初心者がVRMMOをやります(仮)
現実世界にて<オフ会再び>
隆二やその父も揃ったところで、再度「カエルム」のメンバーでオフ会と相成った。
「ね……禰宜田の女帝……」
驚愕の表情で隆二の父親の隆之が呟いていた。
「なんじゃ。角田殿のご子息であったか」
「……知り合い?」
隆二も不思議そうに隆之と昌代を見ている。
「あの山小屋を用意してくださった方だ」
「はぁ!?」
隆之の言葉に今度は隆二と保たちが驚く番だった。
「お主が逃げておったはこのゲームのことであったか」
相変わらず背筋をぴんと伸ばし、昌代が言う。美玖は人が増えると怯えるということと、VRでのリハビリのために今はいない。
「美玖が来てから紹介でよかろう。我は角田殿と何度か顔を合わせておるし、ご子息とは出迎えておる故にな」
やはりこのお人の人脈は底知れない。
「で、保君」
晴香がしれっと声をかけてきたが、あえて気付かぬ振りをした。
「美玖ちゃんがリハビリしている場所はどこ? いいもんもってきたんだけど?」
げへへへと笑う様は、どう控えめに見ても女性で警察官には見えない。まごうことなく、酔っ払いのセクハラ親父である。
「せっかく似合ってた、兎コスがVRで駄目ならリアルででしょ!」
「却下です。服はもらっておきますが」
キグルミ風の服を受け取って保が答えた。
「うわぁ、変態~~」
「晴香さんに言われたくありませんが。俺の目の前でだけならこの服オッケーです」
この回答も変態だと保が気づくことはあるのか、それは誰も分からない。
「何、その『兎コス』って」
隆二が分からないとばかりに聞いてきたのが間違いだった。
晴香が今まで撮ったスクショを大量に持って来ていたのだ。
「この子が、カナリアちゃんこと、美玖ちゃん。保君の彼女ね。で、こっちがカエデちゃん。知り合った子のAI。このキグルミショットがなんともいえない。これが兄貴の奥さん」
「せんせぇ」
晴香のいう「兄貴」が良平だと知った瞬間、隆二がなんとも言えない顔になっていた。
「こら! 悠里のまで持って来るな」
「いいじゃんか。減るもんじゃないし」
「いいや、減る!」
「……まぁ、何となく分かってたけど、良平先生も変態なんだな」
ぼそりと隆二が呟いていた。
「男のロマンの具現化だと思いたまえ。ちなみに服の製作はジャス、武器は俺だ」
冬樹が慰めにもならない言葉で、隆二を慰めていた。
「おばばさん」
美玖が躊躇いがちに廊下から声をかけてきた。
「入れ。これからのお主に重要な者たちばかりじゃ」
「……はい」
控えめに「失礼します」とだけ言って、美玖が襖を開いた。昌代の躾で、綺麗な動きとなっている。
「うっわぁ。保、この子着物のほうが似合うじゃん」
正直すぎる隆二を肘で小突いて美玖のそばまで歩いていく。
「髪型、どうしたの?」
「えっと、……おばばさんのお知り合いの方に……保さんがいない時に……」
「そっか。似合ってるよ」
「ありがとうございます」
ぱぁっと明るくなった顔で、美玖が言う。
「……脳内花畑?」
「安心しろ、隆二。あんな保はいつでも見れる。ってか、最初己を律するために『ゲームでしか会わない』とかほざいた時は、どん引きしたぞ」
「つか、何? そのキャラが変わったような言い分は。昔だったら、相手の考えも無視して押せ押せだったじゃんか」
「今がその状態だ」
「……止めろよ」
「止めれるんだったら、とっくに良平先生が止めてるよ」
隆二と正芳が煩いが、保は美玖の頭をひたすら撫でていた。撫でるのに満足したあと、保は美玖を抱きかかえた。
「た……保さん! わ、私歩けます!!」
「うん。俺が抱きかかえたいだけだから、我慢して」
恥ずかしがって、保の胸元に顔をうずめてくるのが、またいいのだと美玖は気付かない。
気付いたところで止めさせないが。
「いい加減にせんか。我は美玖に自己紹介させるために呼んだのじゃぞ? お主に抱きしめられるために来たわけではないわ」
こういう時も昌代は黙っていない。というか、こういう時こそ黙っていない。邪魔を生きがいにするかのように口を出してくる。
保が座ると、その腕からするりと逃げ出した。昌代のにらみがなければ、保は美玖を隣に置いていただろう。
「先程から何度か名前は呼ばれていますが、古瀬 美玖と申します。『TabTapS!』においてはカナリアと名乗っています。溝内先生が主催するギルド『カエルム』に入れてもらっています。よろしくお願いします」
「角田 隆之といいます。丁寧な挨拶をありがとう。こちらは愚息の隆二。保君たちとは同級生だそうだから、あまりかしこまらないで欲しいかな。禰宜田の女帝に恩があるのはこちらも一緒だからね」
優しく隆之が言う。
「それから、我々親子が一部『TabTapS!』のプログラムに関わっている。誰が総括していたのかは、分からないが、危険だと思える『限定クエスト』の情報は教えられる」
「幾つの限定クエストがあるか、誰も分からない。だからそれを知った上でゲームをしてもらうが、トールや『深窓の宴』とはなるべく関わりあいを持たないほうがいい」
隆之の言葉に隆二が続けるが、その忠告は既に遅いのだ。
