老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
299話 準備ですよ
「さっ、行くわよ! 私も出来ることをしないとユキムラ様のお側にいるために」
アリシアは決意を新たにギルドから大聖堂へと帰還しようとする。
「ふー、疲れた」
今ダンジョンに入ったばかりのユキムラとヴァリィがそんなカッコつけたアリシアの元へ空気も読まずに戻ってきたせいで、決意が台無しになった。
「ゆ、ユキムラ様!? 今ダンジョンへ向かったばかりじゃ?」
決意新たにカッコつけたところを当の本人に見られる気恥ずかしさったらない。
少しワタワタしながらもアリシアは最後のプライドで持ち直す。
「ああ、アリシアさん。えーっと、何ていうか中と外で時間の流れが違うんですよ。
来訪者のダンジョンっていうのは」
もう、何を聞いても驚かない。
来訪者とはこういうものなんだな、とその場にいた皆は思い知らされる。
さらに1階層を軽く回っただけで手にはいった数個の魔石だけでもギルドがひっくり返りそうになった。
残念ながら宝箱はなくて二階行っちゃう? っていうユキムラをヴァリィが引っ張って帰ってきた。
「魔石は教会に寄付しますよ。
孤児院とかそういう活動は素晴らしいと思うので是非、活かしてください」
ユキムラにさらっと笑顔でそう言われて、アルテス教の人間で惚れない女性はいなかった。
この美談はアルテス教の女性信者の間に広められることになる。
この日からアリシアを会長とするユキムラファンクラブが発足する。
「ううっ」
「わうん?」
「大丈夫よ、なんだか寒気がしただけよ。さ、どんどん終わらせちゃいましょ!」
知らぬはソーカばかり。ヴァリィもこの件に関してはソーカには伝えることはなかった。
ユキムラとヴァリィはレンが拠点準備をしている間、聖都の外でコテージを展開して作業を行う。
オールラウンダーな準備をしないと今回のダンジョンは厳しい。
最初のうちは攻撃は完全に切り捨てて防御特化。
少しづつ育成してから5部隊に分けてのいつもの育成に持っていく。
「コウとナオはもう連れていけそうだね」
「そうねぇ、あの装備には心血を注いだわよ私!」
「頑張ったね!」
わかり合うおっさん二人だ。
問題は聖騎士やアルテス教関係者だ。
「全部作り直すわけにも行かないから、まずはアクセサリーで耐性取りますか……」
「鎧は厳しいけどマントなら行けるんじゃなーい?」
「そっか、そうすれば聖騎士の人たちも教団の人たちもいけるね!」
実際には同時にダンジョンへ潜る人数分があればいいので全人数分作るわけではない。
このダンジョンで素材を大量に得られれば、間もなく始まるであろう魔王軍との戦闘用に、装備の一新を行えばいい。
一通りの装備の準備は終わる。
聖騎士向けのブレスレットと真っ赤なマント。
司祭たち向けのリングと真っ白なマント。
その一つ一つが国家をひっくり返すほどの装備だと渡される人たちは知ることはない。
夜にはレンとソーカ、タロも戻ってくる。
「採集ポイントは結構ありますが、出るものはありきたりですね」
「ありきたりでもこの世界にとっては有り難いんだけどね、魔道具生産に利用させてもらおう」
「店舗も押さえました。拠点も店舗からあまり離れていない場所を手に入れました。
以前みたいな大規模な開発は中央近くは無理ですね。申し訳ないです」
「いやいや、全然問題ないよ。こないだが上手く行っただけだから気にしないでレン」
このような感じで本日の報告が行われていく。
夕食も終えてまったりとしながら気楽に話し合っている。
「あと、しばらく育成してチーム分けが出来るようになったら、俺は別行動で各街を巡ってくるね。
ちょっとやらなきゃいけないクエストが山ほどあるから……」
「え? 師匠手伝いますよ?」
「大丈夫大丈夫、『わかって』いるから」
この国のクリア条件はもしかしたらこの中央のダンジョン攻略だけかもしれないが、各町のイベントには邪教徒が大量の生贄をどうのこうのしたりするものなどもあるので、全部叩き潰しておきたいというユキムラのある意味こだわりだ。
腕輪のお陰で楽してるが、本当はすべての街を巡ってから聖都でのイベントというのがVOでの流れだ。
都市防衛装置とGUを設置するもの合わせてクエストを楽しもうとユキムラは思っている。
クエストスキーなユキムラらしい。
「そういえばレン、人員はどうなりそう?」
「タロが居るのでだいぶ楽だとは思うんですが、とにかく師匠の元で働きたいという人は非常に多くて……」
「あんまりウチが囲い込んじゃうと他の店が困っちゃうわよねぇ~」
「最初のうちはタロがOK出した人だけにするとかはどうでしょうユキムラさん?」
「そうだねぇ、まずは優秀な人材を育成して、いずれ6都市に支店長として派遣する必要もあるからね」
「そうしてもらえると正直助かります。タロ、よろしくね」
「アオン!」
その後もいくつか取り決めをしてゆったりとした夜は過ぎていく。
明日からはきっと忙しくなっていく、皆、口には出さないがおそらく最後となるまったりとした時間を楽しむのでありました。
