初心者がVRMMOをやります(仮)
嫉妬と羨望
「……で?」
ギルド本拠地でジャッジが不機嫌に言う。
「すすすすすみません!」
「ってか、あれほどそういう危険なクエストに関わるなって言ったよね?」
「あ、カナリア君本体は行かせてないぞ。アルテミスにシンクロしてもらったくらいだ。本体に卵を持たせて、基本クエストをクリアさせたんだが」
「アルテミスにシンクロさせたら同じでしょう? しかも『水の加護』をもらってるんですよ」
ディッチの言葉にあっさりとジャッジが返す。
「仕方ないだろうが。最悪延々ループに嵌りそうだったから、カナリア君の知恵を借りたかったんだよ」
ゲーム発想ではない、ある意味斜め上の発想。それをディッチは欲しかったのだ。
結局、カナリアの無知が明らかになったわけだが。
「そういえば、今回初めて知ったんですけど、二つ以上のクエストって一緒に受けれるんですね」
恨みがましい目つきでカナリアがジャッジに言う。
「? 当たり前だろ?」
「ジャッジさん教えてくれませんでしたよね?」
「言ったぞ。軽くだが。……あぁ。ウルリーノの話のときか」
「教えてくれました?」
「だから、レイド戦でAI混じっての時にウルリーノが現れたから、レイドそっちのけで捕獲したって言っただろ?」
それだけでカナリアは分からなかったらしい。
「ずっと一度につき一つしか受けれないんだと思ってました!」
「最初の頃から重複して受けさせるのを嫌がってたのはセバスだ。……そのままにしといたのは、悪かった」
ギルドメンバーの総意として「結局ジャッジはカナリアに甘い」という見解になった。
飽きもせずに日参する人竜族の少女は、すでに「カエルム」内では有名である。
ほとんどがジャスティスとの間をからかうものだが。
それにすら付き合わず卵の殻と格闘しているのが、カナリアである。
初めての挫折である。
使いたいと思っても、どうやってもアクセサリーや細工に使えない。最終的にはどうやっても使えずに、粉末になった卵の殻を畑に撒こうとして、AI含め、古株全員に止められた。
「……粉末にすると、少しでも火の気があると燃えるんだ。それだけは勘弁して」
そう言ってきたのはディスカスだった。弾薬に混ぜて飛距離を延ばすらしい。
「……むぅぅぅ」
カナリアは思わずうなってしまった。
卵の殻アートはさすがにもったいない。薬師としての能力も錬金術師としての能力もないカナリアは、そのまま使う以外に道はない。
もちろん、スカーレットたちにお願いしているものの結果は芳しくない。
「カナリア。砂○け婆様が呼んでたぞ。気晴らしして来い」
「……ジャッジさん」
優しく声をかけてきたジャッジに、カナリアは思わず泣きついた。
「正直に言うとさ、ドラゴンの肉をどうやっても料理できなかった時もだけど、少しだけ安心したんだ」
「安心、ですか?」
カナリアが落ち着くのを待って話し出したジャッジを、カナリアは見上げた。
「俺が挫折したことを、カナリアは余裕でクリアしていくように見えたんだ。
カナリアがした発想自体俺が出来ないのは、分かっていても悔しかった」
職人になる初級で躓いたジャッジは、そのあと「作る」ことにのめりこむことがなかった。
のめりこんでいれば、それなりに何か作れたのかもしれないが、そこまでする情熱がなかった。ただ、通常のゲームでは考えられない方法で解決しないとクリアできないクエスト、それにのめりこんだのだとジャッジは笑う。
「でも、最初にジャッジさんが教えてくれなかったら、きっとここまでできませんでした。それに、エンチャントの方法だってジャッジさんが、ジャスティスさんたちを紹介してくれたから出来るようになったんです」
カナリア一人では、もっと先に躓いて挫けていただろう。それが今までなかったのは、ジャッジのおかげなのだ。
「そう言ってもらえると助かる。
カナリアも少しゲーム的発想になってきているから陰険策士様と話して、ゲーム的発想を取り除いてくればいい」
「はいっ。ありがとうございます」
いつもどうするといいのか教えてくれるジャッジに感謝である。
ギルド本拠地でジャッジが不機嫌に言う。
「すすすすすみません!」
「ってか、あれほどそういう危険なクエストに関わるなって言ったよね?」
「あ、カナリア君本体は行かせてないぞ。アルテミスにシンクロしてもらったくらいだ。本体に卵を持たせて、基本クエストをクリアさせたんだが」
「アルテミスにシンクロさせたら同じでしょう? しかも『水の加護』をもらってるんですよ」
ディッチの言葉にあっさりとジャッジが返す。
「仕方ないだろうが。最悪延々ループに嵌りそうだったから、カナリア君の知恵を借りたかったんだよ」
ゲーム発想ではない、ある意味斜め上の発想。それをディッチは欲しかったのだ。
結局、カナリアの無知が明らかになったわけだが。
「そういえば、今回初めて知ったんですけど、二つ以上のクエストって一緒に受けれるんですね」
恨みがましい目つきでカナリアがジャッジに言う。
「? 当たり前だろ?」
「ジャッジさん教えてくれませんでしたよね?」
「言ったぞ。軽くだが。……あぁ。ウルリーノの話のときか」
「教えてくれました?」
「だから、レイド戦でAI混じっての時にウルリーノが現れたから、レイドそっちのけで捕獲したって言っただろ?」
それだけでカナリアは分からなかったらしい。
「ずっと一度につき一つしか受けれないんだと思ってました!」
「最初の頃から重複して受けさせるのを嫌がってたのはセバスだ。……そのままにしといたのは、悪かった」
ギルドメンバーの総意として「結局ジャッジはカナリアに甘い」という見解になった。
飽きもせずに日参する人竜族の少女は、すでに「カエルム」内では有名である。
ほとんどがジャスティスとの間をからかうものだが。
それにすら付き合わず卵の殻と格闘しているのが、カナリアである。
初めての挫折である。
使いたいと思っても、どうやってもアクセサリーや細工に使えない。最終的にはどうやっても使えずに、粉末になった卵の殻を畑に撒こうとして、AI含め、古株全員に止められた。
「……粉末にすると、少しでも火の気があると燃えるんだ。それだけは勘弁して」
そう言ってきたのはディスカスだった。弾薬に混ぜて飛距離を延ばすらしい。
「……むぅぅぅ」
カナリアは思わずうなってしまった。
卵の殻アートはさすがにもったいない。薬師としての能力も錬金術師としての能力もないカナリアは、そのまま使う以外に道はない。
もちろん、スカーレットたちにお願いしているものの結果は芳しくない。
「カナリア。砂○け婆様が呼んでたぞ。気晴らしして来い」
「……ジャッジさん」
優しく声をかけてきたジャッジに、カナリアは思わず泣きついた。
「正直に言うとさ、ドラゴンの肉をどうやっても料理できなかった時もだけど、少しだけ安心したんだ」
「安心、ですか?」
カナリアが落ち着くのを待って話し出したジャッジを、カナリアは見上げた。
「俺が挫折したことを、カナリアは余裕でクリアしていくように見えたんだ。
カナリアがした発想自体俺が出来ないのは、分かっていても悔しかった」
職人になる初級で躓いたジャッジは、そのあと「作る」ことにのめりこむことがなかった。
のめりこんでいれば、それなりに何か作れたのかもしれないが、そこまでする情熱がなかった。ただ、通常のゲームでは考えられない方法で解決しないとクリアできないクエスト、それにのめりこんだのだとジャッジは笑う。
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