初心者がVRMMOをやります(仮)
リタイアできないレイド 3
安全なところからカナリアたちは、戦いを見ている。いつの間にやらリースもジャッジ側として参戦しており、レイドの状況説明は全てセバスチャンがやっている。
「ジャッジ様も必死なようですね」
「My dear sonのやる気を出させるには、Little ladyの名前を効率よく出すこと、と。私も覚えておかないと。セバスチャン、間もなく休憩に来るメンバーがいる。用意を」
「かしこまりました」
「我も茶を用意しようかの」
「私もほうじ茶と買ってきた茶菓子を出しておきましょう」
いつの間にやら来ていたアントニーまでもが、観戦している。
「Mr,ディッチは天性の勘である程度編成しているようだが、本来であればあそこまで簡単にパーティ編成は出来ないよ」
「……そうなんですか?」
「そう。本来であれば盾役、攻撃役、回復役をどのように編成して配置するかを最初に考える。その単位で動かすプレイヤーが多い」
「昔はそうでしたよ。さすがにそれで全滅しちゃったら意味ないでしょう」
休憩に来たのは、ディッチ、ユーリ、イッセンにリリアーヌだった。
「二十数年前までは前線で戦うっていうこともあってそういうやり方してましたよ。今は後方支援ですんで、いつでも見れます。だから『あ、ここがヤバそう』とか、『ここから人を動かせる』とか、『こっちに支援回すのが先』とか分かるんですよ」
どかりと座って、さっそくクリスと話し込んでいた。
「そうか。そういう考えもありか」
「あとはあいつらの無茶な動きで慣れたっつうか、俺が無茶な動きをさせてたっつうか」
「どっちもだろうね。My dear sonは攻撃特化だけど、他のが出来ないわけじゃないからねぇ。私は補助職向きだったけど、My dear sonの実父は攻撃職向きだったよ。戦い方は本当に似ているよ」
「ってことは、補助系の動きはあなたの動きですか」
しみじみと言うクリスを、ディッチがジト目で睨む。
「近いかな」
それを気にすることなく、クリスは笑っていた。
「それにしても意外だ。Mr,ディッチは守り人という称号が欲しいと思わなかった」
本気で戦っていたからね、とクリスは笑って言う。
「俺が真っ先に守りたいのは、悠里一人ですから。カナリア君は何番目かな。レットが『守り人』称号を欲しがっているので、手伝ってるだけで」
そう言いながら、ディッチはユーリの腰に手を回して膝の上に乗せていた。
「よ……じゃなくてディッチさん!!」
ユーリが顔を真っ赤にして抗議するが、ディッチは一切気にしない。
「ディッチ、そろそろ交代しろ! 俺も死に戻りしたくない!」
「了解! じゃ、俺とディスが交代。ジャスも交代させてやりたいが、あいつが抜けると大変だしなぁ」
「せっかくだし、ステータスアップ系の流動食を持っていくといい。セバスチャンにお願いして作ってもらっていたし」
「クリスさん、あんた鬼」
「My dear sonはこれしきで負けたりしないからね。久しぶりに冷静なままの本気を見たいし」
「……」
クリスの言葉に全員が絶句した。鬼の方が可愛いレベルだ。
「手ぇ抜いてるみたいな言い方すんじゃねぇぇ!! 馬鹿クリス!!」
聞こえたらしいジャッジの怒声が、フィールド中にこだました。
「ジャッジ様も必死なようですね」
「My dear sonのやる気を出させるには、Little ladyの名前を効率よく出すこと、と。私も覚えておかないと。セバスチャン、間もなく休憩に来るメンバーがいる。用意を」
「かしこまりました」
「我も茶を用意しようかの」
「私もほうじ茶と買ってきた茶菓子を出しておきましょう」
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「……そうなんですか?」
「そう。本来であれば盾役、攻撃役、回復役をどのように編成して配置するかを最初に考える。その単位で動かすプレイヤーが多い」
「昔はそうでしたよ。さすがにそれで全滅しちゃったら意味ないでしょう」
休憩に来たのは、ディッチ、ユーリ、イッセンにリリアーヌだった。
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どかりと座って、さっそくクリスと話し込んでいた。
「そうか。そういう考えもありか」
「あとはあいつらの無茶な動きで慣れたっつうか、俺が無茶な動きをさせてたっつうか」
「どっちもだろうね。My dear sonは攻撃特化だけど、他のが出来ないわけじゃないからねぇ。私は補助職向きだったけど、My dear sonの実父は攻撃職向きだったよ。戦い方は本当に似ているよ」
「ってことは、補助系の動きはあなたの動きですか」
しみじみと言うクリスを、ディッチがジト目で睨む。
「近いかな」
それを気にすることなく、クリスは笑っていた。
「それにしても意外だ。Mr,ディッチは守り人という称号が欲しいと思わなかった」
本気で戦っていたからね、とクリスは笑って言う。
「俺が真っ先に守りたいのは、悠里一人ですから。カナリア君は何番目かな。レットが『守り人』称号を欲しがっているので、手伝ってるだけで」
そう言いながら、ディッチはユーリの腰に手を回して膝の上に乗せていた。
「よ……じゃなくてディッチさん!!」
ユーリが顔を真っ赤にして抗議するが、ディッチは一切気にしない。
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「……」
クリスの言葉に全員が絶句した。鬼の方が可愛いレベルだ。
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