初心者がVRMMOをやります(仮)
現実世界にて<千沙と保>
――お母さんのせいじゃない! 美玖にVRをやらせるからこうなるの。あの子は不器用なんだから。私たちだって暇じゃないんだから、責任持って美玖はお母さんが見ててよ――
実の娘に宣告された、あまりにも酷い言葉。千沙は孫娘に寄り添っていた。
私のせい? ごめんね美玖ちゃん。せっかく笑顔が見れたのに。
ICUから出たとはいえ、まだ意識は戻らない。その孫娘の手を優しく握った。
美玖は不器用なんかじゃない。誰よりも優しい女の子だ。夫も最期まで美玖のことを案じていた。病魔におかされながら、必死に娘夫婦を戒めていた。
それが死期を早めたということはない。余命宣告されてから、二人は娘夫婦の近くに住んだのだ。逆に、宣告された余命よりも長く生きている。
それでも、あの愚かな娘は全てを孫娘のせいにしたのだ。
病室を移って数日。千沙以外がここに来ることはない。
しばらく、千沙は美玖の顔を見ていた。なんと穏やかな寝顔だろうか。そんなことを思っていたら、ドアがノックされ、開いた。
「お話、よろしいですか?」
「えぇ。どうぞ」
見たことのない年配の男性が入ってきた。
「お孫さんが通う高校の教頭をつとめております、富岡と申します」
「美玖の祖母の磯部 千沙です。わざわざいらしていただき、ありがとうございます」
千沙は席をたち、富岡に挨拶をした。
「まだ、目覚めませんか?」
「はい」
夢の中のほうが美玖は幸せかもしれない。そう、警察官に言ったら困った顔をされた。
それ以来、そのことは言わないようにしている。
「もし、です。お孫さんが虐待されていたとして、刑事責任を娘さん夫婦が取られることになったら、どうしますか?」
やはり、そういう話になるのか。千沙は少しだけ寂しかった。
一弥やりりかのことがあるから、出来るだけ穏便に。そう息子は言って帰ったが、千沙としては、みっちりと刑事責任を取って欲しいと思う。それ以上に、それが原因で孫全員が不幸になったらどうしよう、という迷いがあった。
「そんなお話よりも、美玖が目覚めることを望むだけです」
それしか千沙はいえなかった。
あの時、無理矢理にでも引き取っていたら、こんなことにはならなかった。
千沙は後悔の渦に巻き込まれていた。
富岡が去ったあと、また近くを歩く足音がした。そして、扉の前で迷うように何度も行き来しているように感じだ。
誰かが、美玖を心配していて欲しいと、心から思った。
迷いに迷って、保は美玖の病室まで来た。一緒にいるのは良平と晴香だ。正芳は、仕事の関係上来れなかった。
ここに、カナリアがいるのか。そう思うだけで保は緊張していた。
例え、意識がなくても大事な女性に会うのだ。花籠は晴香が用意してくれた。
晴香がノックすると、弱々しい聞きなれた声がした。
「……ばあさん?」
そこにいたのは、以前からの知り合いのマープルだった。
実の娘に宣告された、あまりにも酷い言葉。千沙は孫娘に寄り添っていた。
私のせい? ごめんね美玖ちゃん。せっかく笑顔が見れたのに。
ICUから出たとはいえ、まだ意識は戻らない。その孫娘の手を優しく握った。
美玖は不器用なんかじゃない。誰よりも優しい女の子だ。夫も最期まで美玖のことを案じていた。病魔におかされながら、必死に娘夫婦を戒めていた。
それが死期を早めたということはない。余命宣告されてから、二人は娘夫婦の近くに住んだのだ。逆に、宣告された余命よりも長く生きている。
それでも、あの愚かな娘は全てを孫娘のせいにしたのだ。
病室を移って数日。千沙以外がここに来ることはない。
しばらく、千沙は美玖の顔を見ていた。なんと穏やかな寝顔だろうか。そんなことを思っていたら、ドアがノックされ、開いた。
「お話、よろしいですか?」
「えぇ。どうぞ」
見たことのない年配の男性が入ってきた。
「お孫さんが通う高校の教頭をつとめております、富岡と申します」
「美玖の祖母の磯部 千沙です。わざわざいらしていただき、ありがとうございます」
千沙は席をたち、富岡に挨拶をした。
「まだ、目覚めませんか?」
「はい」
夢の中のほうが美玖は幸せかもしれない。そう、警察官に言ったら困った顔をされた。
それ以来、そのことは言わないようにしている。
「もし、です。お孫さんが虐待されていたとして、刑事責任を娘さん夫婦が取られることになったら、どうしますか?」
やはり、そういう話になるのか。千沙は少しだけ寂しかった。
一弥やりりかのことがあるから、出来るだけ穏便に。そう息子は言って帰ったが、千沙としては、みっちりと刑事責任を取って欲しいと思う。それ以上に、それが原因で孫全員が不幸になったらどうしよう、という迷いがあった。
「そんなお話よりも、美玖が目覚めることを望むだけです」
それしか千沙はいえなかった。
あの時、無理矢理にでも引き取っていたら、こんなことにはならなかった。
千沙は後悔の渦に巻き込まれていた。
富岡が去ったあと、また近くを歩く足音がした。そして、扉の前で迷うように何度も行き来しているように感じだ。
誰かが、美玖を心配していて欲しいと、心から思った。
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ここに、カナリアがいるのか。そう思うだけで保は緊張していた。
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