初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

現実世界にて<良平、禿げそうになる!?>

「ってかさ、事件起きた時に集会とか開かなかったの?」
「開いたよ!! 事件のことは事細かく説明しました!!」
 何せ説明のための資料を用意したのは良平で、説明は良平と富岡が主体となってやった。全校生徒に、保護者に。
「なんであんな馬鹿なことになるわけ?」
 少女――名前を紗耶香さやかというらしい――が呆れている。
「分かってたら対策練れる!!」
 拡げない方法などいくらでも取れる。それなのに、後手に回ったのが痛い。
「上に兄姉きょうだいいる人の話だとさ、あの人たちって同意しないと悪しざまに言うんだってさ。だから表向きだけ同意してるって感じらしいよ」
 それもどうなの、とあっさりと言う紗耶香に、思わず同意したくなる良平だが、明日からがまた大変そうで頭が痛いのだ。
「だぁぁぁ!! ふざけんのも大概にしろ!! んなことやったって何一ついいことないだろうが! あとあと矛盾点が出て困るのは本人だぞ!」
「オッサン、私に言ったって仕方ないじゃんか。本人たちに言ってやりなよ。拡散すればするほど、首絞めてるから」
「……もう、ヤダ。教育委員会通してマスコミからまた、、取材来ちゃったし。『VR事件のことがネットに拡散してますがどう思われますか』って。噂の出所があの子たちだって知れたら、別の意味で学校がまた取り上げられるっ!!」
 校長が必死に弁明しているが、難しいだろう。何せ今年転任してきたばかりなのだ。
「教師も大変だねぇ。オッサンが移動してなくてよかった、よかった」
「……どういうことかな? 一ツ谷ひとつや 紗耶香さんや」
「えーー? だってさぁ、オッサンが学校にいてくれたから早期発見、、、、できたわけだし。やること丸投げできるし」
「嫌味だよね!?」
「そら、もちろん。オッサンたちがもっとしっかりしてたらこんなくだらない噂出なかった可能性高いし。あ、策投げとくから、発動の上回収よろしく。あと責任もってね」
「ふざけんなぁぁぁ!!」
 にひゃりと笑う紗耶香の顔と、昌代の顔がだぶって見えた。


 その後、彼女たちは名誉棄損で訴えられ、放校処分となった。


 そして、彼女たちにまつわる噂がネット社会及びリアル社会でも囁かれ、存在を抹殺されるに至った。



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