初心者がVRMMOをやります(仮)
現実世界にて<女帝の考え>
「美玖、済まぬな。やかましいのが増えた」
「……いえ」
「こやつは一応我の弟義道と言う。孝道の父親じゃ。そして、その妻の麻里」
「……初めまして。いつもたくさんお世話になってます」
「まぁまぁ。さすが義姉様が気に入るだけはありますわ! 何て礼儀正しい子なのでしょう!! 孝道が引き取りたいと言ったのも分かります」
長く欧米で過ごした麻里はスキンシップが激しい。思わず昌代はこめかみを押さえたが、存外にも美玖は驚いていない。
「……晴香様で慣れていらっしゃるのですよ」
いつも美玖と一緒にログインしている遠山が、昌代の耳元で囁いた。
「それで、天原」
「……なんでしょう?」
「美玖ちゃんはどこで引き取ることになったの? 日本が喧しいというならマーカスも候補に入れなさい」
「……禰宜田家とそのご親族になられる方は、他者を振り回すのが趣味ですか?」
天原が嫌味のように呟いていた。
「我としては国内のほうがいいがの」
マーカスのところのほうが親族から守るということについてはいいのだが、保がくっついて行くことを考えると、かなり危険なのだ。
「私もそれを推奨します」
遠山も昌代に賛同してきた。
「あら、だとマーカスには日本に来てもらう必要があるわね! 美玖ちゃん、マーカスと会ったことあるでしょう?」
その言葉に美玖が、コテンと首を傾げた。
「カーティスさんと仰るイギリス人の方なら何度か。それ以外は思い当たる節はありません」
「お主は、ゲームでお会た、カーティスも入れるか。……まぁ、よい。美玖は分からぬようじゃぞ?」
「そう? じゃあマーカスの思い違いね。候補から省きましょう。だとしたら義孝か孝道のどちらかね! それとも……」
「喧しいわ! 選ぶのは美玖じゃ。それを忘れるな!」
「あら、義姉様。おかしいですわ~~。うふふ。孫娘にもこんな可愛い時期があったのよねぇ。あなた」
どちらかと言えば麻里のほうが乗り気なのか。こういうときは美玖が大人しいのが仇になる。昌代は思わず扇子を囲炉裏の淵に叩きつけた。
「美玖は現在リハビリを優先せねばならぬのに、周囲がそこまで騒いでどうするというのじゃ。美玖は人形でも玩具でもない。今、TVで色々騒がれておるからそれに乗じて養子にしたいというなれば、身内であっても容赦はせぬぞ」
昌代の本気だけが伝わればいい。もし、自分が老い先短くなければ、引き取ると名乗りを上げただろう。
美玖を叩き壊したのは、あのVRの事件だ。壊れかけていても、必死でたちあがろうとしていた美玖を、両親が己の欲のためにヘッドギアを壊したことで、美玖の心も壊れたのだ。
それまでは虐待という毒に冒されながらも、千沙という理解者とゲームであった数多の人間によって美玖は支えられていた。
一人で立ち上がれなくすることが親のすることか? まず最初に昌代が思ったのはそれだった。そして、昌代は保という男に支えられ立ち上がる美玖に、危惧している。
保も恐ろしい男だ。一人で立ち上がれなくても、自分が支えればいいという歪んだ考えの持ち主だ。元からその兆候はあったようだが、自分を律することが出来なくなったのも、VRの事件からなのだ。
そういう意味でも、昌代にとってあの事件は忌々しいものでしかない。
「美玖のことで禰宜田の家が騒ぐことのないようにせよ」
そして、美玖を退出させた。
「……いえ」
「こやつは一応我の弟義道と言う。孝道の父親じゃ。そして、その妻の麻里」
「……初めまして。いつもたくさんお世話になってます」
「まぁまぁ。さすが義姉様が気に入るだけはありますわ! 何て礼儀正しい子なのでしょう!! 孝道が引き取りたいと言ったのも分かります」
長く欧米で過ごした麻里はスキンシップが激しい。思わず昌代はこめかみを押さえたが、存外にも美玖は驚いていない。
「……晴香様で慣れていらっしゃるのですよ」
いつも美玖と一緒にログインしている遠山が、昌代の耳元で囁いた。
「それで、天原」
「……なんでしょう?」
「美玖ちゃんはどこで引き取ることになったの? 日本が喧しいというならマーカスも候補に入れなさい」
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天原が嫌味のように呟いていた。
「我としては国内のほうがいいがの」
マーカスのところのほうが親族から守るということについてはいいのだが、保がくっついて行くことを考えると、かなり危険なのだ。
「私もそれを推奨します」
遠山も昌代に賛同してきた。
「あら、だとマーカスには日本に来てもらう必要があるわね! 美玖ちゃん、マーカスと会ったことあるでしょう?」
その言葉に美玖が、コテンと首を傾げた。
「カーティスさんと仰るイギリス人の方なら何度か。それ以外は思い当たる節はありません」
「お主は、ゲームでお会た、カーティスも入れるか。……まぁ、よい。美玖は分からぬようじゃぞ?」
「そう? じゃあマーカスの思い違いね。候補から省きましょう。だとしたら義孝か孝道のどちらかね! それとも……」
「喧しいわ! 選ぶのは美玖じゃ。それを忘れるな!」
「あら、義姉様。おかしいですわ~~。うふふ。孫娘にもこんな可愛い時期があったのよねぇ。あなた」
どちらかと言えば麻里のほうが乗り気なのか。こういうときは美玖が大人しいのが仇になる。昌代は思わず扇子を囲炉裏の淵に叩きつけた。
「美玖は現在リハビリを優先せねばならぬのに、周囲がそこまで騒いでどうするというのじゃ。美玖は人形でも玩具でもない。今、TVで色々騒がれておるからそれに乗じて養子にしたいというなれば、身内であっても容赦はせぬぞ」
昌代の本気だけが伝わればいい。もし、自分が老い先短くなければ、引き取ると名乗りを上げただろう。
美玖を叩き壊したのは、あのVRの事件だ。壊れかけていても、必死でたちあがろうとしていた美玖を、両親が己の欲のためにヘッドギアを壊したことで、美玖の心も壊れたのだ。
それまでは虐待という毒に冒されながらも、千沙という理解者とゲームであった数多の人間によって美玖は支えられていた。
一人で立ち上がれなくすることが親のすることか? まず最初に昌代が思ったのはそれだった。そして、昌代は保という男に支えられ立ち上がる美玖に、危惧している。
保も恐ろしい男だ。一人で立ち上がれなくても、自分が支えればいいという歪んだ考えの持ち主だ。元からその兆候はあったようだが、自分を律することが出来なくなったのも、VRの事件からなのだ。
そういう意味でも、昌代にとってあの事件は忌々しいものでしかない。
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