初心者がVRMMOをやります(仮)
仲良くクエストへ
翌日、カナリアが「娘香の巫女」としての仕事が終わってから店に行くと、イッセンとリリアーヌは既に店に来ていた。
「いっくん、りりちゃん!!」
ぱたぱたという足音と、何故か小型犬の尻尾がぶんぶんと振っているのが見えそうなくらいのご機嫌さで、カナリアは二人に近づく。
「み……カナリア。元気そうだな」
「うんっ。皆変わんない?」
「パパがまだウジウジしてる。伯母さんがぶちぎれて、とうとううちに来たくらい」
「あはははは……」
その光景がありありと想像できてしまったカナリアは、乾いた笑いしか出てこない。
「……こういうとき家が近いっていうのは弊害かもって、父さんが言ってた」
「丁度いいくらい。そのうちカビでも生えてくるんじゃないかってママと話してたし」
昔からだが、イッセンの母親とリリアーヌの母親はもの凄く気が合う人たちなのだ。
……特に、己の夫と子供を説教する時にタッグを組まれたらたまったもんじゃないと言うくらいに、だ。
どうやらその気質は娘であるリリアーヌにきっちりと受け継がれているらしい。
それがカナリアには羨ましい。周囲はそれもどうかと言ってくるが。
「カナリアちゃん、クエスト行こっ」
「いいの!?」
「それはこっちの台詞。カナリアの方がずっとこっちやっててLVもかなり差が……」
リリアーヌの誘いにすぐさま飛びつくカナリア。それを見ていたイッセンが一緒に行くという行為で気になったことを口に出そうとしてタブレットを見て固まった。
己たちとあまり差がないのだ。どうやったらこうなるのかと突っ込みをいれたくなった。
「ミ・レディはクエストに出るのは必要最小限です。普段やっているのは、アクセサリー作りと巫女としての仕事、それからここの経営くらいでしょうか」
「……RPGっつーよりも、育成ゲーム?」
「否定は出来ません」
セバスチャンという名前のAIはかなり辛辣である。
「どうもギルドメンバーはミ・レディを甘やかす傾向にありますので、たまに引っ張りだしてください」
「そりゃ勿論。俺たちも甘やかす!」
それ以上に一緒に色んなところを出かけたいと思うが。
「いっくんー、クエスト受注しておいてーー」
「鍵は?」
聞いたときには既にカナリアの姿はなく、リリアーヌは「知らない」とだけ返してきた。
「ございませんよ。ミ・レディとリリアーヌ様にタブレットでタップしておいてください。……サブは出来ればリリアーヌ様を」
「りょーかい。俺のAIは教えてくんないけど、セバスさんは教えてくれるんだね」
「ミ・レディに比べましたら、イッセン様に対して教えている部類に入りません。それに、得手不得手がございます。私はそういったことが得意ですので」
「そっか。じゃあ、これから分からないことがあったら、聞いていい?」
「分かる範囲でしたら」
ミ・レディもそれくらい積極的に聞いてもらったほうがいいんですけどね。そのセバスチャンの言葉をイッセンは聞かなかったことにした。
セバスチャンがキッチンへ戻ると、かなり視線が痛い。
「ウサミミ嬢」とかいう言葉が聞こえてきたが、一体誰のことを言っているのか。
「二人とも早く来て」
もしくはジャッジか。
そろそろ視線で穴が開きそうである。
「ちなみに、セバスさんや」
「なんでしょうか。イッセン様」
コーヒーを運んで来てくれたセバスチャンに思わず訊ねた。「ウサミミ嬢とは何ぞや」と。
「ミ・レディの愛称ですよ。少し前まで、スカーレット様の思いやりにより、衣装をいただいておりましたので」
その時に「一緒に」ウサミミもプレゼントされた挙句、暫く外れなかったという。
「ミ・レディの感情を読み取る錬金術を使用して、ウサミミが動くという便利機能付でした」
……ソレ、スカーレットさんの趣味でしょ? というか、そんなものつけてたらカナリアは変質者ホイホイである。
「表立った変質者はいらっしゃいませんでしたし。話せば分かってくれる方ばかりでしたよ」
厄介だったのはもう絡んできませんし。しれっと言うセバスチャンが少しばかり怖かった。
「いっくん、お待たせ!!」
二人でお揃いコーディネートを決めてきたカナリアとリリアーヌがイッセンのそばまで来た。
「じゃ、行くか」
「うんっ」
「ミ・レディ。本日の荷物です」
