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初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

ディッチの苦悩


「くそっ!」
 どれだけ叩いても、湧いて出てくるモンスター。
 ジャッジの持つ銃器系は全て弾切れで、魔法剣へと交換していた。
 連絡を入れると、タカへ補充したのが最後、タカもボウガンや弓に変更して戦っているという。
「ディッチさん! こっちのMポーションが枯渇寸前! 補給よろしく!」
「それからLP回復用も!!」
『ジャッジ! Mポーション補給はこっちでしろ! 大砲まで戻れ!』
「またか!?」
 ジャッジの依頼に対して、ディッチがすぐさま別の指示を出してくる。しかし、今離れてしまえば、前線が崩れる恐れがある。
『ジャッジ、今回は三発撃てるように改良した! だから一発で甲殻モンスターに当てて、二発で前線へぶっ放て!』
 ディスカスがすぐさまディッチのフォロー通信を入れてくる。
『それが終わったらラウさんが持ち場にしていた場所の大砲よろしく!』
「ラウさんは」
『現在死に戻り中! ついでに補給もして来るそうだ』
「りょーかいっ」
 そう言いながらジャッジはすぐさま砦へ戻る。そして、甲殻モンスターの癖に自由自在、しかも素早く動くモンスターに狙いを定めて、放つ。
 そのあと言われたとおりに前線めがけて二発迷わず放つ。
『阿呆! 合図ぐらいしろ! 俺らまで死に戻りさせるつもりか!?』
 ジャスティスの怒鳴り声が聞こえたが、それを無視して次の砲台へと向かう。

 そして、先ほどメンテナンスが終わったばかりの砲台へと向かい、そちらからも放つ。

 それが終わるとそのまま前線へと戻る。
「ジャッジさんっ」
「カナリア!?」
「はいっ。Mポーションです」
「サンキュ!」
 砦で貰ってくるのを忘れたMポーションをカナリアから受け取る。

 現在、所要で抜けているメンバーはリリアーヌやトトなどを含め七名。死に戻りでこの場にいないのが十名。
 人数がかなり抜けている。

 このまま全滅してしまえばこの砦を捨てることになり、クエストクリアはさらに難しくなる。

 また、失敗するのか。

 ディッチはそんなことを思った。そして、あの時罵られた過去が蘇る。
「ディッチさん!!」
 カーティスが慌てたように声をかけてきた。
「あの時はあの時です! 今は今です! あの、、カナリアさんですら素材採取を諦めてクエストクリアを目指しているのです! あなたが諦めてどうするのですか!!」
 ぱしん、という音と共にそんな言葉がふってきた。
「私はこの島を守って欲しいのです! この島に住むNPCを守って欲しいのです!!」
「……すまない」
 正直な話、クエストをしていてこんな激をもらったのは初めてだった。
「兎レイドみたいに、唯一のクリア者になる必要はないんだったな」

 そう、このクエストは数年に一度、必ず、、あるのだ。

「カーティスさん、内部のクリア条件を変えましょう」

 その言葉に、カーティスが満足そうに笑って頷いた。

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