初心者がVRMMOをやります(仮)

神無乃愛

メールのやり方


 いつの間にか、ギルドメンバー全員揃ってカナリアに用事があるときはメール、もしくは電話を使うようになった。
 会った時でいいのに、そう思うものの口を揃えて「慣れさせるため」と言われてしまう。


 今まで誰一人気付かなかったということが不思議なのだ。それくらい無自覚に甘やかしていたのだろう。
「リアルでのメール使用頻度はどうなってるの?」
 誰の利用頻度かなど、主語を除いてスカーレットが言う。
「メールはゲームしたての頃、SMSを使っていたくらいだな。それも途中でやめた」
「何でやめたのっ」
「ディッチさんに止められたから。カナリアが長くゲームをするには中間地点にディッチさん置いた方がいいって判断で」
 ジャッジの言葉に、スカーレットが何も言えなくなっていた。
「今は持ってない。つうか、カナリアは未成年だし、誰の名義のを持たせていいものか陰険策士様が悩んでる」
 そこが問題なのだ。カナリアの親権は未だあの、、両親にあるため、下手なことは出来ない。
 さっさと解決して欲しいとメンバー全員が思うことである。

 そんなわけで、少しでも機械操作に慣れさせるためにも、メンバーからのメールはありがたいと、ジャッジは思う。
「あの子の箱入り具合を忘れてたわ」
 スカーレットの一言が全てを物語っていた。

 余談ではあるが。
 二つ折り携帯でのメール打ちならクィーンが正確な上に一番早い。クィーンに言わせると「慣れ」との事。キーボード打ちならジャッジに軍配があがるが、ジャスティス、タカ、ユウもかなり早い。それぞれ仕事でパソコンを使っているだけある。
 メールで見たあと確認の電話をする確率が高いのがアントニーとディッチ、それからディスカスだ。


 そんな面々をほわわんとした雰囲気でカナリアは見ていたが、地獄の特訓とでも言うべき厳しさで――カナリアからしてみたらであって、他のメンバーは普通にこなす程度だ――メール打ちや間違わずに、、、、、電話に出る方法などをみっちりと仕込まれる羽目になっていた。


 カナリアこと、美玖が従兄姉たちに自分からメールを送れるようになるのは、そう遠くない未来のことである。

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