初心者がVRMMOをやります(仮)
現実世界にて<女帝との対面>
「……保、さん?」
美玖が正気に戻れたのは、それから数日経過していた。
「ここ、どこですか? どうして保さんがここに?」
ほとんどを覚えていない美玖にとって、いきなり見知らぬ場所に保もいるということになる。
今でもヘッドギアを被せ、VRの世界に繋ぐと過呼吸を起こす。それを考慮し、カプセル型の機器を使用しての治療となっている。
「お主が助けを求めたのが、この男だからに決まっておろうが」
「え!?」
呆れて昌代がため息をついていた。
「お主はやはり覚えておらぬか。……仕方あるまいて。治療中に思い出すといい」
「美玖、このお方は悠里先輩のお祖母さんにあたる方だそうだ」
「悠里先輩?」
「良平先生の奥さん」
そこで美玖は少しばかり考え込んでいた。
「……溝内先生の奥さんがユーリさん」
「そう」
「ユーリさんのご両親がパパンさんとママンさん」
「?」
「ということは、この方はパパンさんかママンさんのお母さん」
そこで美玖は昌代に向かってお辞儀をした。
「私は古瀬 美玖といいます。溝内先生はじめ、そのご家族の皆様にはお世話になっております」
「……我は禰宜田 昌代。さゆりの母親と言ったこところか」
さゆりがママンの名前だと教えると、少しばかり驚いた表情になっていた。昔なら絶対に気付かないくらいのささやかな表情の変化だ。
「さゆりたちにはいつお会た?」
「お盆時に一度だけ繋いだVRMMOでです。皆さん私を優しく受け入れてくれました」
「良平と悠里には?」
「溝内先生は化学担当の先生ですから、高校でお会いしました。奥さんとは同じくお盆の時です」
「ということは良平以外と直接お会うたことはないと?」
「……はい」
「あれらにしては珍しいこともあるものじゃ。
お主、礼儀作法は誰に?」
「祖母です」
美玖が祖母、とだけいう時はマープルこと、千沙のみを示すことを学んでいる。
「左様か。よき祖母であるな」
「はい」
そして茶が運ばれてきた。
「この男がいる理由じゃが、お主が助けを求めたというのが正しいかの。うわごとで助けを求めたのは、この男とその祖母だけであった。それゆえ、我は身内にばれぬ保をこちらに呼んだ。お主が錯乱中にこちらに連れてきてしまったからの。誰かしら知っておるものが傍におればと思うた。
良平は仕事があるゆえ無理。悠里とどれくらい親しいか分からぬゆえ、除外させてもらった。この男、一部屋分のパソコンがあればどこでも仕事が出来るらしいからの」
「……そう、だったんですか」
少しだけしょんぼりとした美玖を見て、保は思わず手を握り締めた。それを見た昌代が意地悪げに笑う。
「美玖、お主はまずVRでのカウンセリング含めた治療。……途中からはゲームでのリハビリもする。外を歩くようになるにはもう少し時間がかかるようじゃの」
「昌代様。我々の仕事を取らないでください」
狭山が呆れていた。そして美玖に向かって自己紹介をはじめた。
「初めまして。昌代様の主治医兼世話係の狭山と申します。今回からは美玖さんの医療チームの一員としても動かさせていただきます。こちらが外科医兼料理人の三浦。そして、私の知り合いで心療内科専門医の遠山と申します。美玖さんの治療は遠山が主体となりますが、他にも数人体制であたります。ゲームの時なども一緒に回ることがあるかと思いますので、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。私なんかのためにそこまでしていただけるなんて、恐縮です」
「美玖よ。過ぎた卑下は他者をも貶める。覚えておくがよい。お主は『自分のためなんか』と言うた。それは治療を施してくれるものへの侮辱じゃ」
「……すみません」
「すぐにとは言わぬ、自信を持て」
「……はい」
さすが年の功、と保は思ったが口に出さないでおいた。
「保くらいふてぶてしくなった方がよいかもの。保はもう少し謙虚というものを美玖から学べ。我を見て『砂○け婆』と口に出したのはお主ぐらいじゃ」
聞こえないように呟いていたが、どうやら聞こえていたらしい。
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