老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
234話 小休止
「フーーーーさっぱりしたでござる」
朧がスッキリした様子で食堂へ入ってくる。
もちろんシャワーを浴びたとかではなく、武具に付いた汚れを丁寧に落として油を差しキラッキラになっている。
「朧は綺麗に使ってくれて嬉しいよ」
「いや、ユキムラ殿! このような逸品を無碍に扱うなどとても出来ませぬ!」
「九も本当に感謝しております」
「九、次間違えたフリしてシャワーに入ってきたら外でずっと見張りさせるからね……」
「ああ……敵も出ないセーフエリアで寝る間も惜しんで外で放置とは……ハァハァ……」
「ははは、苦労するねレン……」
「師匠~~なんとか言ってくださいよ~~」
「いやー、俺が言ってもねぇ……」
皆激戦の疲れと汚れを落としてゆったりと食事を楽しむ。
そうして明日からの闘いの火にまた燃料を焚べるのだ。
「ユキムラさんちょっといいですか?」
ユキムラの寝室にソーカが訪れる。まぁ公認のカップルなのだからこういうこともたまにはある。
まぁ、今日は他のメンバー全員一緒だ。
「あれ、皆揃ってどうしたの?」
「ユキムラちゃん今日みたいな闘いだと私とかソーカちゃんはどうしても貢献しにくいのよ、どうすればいいか考えたんだけどなかなかいい方法が浮かばなくて……」
「拙者もちょっと人魂飛ばしてただけで……」
「師匠、今日の立ち回りはあれでよかったのですか?」
「範囲阻害を効率よく使う方法を聞きたくて~」
こんな感じで食後にはお勉強時間になることが多い。
最近の戦闘はVO時代とはどんどんかけ離れているものになっていっているが、不思議とユキムラはVOの知識でこの世界の闘い方を理解していた。
そして、VOの技術でこの世界でも戦っている。
VO時代の経験や戦略などを話すと自然のこの世界の戦闘での話で伝わっている。
「それにしても、羅刹の初動はかなり焦りました。
多分一瞬だったと思うんですが、あの一瞬があれば崩壊する。
師匠がいつも言っていることが頭をよぎりました」
「そう言えば、タロ、加速は使わないの?」
「ワフ……」
タロはとことこと朧と九の前に立って「わーうん」と鳴く。
「ああ、二人がまだ使えないからか……」
「ウォフ!」
「効果範囲がパーティなのか、そういや使ってないね確かに……」
そうなってくると、ゲストを連れてくる事が危険になる状況が有るのじゃないか?
ユキムラに一抹の不安がよぎる。
「うー、ワウ! わん! わおーん、くーん、わんわん!」
「いざとなったらパーティを解散してゲストを強制的に外へ出せばいいから気にしなくていい?
なるほど。確かにそうか……」
タロは嬉しそうにパタパタと尻尾を振っている。
VOでもキックと呼ばれる方法だ。
MD内でPTから外すと復活地点に飛ばされてMDには戻れない。
まぁ、よほど問題があるメンバーに用いる方法を今回はメンバーを救うために使う。
まぁ、VOではあんまりむやみに使えば自分がBANされてしまう。
ユキムラはVOでキックをどんな時でも使わずにいたので、躊躇してしまいそうで不安になる。
「うー……バウ!」
「心配するな? いざとなったら私がやる……ありがとうタロ! 頼りにしてるよ!」
本当にタロは頼りになる仲間だ。
忘れてしまいそうになるが、こんなに和やかな時間を過ごしているのはダンジョンの中だ。
高級ホテルのような部屋も持ち運べるコテージなのだ。
「ごめん、話がそれたね。
あのくらいの速度になっても何よりも動揺しないこと、自分たちよりも強い存在なんているのが当たり前なんだから。
その上で違和感を感じられるようにしておくのがコツかなぁ、見えて無くてなんか変だな? って……」
ユキムラの話は見るのではなく感じるという、何か高尚な武道の偉い人の話のようだが、要は俯瞰視点で見れば高速移動でもなんとなくこっちの方向が変化したなぐらいはわかるものだという話だ。
なので、九と朧はさっぱり理解ができなかった。
