兎レイド開始！！

　今回のレイド戦にシュウは来なかった。カナリアも前線に立つのだ。いないほうが楽でいいだろう。
　現在「深窓の宴」の半数はクィーンとアントニーによる座禅などのカリキュラムが組まれているという。それを聞いたジャッジは思わず合掌した。
　高校時代、アントニー一人でもジャッジは結構怖かったのだ。＋クィーンもいるとなっては、さぞかし怖いことになるだろう。ジャスティスもそれを感じているようで、珍しく「深窓の宴」のメンバーに同情していた。
「……正直、こっちのメンバーに選ばれて嬉いっす」
　ドラゴンレイドのときにも世話になったレンが呟いた。
「レットの姐御や皆さんと戦えることも大変ありがたいっすが、あのお二人は正直威圧感が半端ないっす」
「それ、本人たちに聞こえないようにな」
　ディッチが苦笑していた。
「さてと、レイドなんていってもそこまで作戦考えているわけじゃない。
　大まかに部隊を三つに分ける。それだけだ。『神社仏閣を愛する会』のメンバーはそれぞれ分かれてもらう。弱点や攻撃パターンは誰よりも詳しいからな。で、『深窓の宴』と『カエルム』もある程度どういう組み合わせだと楽かをパターン化した上でPTにする。ここまで質問は？」
「解体はどうするっすか？　AI任せっすか？」
「AIはそれぞれの得意分野で動いてもらう。基本はカナリア君とユーリ、それからエリさんのAIカエデが優先的に解体作業に回ってもらう。作業に回るまでは、ユーリは前線で、カナリア君は後衛から援護を頼む」
　その言葉に、全員が頷く。今回指揮を執るのはカーティスとディッチだ。
　メインはカーティス、そして今回のレイド戦の裏情報を集めるのがディッチだ。

　とりあえず、島の住民の話から、カナリアのウサミミは絶対に外さない方がいいだろうという結論に達した。そして、ナースキャップも外し、服もナース服からふわふわの兎コスへと代わっている。しかも、手にもっているのは杵型の杖である。
「十五夜の兎と言えば餅つきだろう」
　そう提案したディスカスと、激しく賛成をしたスカーレットに押し切られた形だ。……しかも兎の尻尾もあり、ぴくぴく動くあたりが芸が細かい。
「あぁぁ！！　愛でたい！！　このカナリアちゃんを愛でたい！！　さぁ皆の衆！　さっさと終わらせるよ！！」
　セクハラ親父のようにカナリアを触ったあと、スカーレットが号令をかけた。

　一週間に及ぶ、怒涛の兎レイドの始まりである。