかもクリスの趣味の赴くままに。
そんな罠だらけのところに行くのはどうかと思っしまう、ディッチだった。
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