初心者がVRMMOをやります(仮)
変更後クエスト 9
ジャスティスは少しばかり遠回りするルートで最初の砦へと向かった。
遠慮なく撃ち込まれる大砲に、メンテナンスも全て終わったことを理解し、そのまま降りる。
「ナイスタイミング」
「一応、遠回りしてきた」
砦へ到着するなり、ほとんどのメンバーが同じことを言う。
不思議がるカナリアをリリアーヌに任せ、砦の外へとすぐに向かう。
砦の外に出るなり、ぽっと顔を赤らめる翼竜がいる。……間違いなく雌だ。既に突っ込む気力のないジャスティスは、そのまま戦闘に突入した。
「ヴァーチャル限定リア充め」
「何ならこの立ち位置、譲るぞ」
「遠慮しとく。流石に翼竜に押し倒されたら、俺は死に戻り確定だし」
しれっとした顔でユウが言う
「俺も開発に関わったんだぞ。通常状態の翼竜のステータスくらい覚えてるわ」
「……それもそうか」
「翼竜複数に襲われたら、……まぁ、間違いなく普通は死ぬ」
その言葉はあえて聞かなかったことにして、敵陣の真ん中に降り立った。
『じゃあ、こっからはお前に照準合わせる。人竜化の上、大砲の音がしたらすぐ逃げろ』
「無茶言うなっ!!」
しれっと鬼畜なことを言うジャッジに、思わず怒鳴った。
『カナリアと一緒に動きやがって』
「阿呆か!! お前じゃ最悪盾にならんだろうが!!」
『あ、大丈夫で~~す。これか美玖ちゃんも聞いてるから、ジャッジさんの作戦にどん引きしてましたよ~~』
『聞かせるな!!』
ナイス! 心の中でジャスティスはリリアーヌに感謝した。
『……ジャッジさん、酷いです』
『クエスト直前に俺をモンスターの中に放りだしたことに対する報復だ』
カナリアの涙声に、うろたえながらもジャッジは弁明している。
『でも、喧嘩は駄目です』
これって喧嘩なの!? そう言いそうになったのを何とかジャスティスは堪えつつ、「ディフェンス・アタック」を発動させる。
その間も、美玖ちゃん、これ喧嘩じゃないから! ただのおふざけだから! という遠くで聞こえるリリアーヌの突っ込みに、少しばかり安心する。
『でもっ、それでクエストクリア出来なくて、素材手に入んなかったら悔しいです』
「そっち!?」
『そっち!?』
これを聞いていた全員が見事にはもった。
どこまでも素材優先なカナリアに、ジャスティスは戦意喪失した。
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