初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

お土産


「物資の連絡はメールでいい?」
 唐突にイッセンが訊ねてきた。
「ふぇ?」
 自慢にならないことだが、カナリアはこのゲームを始めてからメールを使ったことなどない。とどのつまり、己のメールアドレスを知らなければ、使い方も知らない。
「はぁ!? ってかこのゲームだとパーティチャットとしても使ってるでしょ?」
「だって、使う必要ないもん」
 カナリアが使うのは、ギルドから来る依頼と、その振込みに関するあれこれのみ。他のプレイヤーとは口頭で済ませている。
「ジャッジさんっ! 今すぐっ! 美玖にメールと電話の仕方教えたって!!」
「……使えないのか?」
 イッセンの言葉にジャッジが驚いている。

 初めてカナリアは電話の仕方とメールの送受信の仕方を知ることになる。
「現実とは違うからな」
 何故かジャッジが念を押してきた。


 イッセンもあっさりとクリアし、カナリアは倉庫の中で待ちぼうけを食らうことになる。
 限定クエストまで行き、称号とおいしい桃を土産に持って帰ってきた。

 その桃をあっさりとコンポートやらパイなどにセバスチャンが加工したのは言うまでもない。

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