初心者がVRMMOをやります(仮)
翼竜を守るキングゴーレム4
「カナリア、杖じゃゴーレムは倒せないよ」
涙目になっているカナリアを、ジャッジが宥めていく。
「じゃ……じゃあ、どうやって倒すんですかっ! 魔法も効かないし、こんなにいるんですよ?」
魔法のほとんどを吸収するゴーレムもいるため、攻撃には使えない。それは事実だ。
「一体ずつ、確実に倒すしかない。そのためには、カナリアに回復を頑張ってもらわないといけないんだ」
背中を少しばかりいやらしく撫でながら、ジャッジは言う。
「でもっ……、私の回復じゃ、間に合いません……」
落ち着いたと思ったら、カナリアは泣きそうな顔になっていた。
「カナリアは頑張ってるよ。現に、誰一人死に戻りせずに一体倒せたのは、カナリアが回復してくれていたおかげでもあるんだから」
「他にも、回復してくれる人、います」
「うん。でも俺はカナリアに回復してもらいたい」
キスできない代わりに、ジャッジはカナリアの額と、己の額を合わせる。
「いつまでいちゃついでんだ、このバカップルが!」
ディスカスが痺れを切らして、ジャッジの頭を叩いた。
「すすすす、すみません!」
慌てて離れようとするカナリアを、ジャッジが離さない。
「いちゃついていたんじゃない、カナリアを落ち着かせていただけ」
「どこがだ!」
しれっと言うジャッジに、今度はジャスティスが突っ込みを入れる。
「……いちゃついていようがいまいが関係ないけどさ、時と場合考えて口論しない? 囲まれ始めたんだけど」
呆れたようにイッセンが口をはさんだ。
この状況をどうするべきか悩んでいたのは、ディッチ一人だけだったりする。
元より、パパンやトトといった親世代は、こういうことには疎い。ほとんどレイドをやったことがないはずだ。アントニーも然りである。
スカーレットは顔を真っ赤にして恥ずかしがるカナリアが可愛くて仕方ない。このまま持ち帰りをして愛でたいくらいなのだ。
タカとユウは勝手に動いて楽しんでいるというのが、ある意味始末に負えない。
リリアーヌはジャッジとカナリアを離そうと躍起になっている。
つまりはレイドチームとして現在機能していないということだ。
「……いい加減にしろっ!!」
悩んでいたディッチが、とうとう切れた。
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