アリシアは決意を新たにギルドから大聖堂へと帰還しようとする。
「ふー、疲れた」
今ダンジョンに入ったばかりのユキムラとヴァリィがそんなカッコつけたアリシアの元へ空気も読まずに戻ってきたせいで、決意が台無しになった。
「ゆ、ユキムラ様!? 今ダンジョンへ向かったばかりじゃ?」
決意新たにカッコつけたところを当の本人に見られる気恥ずかしさったらない。
少しワタワタしながらもアリシアは最後のプライドで持ち直す。
「ああ、アリシアさん。えーっと、何ていうか中と外で時間の流れが違うんですよ。
来訪者のダンジョンっていうのは」
もう、何を聞いても驚かない。
来訪者とはこういうものなんだな、とその場にいた皆は思い知らされる。
さらに1階層を軽く回っただけで手にはいった数個の魔石だけでもギルドがひっくり返りそうになった。
残念ながら宝箱はなくて二階行っちゃう? っていうユキムラをヴァリィが引っ張って帰ってきた。
「魔石は教会に寄付しますよ。
孤児院とかそういう活動は素晴らしいと思うので是非、活かしてください」
ユキムラにさらっと笑顔でそう言われて、アルテス教の人間で惚れない女性はいなかった。
この美談はアルテス教の女性信者の間に広められることになる。
この日からアリシアを会長とするユキムラファンクラブが発足する。
「ううっ」
「わうん?」
「大丈夫よ、なんだか寒気がしただけよ。さ、どんどん終わらせちゃいましょ!」
知らぬはソーカばかり。ヴァリィもこの件に関してはソーカには伝えることはなかった。
ユキムラとヴァリィはレンが拠点準備をしている間、聖都の外でコテージを展開して作業を行う。
オールラウンダーな準備をしないと今回のダンジョンは厳しい。
最初のうちは攻撃は完全に切り捨てて防御特化。
少しづつ育成してから5部隊に分けてのいつもの育成に持っていく。
「コウとナオはもう連れていけそうだね」
「そうねぇ、あの装備には心血を注いだわよ私!」
「頑張ったね!」
わかり合うおっさん二人だ。
問題は聖騎士やアルテス教関係者だ。
「全部作り直すわけにも行かないから、まずはアクセサリーで耐性取りますか……」
「鎧は厳しいけどマントなら行けるんじゃなーい?」
「そっか、そうすれば聖騎士の人たちも教団の人たちもいけるね!」
実際には同時にダンジョンへ潜る人数分があればいいので全人数分作るわけではない。
このダンジョンで素材を大量に得られれば、間もなく始まるであろう魔王軍との戦闘用に、装備の一新を行えばいい。
一通りの装備の準備は終わる。
聖騎士向けのブレスレットと真っ赤なマント。
司祭たち向けのリングと真っ白なマント。
その一つ一つが国家をひっくり返すほどの装備だと渡される人たちは知ることはない。
夜にはレンとソーカ、タロも戻ってくる。
「採集ポイントは結構ありますが、出るものはありきたりですね」
「ありきたりでもこの世界にとっては有り難いんだけどね、魔道具生産に利用させてもらおう」
「店舗も押さえました。拠点も店舗からあまり離れていない場所を手に入れました。
以前みたいな大規模な開発は中央近くは無理ですね。申し訳ないです」
「いやいや、全然問題ないよ。こないだが上手く行っただけだから気にしないでレン」
このような感じで本日の報告が行われていく。
夕食も終えてまったりとしながら気楽に話し合っている。
「あと、しばらく育成してチーム分けが出来るようになったら、俺は別行動で各街を巡ってくるね。
ちょっとやらなきゃいけないクエストが山ほどあるから……」
「え? 師匠手伝いますよ?」
「大丈夫大丈夫、『わかって』いるから」
この国のクリア条件はもしかしたらこの中央のダンジョン攻略だけかもしれないが、各町のイベントには邪教徒が大量の生贄をどうのこうのしたりするものなどもあるので、全部叩き潰しておきたいというユキムラのある意味こだわりだ。
腕輪のお陰で楽してるが、本当はすべての街を巡ってから聖都でのイベントというのがVOでの流れだ。
都市防衛装置とGUを設置するもの合わせてクエストを楽しもうとユキムラは思っている。
クエストスキーなユキムラらしい。
「そういえばレン、人員はどうなりそう?」
「タロが居るのでだいぶ楽だとは思うんですが、とにかく師匠の元で働きたいという人は非常に多くて……」
「あんまりウチが囲い込んじゃうと他の店が困っちゃうわよねぇ~」
「最初のうちはタロがOK出した人だけにするとかはどうでしょうユキムラさん?」
「そうだねぇ、まずは優秀な人材を育成して、いずれ6都市に支店長として派遣する必要もあるからね」
「そうしてもらえると正直助かります。タロ、よろしくね」
「アオン!」
その後もいくつか取り決めをしてゆったりとした夜は過ぎていく。
明日からはきっと忙しくなっていく、皆、口には出さないがおそらく最後となるまったりとした時間を楽しむのでありました。
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