初心者がVRMMOをやります(仮)
三人組の限定クエスト 2
慌てて、カナリアとイッセンは飲み込まれた空洞へと入って行った。入った瞬間に空洞の入り口が閉じたあたりに、イッセンはかなりの悪意を感じていた。
「……美玖、限定クエストって何?」
二人しかいないという気安さから、プレイヤーネームではなく、リアルの名前で呼ぶ。
「よく分かんない。ただ、ユウさんの話だと、かなりの限定クエストがあって、それをクリアできるのは一人、もしくは一パーティだけなんだった。で、クリアすると称号がもらえるの。クリアすると、タブレットで放送されるの」
「放送って……」
カナリアの言い方に思わず苦笑する。そして、カナリア自身よく分かっていないということだけが分かった。
「私の場合だと、これで三回目だったと思う」
「そうなの!?」
「うん。限定クエストって辞退できないみたいだし」
辞退じゃなくて、リタイアね。そう突っ込みをいれたくなるのを、イッセンは我慢した。……実際は、カナリアの言い分が正しかったとあとで知ることになるのだが。
「それから、もう一つ質問。何で、ご飯の方がヘイト値高いの?」
「……ヘイト値って?」
きょとんとした顔でカナリアが逆に問い返してきた。
ヘイト値。
敵キャラクターのプレイヤーに対する憎悪値とも言われる。モンスターがプレイヤーへの攻撃順位を決めるための数値だ。
攻撃でなくとも、回復や状態異常魔法などもヘイト値は増加する。それゆえ、タンクと呼ばれる前衛はヘイト値を稼ぐスキルを使って、敵からの攻撃を自分に向けさせるのも仕事のうちだ。
「……そんなの、考えたことなかったよ?」
きょとんとしてカナリアがイッセンに言う。
「普通、考えるからね」
「だって、レイド戦も私は基本回復とステータスダウンとかアップ魔法しか使ったことなかったし」
「ジャッジさんとかジャスティスさんがそのあたりを考慮して使ってたはず。あの人たち、ベテランなだけあってどうすればいいか分かってるし。俺もタンクまではいかなくても前衛が多いからヘイト稼ぐようにしているし」
「へぇぇぇ」
「美玖も後衛だから、あまり考えなくていいと思うよ。ただし、攻撃とかする際は、ワンテンポ置いてから。前衛が攻撃してからの方がいい」
カナリアが魔法でライトを出し、暗闇を進んでいく。その間にもMMOに関するあれこれを教えていく。
「だからさ、普通じゃあり得ない。ご飯にモンスターが群がるってのが」
「美味しいからじゃ、ダメ?」
「じゃあ、ばあちゃんの料理どうなるっての?」
そこを言われてしまえば、カナリアは何も言えない。ずっとそれが当たり前だと思っていただけに、どうしていいか分からないのだ。
「……当たり前?」
それを聞いたイッセンが不可解な顔をした。
「うん。だって、竜神様とかユニちゃんも美味しく食べてるし。グリちゃんも食べてるし」
「ごめん、誰のこと言ってるかわかんない」
「ユニちゃんは、いっくんとりりちゃんがここに来るとき乗った、兎さん。グリちゃんは、ジャッジさんのグリフォン。竜神様は竜神様」
「……あとで紹介して」
どうやら、イッセンの常識からずれているらしい。
「うん、いいよ」
そう言いながらも、カナリアはスコーンとお茶を出してくる。お茶が入っているのが魔法瓶というあたりが少しばかり、シュールだとイッセンは思う。
行儀悪いよね、そう言って歩きながら食べる。
「でも、りりを早く助け出すにはこれしかないよね」
肝心な時にLPが減っていては助け出すのに苦労する。
それにしてもモンスターがいない。
「……あたしはおむすびかーー!!」
奥からリリアーヌの怒鳴り声が響いてきた。
「……美玖、限定クエストって何?」
二人しかいないという気安さから、プレイヤーネームではなく、リアルの名前で呼ぶ。
「よく分かんない。ただ、ユウさんの話だと、かなりの限定クエストがあって、それをクリアできるのは一人、もしくは一パーティだけなんだった。で、クリアすると称号がもらえるの。クリアすると、タブレットで放送されるの」
「放送って……」
カナリアの言い方に思わず苦笑する。そして、カナリア自身よく分かっていないということだけが分かった。
「私の場合だと、これで三回目だったと思う」
「そうなの!?」
「うん。限定クエストって辞退できないみたいだし」
辞退じゃなくて、リタイアね。そう突っ込みをいれたくなるのを、イッセンは我慢した。……実際は、カナリアの言い分が正しかったとあとで知ることになるのだが。
「それから、もう一つ質問。何で、ご飯の方がヘイト値高いの?」
「……ヘイト値って?」
きょとんとした顔でカナリアが逆に問い返してきた。
ヘイト値。
敵キャラクターのプレイヤーに対する憎悪値とも言われる。モンスターがプレイヤーへの攻撃順位を決めるための数値だ。
攻撃でなくとも、回復や状態異常魔法などもヘイト値は増加する。それゆえ、タンクと呼ばれる前衛はヘイト値を稼ぐスキルを使って、敵からの攻撃を自分に向けさせるのも仕事のうちだ。
「……そんなの、考えたことなかったよ?」
きょとんとしてカナリアがイッセンに言う。
「普通、考えるからね」
「だって、レイド戦も私は基本回復とステータスダウンとかアップ魔法しか使ったことなかったし」
「ジャッジさんとかジャスティスさんがそのあたりを考慮して使ってたはず。あの人たち、ベテランなだけあってどうすればいいか分かってるし。俺もタンクまではいかなくても前衛が多いからヘイト稼ぐようにしているし」
「へぇぇぇ」
「美玖も後衛だから、あまり考えなくていいと思うよ。ただし、攻撃とかする際は、ワンテンポ置いてから。前衛が攻撃してからの方がいい」
カナリアが魔法でライトを出し、暗闇を進んでいく。その間にもMMOに関するあれこれを教えていく。
「だからさ、普通じゃあり得ない。ご飯にモンスターが群がるってのが」
「美味しいからじゃ、ダメ?」
「じゃあ、ばあちゃんの料理どうなるっての?」
そこを言われてしまえば、カナリアは何も言えない。ずっとそれが当たり前だと思っていただけに、どうしていいか分からないのだ。
「……当たり前?」
それを聞いたイッセンが不可解な顔をした。
「うん。だって、竜神様とかユニちゃんも美味しく食べてるし。グリちゃんも食べてるし」
「ごめん、誰のこと言ってるかわかんない」
「ユニちゃんは、いっくんとりりちゃんがここに来るとき乗った、兎さん。グリちゃんは、ジャッジさんのグリフォン。竜神様は竜神様」
「……あとで紹介して」
どうやら、イッセンの常識からずれているらしい。
「うん、いいよ」
そう言いながらも、カナリアはスコーンとお茶を出してくる。お茶が入っているのが魔法瓶というあたりが少しばかり、シュールだとイッセンは思う。
行儀悪いよね、そう言って歩きながら食べる。
「でも、りりを早く助け出すにはこれしかないよね」
肝心な時にLPが減っていては助け出すのに苦労する。
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