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神無乃愛

現実世界にて<サプライズ 2>

「……今度は何を着せるつもりだ」
 脇腹を押さえながら保が訊ねる。
「この時期と言えば、ミニスカサンタのコスに決まってるだろ! あとは愛くるしいトナカイコス。トナカイはキグルミも持ってきたが、レットが隠すだろうな」
 冬樹の言葉に保はもの凄い不安を感じた。

 美玖たちが戻ってくる前に、狭山たちにお願いしてブランケットを二枚用意してもらった。それなりに暖かいが、コスチューム的な問題である。
「おっ待たせ!!」
 機嫌よく入って来た晴香は、トナカイのキグルミを着ていた。……ということは美玖が着るのはどっちなのだろうか。やはり少しばかり楽しみがある。
「いえーい! 似合いますー?」
 次は明るく入ってきたりりかだった。りりかが着ているのはミニスカサンタコス。ワンピースタイプで、帽子もカチューシャタイプにしてあり、なりに可愛い。白のニーハイソックスなのは、用意した冬樹の趣味だろう。そして当たり前のように、白い袋をもっていた。
「りりちゃん、晴香さん、これ私に似合わないです!」
 外から、美玖が助けを求めていた。ここまで来れば着ているのはトナカイコスであるのは分かるが、似合わないわけがないと思うのは保の欲目だろうか。
「じゃあ、こっちのサンタコス着る?」
「そ、それも無理! キグルミが着たかったです。……っくしゅっ」
「ほら、そこじゃ寒いから、早く中に入りましょ?」
 りりかと晴香がなにやら説得をしていた。
「お待たせっ。美玖ちゃんトナカイでっす!」
 少しばかり引き摺られるように食堂に入った美玖は、もの凄く可愛かった。
 トナカイの色をしたキャミソールタイプのミニワンピースと、黒のニーハイソックス。靴はパンプスだ。そして、頭には耳と角がついたカチューシャ。ワンピース自体は、おそらく色香優先のものだろう。それでも美玖が着ると可愛く見えるのは、気のせいではないはずだ。
「やっぱり絶対領域は正義だな」
 さらりと冬樹が言う。それに良平と隆二も頷いている。
「ジャス、悠里の分は?」
「一応もってきた。着せるのか?」
「いや。家で楽しむ!!」
 嬉々として良平が宣言し、悠里は顔を赤くしていた。
「ねね、似合う?」
 りりかがずずいっと保に近づいてきたが、それを若干無視するかたちで、美玖の方へいく。
「うん。似合ってる。可愛い」
 そのまま美玖を抱きしめ、すぐさまブランケットを肩からかけた。
「風邪ひくと悪い。かけてろ」
「ありがとうございます」
「あたし無視された!」
 そのまま一弥たちのほうへ向かい、同じ質問をしていた。
「うん。化けた。で、りりかは俺たちに言うことないの?」
「トリックオアトリート!!」
「違うだろ!!」
 一弥の質問にあっさりとりりかが答え、すぐさま突っ込みを入れられていた。
「そこはメリークリスマスだろ!?」
「え~~? そんなこと言ったら、いっくんにプレゼントねだられるもん。ねだるほうがいいから、トリックオアトリート?」
「……俺が菓子用意してたら、悪戯していいんだな?」
「やっぱ駄目! トリックアンドトリート!!」
 そんな二人を見ていた美玖から、笑いがこぼれていた。聞けば昔からあったのだという。最近ではほとんど会えなくなっていたため、こうやって見れるのが嬉しいようだった。

 おそらく、りりかがサンタコスを選んだのは、それが理由だからだろう。
 自分たちが少しくらい道化になってでも、美玖に笑っていて欲しいのだ。

 再度美玖がくしゃみをしたため、トナカイコスはお終いとなった。


 美玖の好みがナチュラルフェミニンだと、冬樹が解析して服を数点用意してくれていた。
「え? いいんですか?」
「うん。うちの店の宣伝もかねてるから。なんならディッチやジャス通じて俺に言ってくれれば、用意するし」
「わぁ、いい素材ばっかり」
 りりかも驚いている。
「お好きにどうぞ? 最近店に出てないから店に来てもらっても社割で販売できないけど」
「あたしもいいの!?」
「二人とも好みが一致してるみたいだしね。問題なし。とりあえずバイヤー権限で色々もってきたから」
 そこまで言うと、他の服も出してきた。その中にはメンズものもある。
「とあるお方からの『お願い』で、全員の好みを把握した上で持って来てくれってさ。さすがにユーリさんの好みはディッチとレットに聞いたけど。やろーのは適当」
 そうと分かればと、既にりりかは美玖と一緒に服を合わせていた。
「一回でいいからさー、あたし美玖ちゃんと買い物したかったんだ」
「私もっ」
「擬似買い物でよければどうぞ」
 りりかと美玖の言葉に、冬樹が返していた。
「ひゃっほーい。試着室がないのが残念」
 年相応の笑顔になった美玖とりりかで一生懸命に服を選んでいた。それに軽く茶々を入れつつ、晴香と悠里が服を見ている。
 男たちはというと、あっさりと好きな服を適当に選んで終わったが、それでも尚、女性たちの服選びは終わらない。
「晴香さん、どっちがいいと思います?」
「え~~。これ難しい! そういえばこうやって悠里さんと服選ぶの初めてだね」
「そうですわね。いつも良平さんと買い物に行ってましたから」
「うっわ。さり気なく惚気言われたっ。独り身は辛い!」
「だったら、早く結婚しろ。晴香」
「兄貴は入ってくんな!」
「これ、りりちゃんとお揃いだ」
「じゃあ、これにしよっか! 次は……」
 あちらばかりが賑やかである。
「全員覚えとけ。ショップではあんなもんだ。だから大体男のほうが飽きる。げんなりと付き合っている男なんて何度も見てるぞ。ディッチがああやって付き合えるのが、俺は驚きだ」
「そりゃ、結婚してから時間があるときは買い物は一緒に行くことにしているからね。食材選ぶ時は俺のほうが長いくらいだ」
「だって、良平さんはお値段と量と賞味期限と、全部見てらっしゃるんですもの」
「うわぁ。ママと同じだ。ママの場合はあっち行ったりこっち行ったりするけど」
「さすがにそれはありませんわね」
 唐突に割って入ってきたりりかの言葉にも、悠里はあっさり答えていた。
「お祖母ちゃんもそれしてる」
 そこで母親がと言わないあたり、美玖は一緒に買い物すら行っていなかったのだろう。
 空気を変にすることなく、別の話題に切り替えたのは、冬樹だ。
「あんたらがさっさと選ばないと、いつまでも食事にありつけない。早く選べ!!」
「はーい」
 異口同音に女性陣が返していた。

 結局、女性ものの服は全てはけたが、男性ものはそれなりに残っていた。

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