初心者がVRMMOをやります(仮)
翼竜を守るキングゴーレム6
唐突にキングゴーレムたちに異変が起きた。
半数が撤退し始め、残りのキングゴーレムの動きが鈍りだした。
そして、その行動に法則を見出したディッチが、このチャンスを見逃すわけはない。
「撤退したのは、今回無視! 残っているのを全力で叩く!!
ジャスの代わりに、タンク兼壁役はジャッジ、レット、ユウで!
カナリア君、リリアーヌ君で補助魔法を重複がけして! 残りは後方から攻撃もしくは支援!」
その言葉を聞いた古参組がさらりと動く。
また限定クエストを引いてしまったようだ。
真面目にやっていれば限定クエスト引かなくて済むんじゃないか、と少しばかり思うようになっているディッチである。
その前に、カナリアの馬鹿高いLUK値も問題だ。極振りでなかったのがせめてもの救いである。
いや、極振りしてもらっていたほうがもっと早く気付いたかもしれない。
イッセンが今回気付かなかったら、かなり酷いことになっていただろう。それこそ、運営側も驚くような限定クエストを引き当てた可能性だってあるのだ。
キングゴーレムたちが個々の動きを見せる間に、ディッチは次々と指令を出していく。
「ジャッジ! 剣から銃へ替えて今逃げたキングゴーレムの足縫い付けろ! ディスはその補助! レットはそのまま防御! アントニーさんはもう一体をひきつけて!!」
次々に指示を出していく。
そう、ディッチが毎度補助職や回復職につくのは、こうやって指示を出すからだ。
別に前線から指示を出すのが悪いといっているわけではない。むしろそういうプレイヤーも多い。実際、ジャスティスも必要とあらば指揮を執っている。
ディッチがまだ中学生だった頃は、前衛職についていた。その状態で指揮を執った。
ところが、前衛にいたディッチの被弾。そして全滅。
怖い、ディッチはそう思ったのを覚えている。
だからこそ、いつでも指示できるよう後衛に回り、前衛職を辞めたのだ。
何故、今更そんなことを思い出してしまったのだろうか。
レイドに集中するため、ディッチは深呼吸した。
「ユーリ!! ディス経由で動け!」
詳しい指示を出すことはほとんどない。だからこそ、後衛で動くディスカスを頼る。
ユーリがディスカスを経由して、キングゴーレムの後ろに回る。
その瞬間を見逃さず、タカとユウが動く。
さすがユウだ。ユーリへの指示だけで、タカへどう動くか教えていたようである。
そして、畳み掛けるようにディスカスとスカーレットが動く。
また一体、キングゴーレムを倒した。
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