初心者がVRMMOをやります(仮)
現実世界にて<良平とその愉快な家族>
ふらふらになりながら、良平は帰宅する。うん、今日は義両親も来ているはずだ。あの人たちは分からないことがあると良平や、その元教え子たちに聞いてくる。
「……ただいま」
「良平さん、お帰りなさい!!」
元気よく出迎えた妻を良平は思わず抱きしめた。
「りりりり良平さん? うちの親も、お義父さん、お義母さんもいらしてますから……」
「それだけじゃないでしょ?」
「晴香さんも来てます」
「他は?」
「? いませんけど」
「もしかしたら、保と正芳も来るかも」
「……何かありました?」
「かなり面倒なことが」
君をお嫁にもらう時以上に大変かもしれない。その言葉を良平は飲み込んだ。
「先にいただいてるよ」
居間に行くと、義父が声をかけてきた。良平は妻の悠里を手伝って、そのあと座った。
「で、良平。晴香に何を頼んだ?」
真っ先に父が訊ねてきた。
これまでのことも含め、ここにいる人たちに古瀬 美玖のことを話していく。
「昔の我々を見ているようだね」
現在は某会社の役員をやっている義父が、しんみりと呟いた。
「お義父さんと比べられませんよ。筋道すら通ってない」
義父は筋道が通り過ぎていた。それを無理矢理破壊したのが良平だ。ある意味排除されて当然のことをやったのだ。
その後、筋道を通せば、ある程度納得してくれ、そしてゲームのよさを伝えた後にVRをやっている。……目指せマープルさんと言っているのが、少しばかり怖いところだが。
「というと?」
「晴香にも頼んで調べてもらったんです。……その両親のことを」
「だから、そういうのは止めなさいと何度も……」
「お父さん、大事の前の小事」
ぴしゃりと晴香がたしなめていた。
「ゲーム上で彼女の従兄と会ったんですが……そこで矛盾点に気付きました」
美玖にゲームなどを禁止しておきながら、従兄にはゲームを推奨するようなことを言っている。美玖が昔にゲームをやりすぎたのだとしたら、少しばかり話は分かると思ったのだ。
だが、軽く調べただけでそれが違うと分かっていく。幼い頃よりTVもゲームも禁止され続けた美玖。その一方で親たちは好き勝手にゲームを買い漁っていた。
そして、ろくに教えもせずに美玖を放っておく。何も出来ない美玖を「何も出来ない、不器用者」とあざ笑っていく。保育園の保育士たちですら、外面のよさに全く気付かないほどなのだ。
気付かれたあと、美玖たちはその土地を去っている。
現在の場所に移り、家を構えているがおそらくはそのうちいなくなるかもしれない。
引っ越してきたという祖母のことについては、晴香は全く調べていなかった。そこまで時間がなかったのだ。そのうちでいい、良平もそう思った。
「酷い、ですね」
「かなりね。学年主任という立場で、担任が投げ出したから俺が関われるけど、ちょっとこれはって思ってる」
「……ふむ。私たちは良平君のおかげで『井の中の蛙』だと知ったようなものだが。VRが医療に使われているのは知っていたが、そこから派生したゲームなどふざけていると思っていた。それを根本から覆してくれたからね」
「悠里と会うまで、趣味に生きていたようなもんですから」
そのせいか、両親も悠里を気に入っており、実家に行くたびアウェイにいる感じになってしまう。
「私も役員という立場で情報を収集してみよう」
あっさりと義父が言う。大変ありがたいが、あなたのもつ影響力とか考えていただけませんかね、と本気で言いたくなる。ちなみに、義父が役員を勤める会社には高校・大学時代からの同級生はもとより、先輩・後輩までもがいたりする。特に多いのが研究畑だ。
「私もっ。その人に会ってみたい! どんな方なの?」
未だに箱入り娘な妻がはしゃいで言う。……うん。義両親も「TabTapS!」参加確定だ。
「多分、盆は全くログインできないと言っていたから、その間にゲームに慣れるといいよ。『TabTapS!』確か、登録だけはしていたはずだよ」
「あ、あの難しいやつですね。初心者の方がよく出来ますね」
「それは俺も思った。……最初の頃の悠里を思い出したけど」
「え?」
「ゲームに囚われないで色んなことをやってる。保がもうハラハラして見守ってるよ」
「すっごく可愛い子なのっ! 素直でいい子。 お義姉さんも気に入ると思うよ」
晴香が少しばかり美玖の情報を伝える。
「晴香さん。本当!? 私楽しみになっちゃった!」
「私たちも参戦しようかね」
義父の言葉に一瞬「やっぱり」と思ったが、「私たち」という言葉に引っかかりを覚えた。
「親父たちも参加するんでしょ?」
「当然だ」
うわ、やっぱりか!! 良平は頭を抱えた。
翌日。ディッチがギルマスをつとめるギルドのメンバーが五人一気に増えることになる。
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