初心者がVRMMOをやります(仮)
現実世界にて<一弥と懲りない周一郎>
人のうわさも七十五日という諺もあるが。
諺通りではないことも多いわけで。
現在、なんの因縁か、周一郎と一弥が顔を合わせていた。
「なんでお前がここにいる!?」
最初に口したのは周一郎だった。
「……何の用?」
「取引先に挨拶に来ただけだ」
「その横柄な態度何とかならないの? 俺、一応あんたの会社の担当者。ちなみに選ぶ立場ね」
どっちもどっちだ。という言葉を飲み込んだのは、一弥とともに「TabTapS!」等にログインをしている上司と、周一郎にとともに来た向こうの担当者だったりする。
「……初対面じゃないと」
「一度顔を合わせた程度です」
いつ、どこで!? と聞きたいのをその上司は我慢していた。
何せ、相手方は経営者が変わる前から取引のある会社の役員。
「うっわぁ。新卒を役員にする会社ってどうよ」
相手が若いとは思ったが、新卒かい! 昔から無茶な納期ばかりを言ってきていたが、縁故が多い会社だったのか。とか、どうしようもないことばかり思っていた。
「強いて言うなら、彼のやらかした事をある程度知っている人間です」
その言葉に向こうの担当者が、顔色を変えた。
「世間って狭いですね。今まで俺は表に出てこなかったから知りませんでしたけど」
七月にあった人事異動で、一弥は主任へと昇格し、会社同士の顔合わせもするようになったのだ。
「あ……浅木君。頼むからその物騒なオーラしまってくれる? 一応担当者同士の挨拶なんだしさ」
「え? そんなオーラ出してました。だと無理ですね。無意識なんで」
ちょい待てぇぇ!! 何その言い訳! 上司の胃がきりっと痛んだ。
「それに、まだどうしてそうなったか分かってないみたいですし。俺だって、開口一番、あんなこと言われなければ大人しくしようと思っていたんですが」
これでは挨拶にもならないと判断した上司は、そそくさと切り上げることにした。
「……浅木君。あれはないよ。向こうも向こうだけどさ」
とりあえず休憩室で、そう思いコーヒーを差し出す。
「すみません。あまりにもふてぶてしすぎて、我慢できなかったみたいです」
「うん。気持ちはよくわかるよ。でも、それを表に出しちゃ、社会人としてどうなのって話でさ」
「分かってるんですけど。……俺、この会社に中途入社した理由って知ってます?」
「何? 藪から棒に」
珍しく若い人間が入社したものだと思った記憶はあるが。
「大学三年の頃に、すでに内定もらってた会社があったんですよ。……ただ、身内で色々あったため、内定取り消しを食らいました」
「そう……だったの?」
「え? そっからですか?」
「いや、だってさ。毎日デスマみたいで、超ブラック会社。社会情勢はごく一部しか知らないのが多いのが、昔だったし」
「……すみません。そこをすっかり忘れてました」
「だと思ったけどさ。ってことは、あちらの役員、何かをしでかした身内?」
「えっと……」
そこまでくると、一弥が困った顔をした。
「俺の……身内ではないです。ちょっと、いや、かなり複雑な事情が……」
「うん。聞く気なくなった。とりあえず、その身内の何かにかかわってるやつってことでOK?」
「はい。さすがある程度の旧家だなって思っただけです。問題起こしても、あっさり役員就任できるとか」
「普通じゃ無理だね」
そんな話をしていたら、ぞろぞろと休憩に入ってくる社員がいた。
「もうそんな時間か。午後からきちんと仕事出来る?」
「はい。あれが絡まなければ出来ます。俺、担当から外してください。何なら降格で」
ごすん。誰かが一弥の頭を小突いた。
「浅木。聞いたぞ。お前の後輩から」
すぐにばつの悪そうな顔に切り替わっていた。
「先輩――。なんでそういうこと言うんですか」
「内定蹴られた会社に誘ったのは俺。情報くらい仕入れてるにきまってるだろ?」
にかっと今年から転職してきた男が笑う。
「俺から話しとく。あとで聞かれたことにはきちんと答えとけ」
「……ありがとうございます」
その後、それを聞いた上司は、取引停止にするかかなり悩んだという。
諺通りではないことも多いわけで。
現在、なんの因縁か、周一郎と一弥が顔を合わせていた。
「なんでお前がここにいる!?」
最初に口したのは周一郎だった。
「……何の用?」
「取引先に挨拶に来ただけだ」
「その横柄な態度何とかならないの? 俺、一応あんたの会社の担当者。ちなみに選ぶ立場ね」
どっちもどっちだ。という言葉を飲み込んだのは、一弥とともに「TabTapS!」等にログインをしている上司と、周一郎にとともに来た向こうの担当者だったりする。
「……初対面じゃないと」
「一度顔を合わせた程度です」
いつ、どこで!? と聞きたいのをその上司は我慢していた。
何せ、相手方は経営者が変わる前から取引のある会社の役員。
「うっわぁ。新卒を役員にする会社ってどうよ」
相手が若いとは思ったが、新卒かい! 昔から無茶な納期ばかりを言ってきていたが、縁故が多い会社だったのか。とか、どうしようもないことばかり思っていた。
「強いて言うなら、彼のやらかした事をある程度知っている人間です」
その言葉に向こうの担当者が、顔色を変えた。
「世間って狭いですね。今まで俺は表に出てこなかったから知りませんでしたけど」
七月にあった人事異動で、一弥は主任へと昇格し、会社同士の顔合わせもするようになったのだ。
「あ……浅木君。頼むからその物騒なオーラしまってくれる? 一応担当者同士の挨拶なんだしさ」
「え? そんなオーラ出してました。だと無理ですね。無意識なんで」
ちょい待てぇぇ!! 何その言い訳! 上司の胃がきりっと痛んだ。
「それに、まだどうしてそうなったか分かってないみたいですし。俺だって、開口一番、あんなこと言われなければ大人しくしようと思っていたんですが」
これでは挨拶にもならないと判断した上司は、そそくさと切り上げることにした。
「……浅木君。あれはないよ。向こうも向こうだけどさ」
とりあえず休憩室で、そう思いコーヒーを差し出す。
「すみません。あまりにもふてぶてしすぎて、我慢できなかったみたいです」
「うん。気持ちはよくわかるよ。でも、それを表に出しちゃ、社会人としてどうなのって話でさ」
「分かってるんですけど。……俺、この会社に中途入社した理由って知ってます?」
「何? 藪から棒に」
珍しく若い人間が入社したものだと思った記憶はあるが。
「大学三年の頃に、すでに内定もらってた会社があったんですよ。……ただ、身内で色々あったため、内定取り消しを食らいました」
「そう……だったの?」
「え? そっからですか?」
「いや、だってさ。毎日デスマみたいで、超ブラック会社。社会情勢はごく一部しか知らないのが多いのが、昔だったし」
「……すみません。そこをすっかり忘れてました」
「だと思ったけどさ。ってことは、あちらの役員、何かをしでかした身内?」
「えっと……」
そこまでくると、一弥が困った顔をした。
「俺の……身内ではないです。ちょっと、いや、かなり複雑な事情が……」
「うん。聞く気なくなった。とりあえず、その身内の何かにかかわってるやつってことでOK?」
「はい。さすがある程度の旧家だなって思っただけです。問題起こしても、あっさり役員就任できるとか」
「普通じゃ無理だね」
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