初心者がVRMMOをやります(仮)
真実のレイド戦へ
七日間にわたる一角兎のレイド戦は、やっと最終日を迎えた。
十八人のプレイヤーの中で一番ホクホクとした顔をしているのは、カーティスである。
和食も食べたし、おにぎりも食べた。そして予定数をい上回る巨大一角兎の角を手に入れられたのだ。そして来年からの道筋も出来たのだ。
逆の意味で喜んでいるのは、「カエルム」のメンバーだろう。スカーレットは例のごとく、兎コスの三人を侍らせるようにして座っている。「眼福、眼福」と言っているあたり、中身はセクハラ親父に近いモノがある。
それを気にせず、ウサミミをピクピク動かして、カナリアは何かを作っており、そんなカナリアをここに放置するわけには行かず、ユーリが見守っている。
カエデは主がまだログインしていないため、そこで大人しくしているだけだが。
「お待たせしましたー」
エリがのんびりとした声で入ってくる。
これで全員が揃った。
レイド開始までゲーム時間にしてあと一時間。
「のぉぉぉぉぉ!!」
レンの驚愕した声がレイド開始と共に響き渡った。
巨大一角兎の数が半端ないのである。今まで一度に四羽くらい来れば多いほうだった。
今いるのは二桁にのぼる兎の数だ。
しかも、巨大一角兎と共に、白兎と黒兎までいる。
「巨大一角兎レイドって、こんなんなんっすか!」
「あははは。初めてですー。でもありがたいですー」
「ありがたいで済ませないでほしいっすー!」
「とりあえず巨大一角兎は、足を払って転ばせてください! 転ばせる係を六人! そのうち一羽から二羽の角を切ってください。他は起きたらまた転ばせて! 三人は白兎と黒兎を担当して! 剥ぎ取りながら倒してください!」
喜んだカーティスがすぐさま指示を出した。
素材がこんなに来るとは思っていなかった。しかも、ピアスがあるおかげなのか、エリとスカーレットへの攻撃は少ない。全くない、というわけではないのが不思議だが。
「ギルマスー。これ全部倒せたら、楽しいですよねー」
難しいと思う。指示する場所から見たカーティスはそう思った。
倒しても倒しても湧き出るというに相応しい兎の数だ。
今までずっとやっていた「神社仏閣を愛する会」ですら初めてなのだから、対処方法はないだろう。
だが、それが今まで本当にレイドを攻略できていたわけではないという、確証へと代わっていく。
これはレイドの前哨戦でしかないのかも知れない。ディッチはそう思い、全員にそれを伝えた。
その通達ににやりと笑ったのは、ジャッジである。
角を綺麗に確保する関係上、全力を出せない。それが少しばかり今回のレイドで不満だったのだ。
そのあとに暴れられるかもしれない、それはジャッジの気分を昂ぶらせるには十分すぎた。
「ふぇぇぇ!!」
巨大一角兎の解体の傍らで、カナリアたちは白兎と黒兎の解体を手伝いつつ、時々シラタマルと対峙している。
はっきり言って、解体班も大変なのだ。
「皆さんー、よろしくお願いしますねー」
時々エリたちが声をかけてくれるが、カナリアたちはそれどころではなかった。
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