初心者がVRMMOをやります(仮)
何を求めるか
「ジャスティスさん。要らない布切れってありますか?」
舞踏会にあと数時間で行くという時になって、カナリアがジャスティスに声をかけてきた。こちらからコールされるまで何かのクエストを受けていたらしく、慌しく帰って来たばかりだ。
「? あることはあるが。準備は?」
ダークスーツに身を包んだジャスティスが答えた。
「準備はソフィル王国宮殿の控え室でやるそうです。他の方々にも内緒らしくて」
女性陣のドレスもだが、特にカナリアのドレスには、かなり心血を注いだ。あれを、直前まで見せたくないという、スカーレットとディスカスの気持ちも分からなくない。
「ん。さっきまで他んところでサンプルとして渡してたやつだ。没になったやつだがいいのか?」
「はいっ。ありがとうございます」
ウサミミが元気よく伸びたことから察するに、何かしらまた思いついたのかもしれない。
「今度は何をする気だ」
ジャスティスは思わず呟いた。
「今回のクエストは、どちらかというと技術を……」
運転しながらジャスティスが言うが、カナリアはどこ吹く風で作業をしている。
「……なんでお前も行く直前に布切れ渡すんだよ」
「こうなるのは……よくよく考えれば分かったよな。すまん」
ジャッジの嫌味にジャスティスは反論を試みたが、無理だった。
カナリアが舞踏会クエストに参加するのは、本日のみ。そのために「深窓の宴」側と「カエルム」側で何度か話し合いがもたれた。
ソフィル王国首都に本拠地を構えるギルド「深窓の宴」。毎日開かれる舞踏会に、誰かしら参加している。その中から、今日はシュウだけは何としてでも除いてもらったのだ。
「セバスチャン!!」
「ミ・レディ。少しは周囲の話も聞きましょうか」
「……はい」
しょんぼりと垂れた耳をスカーレットが撫で回していた。ある意味セクハラ親父である。
「まぁまぁ。とりあえず、ソフィル大陸の位置づけから説明するね。ソフィル王国は流行の最先端の国、とも言われていてこの舞踏会には全世界から要人が集まるの。
それもあいまって、生産系のPCはもとより、NPCもこぞって集まってくる。己の力量を他者と比べるためってのもあるけど、新しい技術を売り出すためって言う理由もある。兄貴が今回この八人乗りセダンとマイクロバスの二台で行くことを決定したのもそのため。車も色々種類あるんだけどね、水を水素と酸素に分けて走る車は兄貴が作ったやつだけなんだよね。
他は中にサラマンダーを入れていたり、アサミタイから取れる油と繊維の残りかすを利用した燃料を使ってるものもあるんだ。兄貴も色んなもの見て取り入れたりしてるから、楽しいと思うよ」
この説明の半分くらいしかカナリアは理解出来ていないに違いない。耳がそれを物語っている。
「スカーレットさんは……」
「あたし? あたしはカナリアちゃんが作ったアクセサリーと提案した布地の下地に使っている錬金術かな。ボンド作るときのやつ。上手くいくとここで大量注文のチャンスだからね。
カナリアちゃんの場合は、新しいアクセサリーパーツの提案。錬金素材だと思われていた竜鱗をアクセサリーに使ったことかな?」
「とりあえず、俺とカナリアは王侯貴族への挨拶とあとはダンスを一曲だけ踊ってから帰る。他は?」
さり気なくジャッジがカナリアの予定を自分に合わせている。ジャスティスが呆れながらも気がつかない振りをした。
「色々素材を見て回る」
「あたしは未定。以前だったら兄貴と挨拶回りだったけど、今回はユーリさんもいるからね」
「皆さんと別行動……ですか」
しょんぼりとしたカナリアを今度はスカーレットとジャッジの二人で撫でくり回し始めた。
「あたしも一緒……」
「却下だ。カナリア。リハビリも兼ねてるんだ、長居は難しいぞ」
「……そうですね」
「今度全員でクエストを受注すればいい」
