初心者がVRMMOをやります(仮)
現実世界にて<それぞれの思惑>
限定クエストから一ヶ月ほど、美玖は自主的にゲームの時間を減らしていた。
逆にあれだけやって、毎日色んなゲームにログインする保に尊敬すらしたくらいである。
以前より少し短めのログインでゲームをしている。
大半が「娘香の巫女」としての仕事と喫茶店、それから指名依頼で時間が潰れている。
本来、それをたしなめるはずの一弥とりりかのログイン頻度が減ったのが一つの理由である。
理由は祖母から聞かされた。一弥の就職先がかなりのブラックらしく、体調を崩しているらしい。それでも仕事に行くのだから、伯母たちも心配しているとのこと。
りりかも就職活動に入ったそうで、ひと段落するまではログインが減るらしい。
「……風当たり強いだろうしな」
「いっくんやりりちゃんが悪いわけじゃないのに」
「それが世間ってもんだ」
保が投げやりに言う。
「ちょっくら用事思い出した。美玖、根つめすぎるなよ」
「……はい」
自分だけがのうのうと暮らしている。
以前周一郎に言われた言葉を思い出していた。
――叔父さんたちがどうなったかも知らないで、気楽にゲームしやがって――
――お前が恋人ごっこしている今も、叔父さんたちは取調べを受けてんだよ――
――うちにまで色々来て大変なのに、何のほほんとしてやがる――
「……あ」
苦しい。そう思った時には遅かった。
「大丈夫ですか!? ゆっくりと!!」
主治医の遠山が慌ててかけつけていた。
その頃、保は昌代と対面していた。
「我にそこまで関われと?」
「いや? 俺が頼みたいのはあの会社を黒に近いグレーから、黒にしたいだけだ。そのための情報が欲しい」
昌代に頼るのはそこまでだ。そのあとは知り合いに話をつけて会社を乗っ取り、福利厚生を充実させたいだけである。
「……ふむ。あそこは間もなく監査が入る予定らしいがの。あれほどの語学力があるのじゃ、いっそのこと渡米してもよかったと思うがの」
「おい、さらっと恐ろしいことはいたな。イッセンの能力を評価して話逸らすな」
「禰宜田の子会社があそこに目をつけておる。お主は黙っておれ」
「何しやがった、陰険策士様」
「我は何もしておらぬ。イッセンがあそこに入社する前からの話じゃ」
タイミング悪すぎっ。思わず一弥に同情する。
「我の血縁者から『もったいない人材があの会社に入社した』と言われて、誰かと思うてみればイッセンだっただけじゃ」
「……ネイティブとまで言わなくても英語得意だからな、あいつ」
嬉々としてVRMMOで遠征をする一弥は、自動翻訳を使わない。それゆえ、他の日本人ユーザーに比べて、かなり顔が広い。
「そうらしいの。あの会社には宝の持ち腐れじゃ。あと一年かけてゆっくりと買収するつもりだったそうじゃが、他にも優秀すぎるスタッフが多いゆえ計画を早めたそうじゃ。
あと一月もすれば、解体するじゃろ」
ついでに無能者は放逐する。そういいきる昌代に思わず背筋が凍った。
「……誰を残して、誰を解雇するか決まってるってことだな」
「さての」
しれっと昌代が言う。
そして、半月後。
突然入った監査により、一弥のいる会社は倒産の危機を向かえ、その半月後に別会社に吸収されることとなった。
それにより、一弥とりりかのログイン率も上昇することになる。
逆にあれだけやって、毎日色んなゲームにログインする保に尊敬すらしたくらいである。
以前より少し短めのログインでゲームをしている。
大半が「娘香の巫女」としての仕事と喫茶店、それから指名依頼で時間が潰れている。
本来、それをたしなめるはずの一弥とりりかのログイン頻度が減ったのが一つの理由である。
理由は祖母から聞かされた。一弥の就職先がかなりのブラックらしく、体調を崩しているらしい。それでも仕事に行くのだから、伯母たちも心配しているとのこと。
りりかも就職活動に入ったそうで、ひと段落するまではログインが減るらしい。
「……風当たり強いだろうしな」
「いっくんやりりちゃんが悪いわけじゃないのに」
「それが世間ってもんだ」
保が投げやりに言う。
「ちょっくら用事思い出した。美玖、根つめすぎるなよ」
「……はい」
自分だけがのうのうと暮らしている。
以前周一郎に言われた言葉を思い出していた。
――叔父さんたちがどうなったかも知らないで、気楽にゲームしやがって――
――お前が恋人ごっこしている今も、叔父さんたちは取調べを受けてんだよ――
――うちにまで色々来て大変なのに、何のほほんとしてやがる――
「……あ」
苦しい。そう思った時には遅かった。
「大丈夫ですか!? ゆっくりと!!」
主治医の遠山が慌ててかけつけていた。
その頃、保は昌代と対面していた。
「我にそこまで関われと?」
「いや? 俺が頼みたいのはあの会社を黒に近いグレーから、黒にしたいだけだ。そのための情報が欲しい」
昌代に頼るのはそこまでだ。そのあとは知り合いに話をつけて会社を乗っ取り、福利厚生を充実させたいだけである。
「……ふむ。あそこは間もなく監査が入る予定らしいがの。あれほどの語学力があるのじゃ、いっそのこと渡米してもよかったと思うがの」
「おい、さらっと恐ろしいことはいたな。イッセンの能力を評価して話逸らすな」
「禰宜田の子会社があそこに目をつけておる。お主は黙っておれ」
「何しやがった、陰険策士様」
「我は何もしておらぬ。イッセンがあそこに入社する前からの話じゃ」
タイミング悪すぎっ。思わず一弥に同情する。
「我の血縁者から『もったいない人材があの会社に入社した』と言われて、誰かと思うてみればイッセンだっただけじゃ」
「……ネイティブとまで言わなくても英語得意だからな、あいつ」
嬉々としてVRMMOで遠征をする一弥は、自動翻訳を使わない。それゆえ、他の日本人ユーザーに比べて、かなり顔が広い。
「そうらしいの。あの会社には宝の持ち腐れじゃ。あと一年かけてゆっくりと買収するつもりだったそうじゃが、他にも優秀すぎるスタッフが多いゆえ計画を早めたそうじゃ。
あと一月もすれば、解体するじゃろ」
ついでに無能者は放逐する。そういいきる昌代に思わず背筋が凍った。
「……誰を残して、誰を解雇するか決まってるってことだな」
「さての」
しれっと昌代が言う。
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突然入った監査により、一弥のいる会社は倒産の危機を向かえ、その半月後に別会社に吸収されることとなった。
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