「セバスチャン、ありがとうございます」
「あとこれは、イッセン様とリリアーヌ様がお持ちください」
「うわぁ、気がきく。ありがとう」
それぞれが荷物を受け取り、「もしも」のためにイッセンとリリアーヌのAIを店に置いて、向かう。
「いっくん、りりちゃん!!」
ぱたぱたという足音と、何故か小型犬の尻尾がぶんぶんと振っているのが見えそうなくらいのご機嫌さで、カナリアは二人に近づく。
「み……カナリア。元気そうだな」
「うんっ。皆変わんない?」
「パパがまだウジウジしてる。伯母さんがぶちぎれて、とうとううちに来たくらい」
「あはははは……」
その光景がありありと想像できてしまったカナリアは、乾いた笑いしか出てこない。
「……こういうとき家が近いっていうのは弊害かもって、父さんが言ってた」
「丁度いいくらい。そのうちカビでも生えてくるんじゃないかってママと話してたし」
昔からだが、イッセンの母親とリリアーヌの母親はもの凄く気が合う人たちなのだ。
……特に、己の夫と子供を説教する時にタッグを組まれたらたまったもんじゃないと言うくらいに、だ。
どうやらその気質は娘であるリリアーヌにきっちりと受け継がれているらしい。
それがカナリアには羨ましい。周囲はそれもどうかと言ってくるが。
「カナリアちゃん、クエスト行こっ」
「いいの!?」
「それはこっちの台詞。カナリアの方がずっとこっちやっててLVもかなり差が……」
リリアーヌの誘いにすぐさま飛びつくカナリア。それを見ていたイッセンが一緒に行くという行為で気になったことを口に出そうとしてタブレットを見て固まった。
己たちとあまり差がないのだ。どうやったらこうなるのかと突っ込みをいれたくなった。
「ミ・レディはクエストに出るのは必要最小限です。普段やっているのは、アクセサリー作りと巫女としての仕事、それからここの経営くらいでしょうか」
「……RPGっつーよりも、育成ゲーム?」
「否定は出来ません」
セバスチャンという名前のAIはかなり辛辣である。
「どうもギルドメンバーはミ・レディを甘やかす傾向にありますので、たまに引っ張りだしてください」
「そりゃ勿論。俺たちも甘やかす!」
それ以上に一緒に色んなところを出かけたいと思うが。
「いっくんー、クエスト受注しておいてーー」
「鍵は?」
聞いたときには既にカナリアの姿はなく、リリアーヌは「知らない」とだけ返してきた。
「ございませんよ。ミ・レディとリリアーヌ様にタブレットでタップしておいてください。……サブは出来ればリリアーヌ様を」
「りょーかい。俺のAIは教えてくんないけど、セバスさんは教えてくれるんだね」
「ミ・レディに比べましたら、イッセン様に対して教えている部類に入りません。それに、得手不得手がございます。私はそういったことが得意ですので」
「そっか。じゃあ、これから分からないことがあったら、聞いていい?」
「分かる範囲でしたら」
ミ・レディもそれくらい積極的に聞いてもらったほうがいいんですけどね。そのセバスチャンの言葉をイッセンは聞かなかったことにした。
セバスチャンがキッチンへ戻ると、かなり視線が痛い。
「ウサミミ嬢」とかいう言葉が聞こえてきたが、一体誰のことを言っているのか。
「二人とも早く来て」
もしくはジャッジか。
そろそろ視線で穴が開きそうである。
「ちなみに、セバスさんや」
「なんでしょうか。イッセン様」
コーヒーを運んで来てくれたセバスチャンに思わず訊ねた。「ウサミミ嬢とは何ぞや」と。
「ミ・レディの愛称ですよ。少し前まで、スカーレット様の思いやりにより、衣装をいただいておりましたので」
その時に「一緒に」ウサミミもプレゼントされた挙句、暫く外れなかったという。
「ミ・レディの感情を読み取る錬金術を使用して、ウサミミが動くという便利機能付でした」
……ソレ、スカーレットさんの趣味でしょ? というか、そんなものつけてたらカナリアは変質者ホイホイである。
「表立った変質者はいらっしゃいませんでしたし。話せば分かってくれる方ばかりでしたよ」
厄介だったのはもう絡んできませんし。しれっと言うセバスチャンが少しばかり怖かった。
「いっくん、お待たせ!!」
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