「……はい」
まだ元気のないカナリアをジャッジが抱きかかえに入った。
舞踏会にあと数時間で行くという時になって、カナリアがジャスティスに声をかけてきた。こちらからコールされるまで何かのクエストを受けていたらしく、慌しく帰って来たばかりだ。
「? あることはあるが。準備は?」
ダークスーツに身を包んだジャスティスが答えた。
「準備はソフィル王国宮殿の控え室でやるそうです。他の方々にも内緒らしくて」
女性陣のドレスもだが、特にカナリアのドレスには、かなり心血を注いだ。あれを、直前まで見せたくないという、スカーレットとディスカスの気持ちも分からなくない。
「ん。さっきまで他んところでサンプルとして渡してたやつだ。没になったやつだがいいのか?」
「はいっ。ありがとうございます」
ウサミミが元気よく伸びたことから察するに、何かしらまた思いついたのかもしれない。
「今度は何をする気だ」
ジャスティスは思わず呟いた。
「今回のクエストは、どちらかというと技術を……」
運転しながらジャスティスが言うが、カナリアはどこ吹く風で作業をしている。
「……なんでお前も行く直前に布切れ渡すんだよ」
「こうなるのは……よくよく考えれば分かったよな。すまん」
ジャッジの嫌味にジャスティスは反論を試みたが、無理だった。
カナリアが舞踏会クエストに参加するのは、本日のみ。そのために「深窓の宴」側と「カエルム」側で何度か話し合いがもたれた。
ソフィル王国首都に本拠地を構えるギルド「深窓の宴」。毎日開かれる舞踏会に、誰かしら参加している。その中から、今日はシュウだけは何としてでも除いてもらったのだ。
「セバスチャン!!」
「ミ・レディ。少しは周囲の話も聞きましょうか」
「……はい」
しょんぼりと垂れた耳をスカーレットが撫で回していた。ある意味セクハラ親父である。
「まぁまぁ。とりあえず、ソフィル大陸の位置づけから説明するね。ソフィル王国は流行の最先端の国、とも言われていてこの舞踏会には全世界から要人が集まるの。
それもあいまって、生産系のPCはもとより、NPCもこぞって集まってくる。己の力量を他者と比べるためってのもあるけど、新しい技術を売り出すためって言う理由もある。兄貴が今回この八人乗りセダンとマイクロバスの二台で行くことを決定したのもそのため。車も色々種類あるんだけどね、水を水素と酸素に分けて走る車は兄貴が作ったやつだけなんだよね。
他は中にサラマンダーを入れていたり、アサミタイから取れる油と繊維の残りかすを利用した燃料を使ってるものもあるんだ。兄貴も色んなもの見て取り入れたりしてるから、楽しいと思うよ」
この説明の半分くらいしかカナリアは理解出来ていないに違いない。耳がそれを物語っている。
「スカーレットさんは……」
「あたし? あたしはカナリアちゃんが作ったアクセサリーと提案した布地の下地に使っている錬金術かな。ボンド作るときのやつ。上手くいくとここで大量注文のチャンスだからね。
カナリアちゃんの場合は、新しいアクセサリーパーツの提案。錬金素材だと思われていた竜鱗をアクセサリーに使ったことかな?」
「とりあえず、俺とカナリアは王侯貴族への挨拶とあとはダンスを一曲だけ踊ってから帰る。他は?」
さり気なくジャッジがカナリアの予定を自分に合わせている。ジャスティスが呆れながらも気がつかない振りをした。
「色々素材を見て回る」
「あたしは未定。以前だったら兄貴と挨拶回りだったけど、今回はユーリさんもいるからね」
「皆さんと別行動……ですか」
しょんぼりとしたカナリアを今度はスカーレットとジャッジの二人で撫でくり回し始めた。
「あたしも一緒……」
「却下だ。カナリア。リハビリも兼ねてるんだ、長居は難しいぞ」
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