老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

305話 女子会その2と誰得

「コウとはどうなのよ?」

 アリシアに抱っこされて膝に乗っけられてしまうナオ。逃げ道はない。
 背中に当たるは人をダメにする2つの塊。

「どうって……仕事仲間というか……」

「うーそ! 知ってるんだからちょこちょこいい感じになってるの!」

 ソーカ様乱入である。

「で、で、実際はどうなんでしょう? く、詳しく!」

 メリアもこういう話は大好物だ。

「確かに最近急に大人になって……前はほんとに馬鹿な子供だったのに……
 なんか、急すぎて実感がないっていうか……」

「コウ君人気あるよー。シスターの中ではホントにアタックしようかーって盛り上がってるんだよねー」

「え? ま、まさかぁ……だってコウですよ?」

「今のコウ君しか知らなかったらどう思う?」

 メリアさんの追い込みが凄い。アリシアもソーカも話の主導権をメリアにまかせてワクワクと傍観している。

「……かっこいいんだと……思います。優しいし、気が利くし、強いし……うん……」

「つまりナオちゃんは、コウ君の事を……!?」

「……いいなって思ったり思わなかったり……」

「もっと、自分の心に素直になって! いいの? 他の女がコウ君の隣で抱きつくように歩いてるの想像して、ハイ! もう一度!」

「ヤダ! 絶対やだ! コウは私の何だから!」

 ナオもそれなりに飲んでるし、あまりお酒は強くない。
 ちょっと仕事が頭をちらついて冷静さを保っていたが、怒涛のメリアの連続攻撃で崩壊する。

「コウが好きなのー、毎日いっしょにいるとドキドキして、上手く話せなくて……
 でも、コウに優しくされるとなんとなく昔の感じで茶化しちゃって……
 ……どうすればいいんだろ……」

 女性3人はキュンキュンである。
 アリシアは一層力強くナオを抱きしめる。

「大丈夫よナオちゃん。コウ君もきっとナオちゃんの魅力に夢中だから」

「でも、私、アリシア様みたくスタイル良くないし……」

「ナオちゃんにはナオちゃんの魅力があるわ。自信を持って」

「アリシア様……」

「ってかね、コウ君たぶんナオちゃんのことだーーーーーい好きだよ。
 戦闘中とか露骨にナオちゃんのこと気にしてるし、少しでも怪我してるとすぐにレンに頼んでるもん」

「そうそう、頼んどいてナオちゃんが嬉しそうな顔してると悔しそうなの、可愛いよねー」

「コウ君、今一番頑張ってるの回復系魔法だもんね。きっとナオちゃんを自分で治したいからだよ。
 愛されてるなーナオちゃんは!!」

 ガッハッハと笑いながら次から次へと杯が乾いて、テーブルの上のスイーツが消えていく。
 アリシアもソーカも見た目に反してよく食べる。

「コウ君呼んじゃうー?」

 いい気分のソーカが爆弾を落とし始める。

「あっち男子会とか言ってたよねー何してんのかなー」

 ゴソゴソとソーカが周囲探索用の魔道具を取り出す。

「げっ……さいてーあいつら何やってんの!」

 画面には何故か洞窟内に造られた風呂に全員が入って酒に溺れて大騒ぎしている画像が映し出される。

「ばっかじゃないの男って! あ、ユキムラさんだ……あっ!」

 ブツンと映像が消える。
 同時にソーカに通信が入る。

「ソーカねーちゃん。マナー違反だよ」

「えへへへへ……ごめんねレン、黙っといてね」

「はぁ……そっちもあんまり壊れないでね……ちょっ師匠! 僕服、ふくー!」

 ブツリと通信が切れる。

「ユキムラ先生とレン先生が……」

 アリシアの妄想が走り出す。

「そういえば、ソーカ様……ユキムラ様との話聞きたいなぁー!」

 メリアの照準がソーカにロックオンだ。

「わ、私も聞きたいです!」

「ソーカ! 教えなさいよ! ユキムラ先生は、その、どんな感じなの? その、いろいろと……」

 皆、顔をずいっと近づけてソーカに迫る。
 ソーカは手に持つグラスを一口で飲みきって深く息を吐く。

「ユキムラさんは……優しい……かな……」

 ひゅぅ~~~。昭和のおっさんたちのようなリアクションだ。

「なんか、あんなに凄いのに、あまり自信満々ってわけじゃなくて、優しい、というか、もう少し、強引でも良いのになぁ~なんて……」

「ほうほう」

「ふむふむ」

「それでそれで!」

「あ、でも、ほら凄い身体能力だから、その、上手いんだと、思う……
 わかんないけど……身体の仕組みを知ってるというか……」

 女性たちの下ネタはドギツイとよく言われる。
 コノ後の話はとてもとても書けるものではない。
 ナオが変なやる気を出すぐらいには過激な会となった。
 最後の締めは皆でオフロに入っておんなじベットで仲良く寝息を立てるのでした。



 一方その頃、漢会は……

「おいっしょー!!」

「どっせーい!!」

「ヴァリィーいけー!」

「デリカさん頑張ってー!」

 なぜかユキムラが提案した相撲大会が行われていた。
 隣に風呂があるので何故か全員ふんどしで参加だ。

「師匠! 僕は無理ですよ! それに何なんですかこの格好は!」

「良いじゃんレン! ほら、キーミッツさんが待ってるぞー」

「ほっほっほ、さぁレンどの立ち会おうじゃありませんか!!」

 全員浴びるように酒を飲みながら汗塗れ、土まみれになりながら、夜はドンドン更けていく。
 優勝はヴァリィ、準優勝はカルラだった。
 決勝の決着が着くとその熱戦に漢達はスタンディングオベーションで二人の健闘を讃えたという。

「「駄目だこの大人たち……」」

 レンとコウがため息をつくが、まだまだ宴は終わることは無かった……

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