初心者がVRMMOをやります(仮)
現実世界にて<最凶な二人>
悠里の母親は特別室を二つ用意した。保の仕事がしやすいようにという配慮と、「襲わないように」という二つの理由からだとあっさり言い切った。
「……俺、そこまで信用ないか?」
「あるわけないだろ。リアルでカナリアに会ったら手を出しそうだからゲームで我慢するって、言ってたのは誰だ」
「俺だな」
まだ点滴生活の保に、正芳は容赦ない。
「んで、どうするよ?」
「美玖がもう一回起きるまでは一緒にいたい」
「……変態ロリコン」
「やかましい!」
「あっちは良平先生のお母さんと、悠里先輩のお母さんが付き添ってんだ。大丈夫だろ。悠里先輩はカナリア用の教材集めだとよ。目が醒めても一ヶ月の入院は必要だろって」
さらりと話をかえてきた。
「どうせ、VRの中で勉強できるんだったら、そっちで取り戻そうって魂胆だろ」
「よく分かったな」
「良平先生の考えそうなことだろうが。俺らの世代、何人それやられた?」
「……あ~~」
高校時代をありありと思い出した正芳が、あらぬ方向を向いた。
当時の富岡学年主任と二人がかりでゲーム内での補講。「赤点取りながらゲームしたいなら、これ位やってみろ!!」と言ってのけた人たちだ。
「あとは精神的に壊れてる可能性があるから、そちらの治療に医療用VRを使うかもしれないな」
「どうしてそう思う?」
「……禰宜田医療って会社お前忘れたの?」
そう、禰宜田医療は世界でもトップクラスの医療用VR機器を製造しているのだ。そして、悠里の父親はそこの親会社である禰宜田薬品の役員だ。
「……忘れてた。……げ!」
「どうした?」
「もし、仮に、だ」
少しばかり怯えた風で正芳が言う。
「良平先生のお父さんと、悠里先輩のお父さんが手を組んだら、どうなる?」
「……怖いことを考えるな」
今まで絶対にそれをしなかった二人でもある。
「実際起きてんだよ」
正芳が怯えた理由が、保にも分かった。
そして、あの二人の手を組ませた美玖はある意味最強だと思った。
翌日、美玖は目を覚ました
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