初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

リタイアできないレイド 2


 現在、カナリアとジャッジは少しばかり離れた場所にいる。
 カナリアと一緒にいるのは、セバスチャン、リース、かぐやに月詠。そして何故かクィーンとクリスだ。
「My dear sonの戦いぶりを近くで見たくてね。Little lady、悪いけどコーヒーをもらえるかな」
 さらりとクリスが言う。ちなみに、クィーンはお薄の準備をしている。

 まずもって何がこうなった、というのがカナリアの意見である。
 倒されるのは怖いが、そういうものならば仕方ないと思っていた。倒しに来たのが「カエルム」や「神社仏閣を愛する会」のメンバーなのも分かっていた。
 攻撃が「ちょっと」当たっただけなのに、ジャッジが怒って全員を「死に戻り」させていたのはいただけないと苦言した。そういうゲームなのだから仕方ないと、こんこんとジャッジにゲーム内でも現実リアルでも言って納得してもらったはず……である。

「とりあえず皆、今回のレイドに限りMy dear sonを倒せば終わりだよ。HPやMP、LPが危なくなったらこちらにおいで。歓迎するよ」
「アザーーース!」
 クリスの言葉に全員がお辞儀をする。
「あ、こっちで食べると補助がつくみたいだ。コーヒーは素早さが上がるね」
「早速いただきます!!」
 腹が減ってはレイドは出来ぬと言わんばかりに、全員がこちらに来た。勿論ジャッジも一緒である。
「My dear sonはレイドボス扱いだからPvPやらPK扱いにはならないね。……おそらくタカの知り合いが組んだんじゃないかな」
「親父の知り合いならありえそう……でも、知り合いで行方不明なのはいないんだけど」
 一緒に参加のユウが不思議そうな顔で言う。
「……ふむ。再度調べてみる余地はあるね」
 互いにステータスをアップさせ、レイド戦に向かう。

「あ、My dear son。負けたら『巫女の守り人』の称号消えるからね。勝った人が次代の『巫女の守り人』。Little ladyはずっと『娘香の巫女』だから」
「え!?」
 巫女を辞めるためのクエストじゃなかったでしたっけ? と不思議に思うカナリアだった。

「巫女変更ごとだとプログラム変更に時間がかかるから、守り人変更にしたよ。これでMy dear sonが勝ったところでNo program。My dear sonから見たクエストは『称号を守れ』で他のメンバーから見たクエストは『称号を奪い取れ』。リタイアは出来ないが、今日の一戦で決まるよ」
 その言葉にスカーレットの目が怪しく光った。
「ってことは、カナリアちゃんを存分に愛でられるってわけだ! ウサ耳カムバーーーック!」
「お前に称号は渡さん!!」

 そしてレイドたたかいの火蓋はきって落とされた。

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