初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

周囲の反応


 同じクエストを受注しているチームとすれ違うと、ほとんどの人物がカナリアを見てくる。
 凄くいたたまれない。こんな高レベルの背の高い格好いい男の人たちと一緒にいたら、絶対に非難の的だよね。そうカナリアは思っていた。
 そして、その認識をジャッジたちは訂正しようとはしていなかった。

 男が圧倒的に多い「TabTapS!このゲーム」で、まずカナリアと同い年の女子というのはもっと少ない。そんな少女を連れていれば、逆に男たちが羨ましがる。「どうせネカマだろ」と思う人物も多くいる。その一方で、どうやったら「現実世界にいそうな少女」を上手く作成できたのか、知りたいと思ってしまうのだ。
 そして、カナリアが話せば確実に女だと分かる。尚更驚き注目してしまうのだ。

「とりあえずカナリア君」
「はい」
「さっきの復習をしようか」
「はい。私がダウン系の魔法をモンスターにかけます。そこで私は一度離脱。時間が許せば魔法を作成し、使います。味方のHPが減ったら私も回復にまわります」
「そのとおり! 他には?」
「ジャッジさんの依頼があればすぐさま、麻酔弾を作ります。あとはLPが減ってきたら、食事と飲み物を渡しま……」
「違う! 鉱脈とかを見つけたら、掘ること!! 君は職人なんだから」
 ディッチとカナリアの会話を聞いていたPCたちは、この少女が今話題のアクセサリー職人、カナリアであると認識した。
 勿論、ディッチもそのつもりでここで復習させたのだ。
「カナリア。ディッチさんにはLPが減っても食料は渡さなくていい。要らないみたいだし。俺らにはよろしく」
「ジャス! お前!」
「違うんですか? カナリアの発言はかなり的確だと思ったんだけど」
 ジャスティスが褒めるように、カナリアを支持した。
「変にフレンド登録申請されて、カナリアが困るよりもずっといいと思うぞ」
「そのあたりは俺らの視線で威圧」
 ぼそぼそとディスカスとディッチが言い合っている。
「そんなものを怖がるような利巧なやつだけじゃない。イエローカードギリギリでされたら、俺らだって守れるかどうか分からんし」
「この先はジャッジかディスが一緒に回るんだろ? 最悪危ないと思ったら、拠点から出るなって、俺から言っとく」
「現実での知り合いってのは、こういうとき楽だな」
「羨ましかろう」
「カナリアみたいな子ばっかりだったらな」
「そりゃ無理だ」
「羨ましくないな」
 どういう意味で羨ましいとか、羨ましくないとか言っているのか分からないカナリアだった。

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