「それから、あなたが『VR事件』の被害者であるということは掴んでいます。美玖さん、間違いないですね?」
躊躇いがちに、美玖が頷いていた。
「ね……禰宜田の女帝……」
驚愕の表情で隆二の父親の隆之が呟いていた。
「なんじゃ。角田殿のご子息であったか」
「……知り合い?」
隆二も不思議そうに隆之と昌代を見ている。
「あの山小屋を用意してくださった方だ」
「はぁ!?」
隆之の言葉に今度は隆二と保たちが驚く番だった。
「お主が逃げておったはこのゲームのことであったか」
相変わらず背筋をぴんと伸ばし、昌代が言う。美玖は人が増えると怯えるということと、VRでのリハビリのために今はいない。
「美玖が来てから紹介でよかろう。我は角田殿と何度か顔を合わせておるし、ご子息とは出迎えておる故にな」
やはりこのお人の人脈は底知れない。
「で、保君」
晴香がしれっと声をかけてきたが、あえて気付かぬ振りをした。
「美玖ちゃんがリハビリしている場所はどこ? いいもんもってきたんだけど?」
げへへへと笑う様は、どう控えめに見ても女性で警察官には見えない。まごうことなく、酔っ払いのセクハラ親父である。
「せっかく似合ってた、兎コスがVRで駄目ならリアルででしょ!」
「却下です。服はもらっておきますが」
キグルミ風の服を受け取って保が答えた。
「うわぁ、変態~~」
「晴香さんに言われたくありませんが。俺の目の前でだけならこの服オッケーです」
この回答も変態だと保が気づくことはあるのか、それは誰も分からない。
「何、その『兎コス』って」
隆二が分からないとばかりに聞いてきたのが間違いだった。
晴香が今まで撮ったスクショを大量に持って来ていたのだ。
「この子が、カナリアちゃんこと、美玖ちゃん。保君の彼女ね。で、こっちがカエデちゃん。知り合った子のAI。このキグルミショットがなんともいえない。これが兄貴の奥さん」
「せんせぇ」
晴香のいう「兄貴」が良平だと知った瞬間、隆二がなんとも言えない顔になっていた。
「こら! 悠里のまで持って来るな」
「いいじゃんか。減るもんじゃないし」
「いいや、減る!」
「……まぁ、何となく分かってたけど、良平先生も変態なんだな」
ぼそりと隆二が呟いていた。
「男のロマンの具現化だと思いたまえ。ちなみに服の製作はジャス、武器は俺だ」
冬樹が慰めにもならない言葉で、隆二を慰めていた。
「おばばさん」
美玖が躊躇いがちに廊下から声をかけてきた。
「入れ。これからのお主に重要な者たちばかりじゃ」
「……はい」
控えめに「失礼します」とだけ言って、美玖が襖を開いた。昌代の躾で、綺麗な動きとなっている。
「うっわぁ。保、この子着物のほうが似合うじゃん」
正直すぎる隆二を肘で小突いて美玖のそばまで歩いていく。
「髪型、どうしたの?」
「えっと、……おばばさんのお知り合いの方に……保さんがいない時に……」
「そっか。似合ってるよ」
「ありがとうございます」
ぱぁっと明るくなった顔で、美玖が言う。
「……脳内花畑?」
「安心しろ、隆二。あんな保はいつでも見れる。ってか、最初己を律するために『ゲームでしか会わない』とかほざいた時は、どん引きしたぞ」
「つか、何? そのキャラが変わったような言い分は。昔だったら、相手の考えも無視して押せ押せだったじゃんか」
「今がその状態だ」
「……止めろよ」
「止めれるんだったら、とっくに良平先生が止めてるよ」
隆二と正芳が煩いが、保は美玖の頭をひたすら撫でていた。撫でるのに満足したあと、保は美玖を抱きかかえた。
「た……保さん! わ、私歩けます!!」
「うん。俺が抱きかかえたいだけだから、我慢して」
恥ずかしがって、保の胸元に顔をうずめてくるのが、またいいのだと美玖は気付かない。
気付いたところで止めさせないが。
「いい加減にせんか。我は美玖に自己紹介させるために呼んだのじゃぞ? お主に抱きしめられるために来たわけではないわ」
こういう時も昌代は黙っていない。というか、こういう時こそ黙っていない。邪魔を生きがいにするかのように口を出してくる。
保が座ると、その腕からするりと逃げ出した。昌代のにらみがなければ、保は美玖を隣に置いていただろう。
「先程から何度か名前は呼ばれていますが、古瀬 美玖と申します。『TabTapS!』においてはカナリアと名乗っています。溝内先生が主催するギルド『カエルム』に入れてもらっています。よろしくお願いします」
「角田 隆之といいます。丁寧な挨拶をありがとう。こちらは愚息の隆二。保君たちとは同級生だそうだから、あまりかしこまらないで欲しいかな。禰宜田の女帝に恩があるのはこちらも一緒だからね」
優しく隆之が言う。
「それから、我々親子が一部『TabTapS!』のプログラムに関わっている。誰が総括していたのかは、分からないが、危険だと思える『限定クエスト』の情報は教えられる」
「幾つの限定クエストがあるか、誰も分からない。だからそれを知った上でゲームをしてもらうが、トールや『深窓の宴』とはなるべく関わりあいを持たないほうがいい」
隆之の言葉に隆二が続けるが、その忠告は既に遅いのだ。
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