「縮地なんかはこれ出来ないとけっこう大変なんだよね、逆にできると焦って対応しなくて済むからね。
コツとしては全体を見つつ普通の視点はきちんと相手を捕らえて……」
結構無茶苦茶なことを言っているのだが、皆真面目にユキムラの話に耳を傾ける。
ゲームでのコツを話すとこの世界でのコツと同じというスキルのときと同じ現象で皆理解できる。
この世界でもそのまま通用するような説明も有るが、どうしてもVOでの感覚でしか話せないことも有るのでこの現象はユキムラにとって大変ありがたいものだった。
「あ、すみません師匠こんな時間まで……」
「いやいや、疑問点はその時に解決しとかないと命にかかわるからね闘いは……」
「たしかにそうですね……けど、なんか、その……戦ってばかりですね僕達……」
「そ、そうだねぇ……期限決まってるから仕方ないけど、早く終わらせてゆったりと昔みたいに開発とかに没頭したいなぁ……」
「なんか、ユキムラさんが村に来たのがはるか昔のような……」
「ソーカねーちゃん、年取らないから実感ないけど……もう二十歳越えてるんだよ中身……」
その後、皆で年取ったねぇ~、遠いとこまで来たねぇ~、と昔ばなしに花を咲かせてお茶をすすったのでありました。
朧がスッキリした様子で食堂へ入ってくる。
もちろんシャワーを浴びたとかではなく、武具に付いた汚れを丁寧に落として油を差しキラッキラになっている。
「朧は綺麗に使ってくれて嬉しいよ」
「いや、ユキムラ殿! このような逸品を無碍に扱うなどとても出来ませぬ!」
「九も本当に感謝しております」
「九、次間違えたフリしてシャワーに入ってきたら外でずっと見張りさせるからね……」
「ああ……敵も出ないセーフエリアで寝る間も惜しんで外で放置とは……ハァハァ……」
「ははは、苦労するねレン……」
「師匠~~なんとか言ってくださいよ~~」
「いやー、俺が言ってもねぇ……」
皆激戦の疲れと汚れを落としてゆったりと食事を楽しむ。
そうして明日からの闘いの火にまた燃料を焚べるのだ。
「ユキムラさんちょっといいですか?」
ユキムラの寝室にソーカが訪れる。まぁ公認のカップルなのだからこういうこともたまにはある。
まぁ、今日は他のメンバー全員一緒だ。
「あれ、皆揃ってどうしたの?」
「ユキムラちゃん今日みたいな闘いだと私とかソーカちゃんはどうしても貢献しにくいのよ、どうすればいいか考えたんだけどなかなかいい方法が浮かばなくて……」
「拙者もちょっと人魂飛ばしてただけで……」
「師匠、今日の立ち回りはあれでよかったのですか?」
「範囲阻害を効率よく使う方法を聞きたくて~」
こんな感じで食後にはお勉強時間になることが多い。
最近の戦闘はVO時代とはどんどんかけ離れているものになっていっているが、不思議とユキムラはVOの知識でこの世界の闘い方を理解していた。
そして、VOの技術でこの世界でも戦っている。
VO時代の経験や戦略などを話すと自然のこの世界の戦闘での話で伝わっている。
「それにしても、羅刹の初動はかなり焦りました。
多分一瞬だったと思うんですが、あの一瞬があれば崩壊する。
師匠がいつも言っていることが頭をよぎりました」
「そう言えば、タロ、加速は使わないの?」
「ワフ……」
タロはとことこと朧と九の前に立って「わーうん」と鳴く。
「ああ、二人がまだ使えないからか……」
「ウォフ!」
「効果範囲がパーティなのか、そういや使ってないね確かに……」
そうなってくると、ゲストを連れてくる事が危険になる状況が有るのじゃないか?
ユキムラに一抹の不安がよぎる。
「うー、ワウ! わん! わおーん、くーん、わんわん!」
「いざとなったらパーティを解散してゲストを強制的に外へ出せばいいから気にしなくていい?
なるほど。確かにそうか……」
タロは嬉しそうにパタパタと尻尾を振っている。
VOでもキックと呼ばれる方法だ。
MD内でPTから外すと復活地点に飛ばされてMDには戻れない。
まぁ、よほど問題があるメンバーに用いる方法を今回はメンバーを救うために使う。
まぁ、VOではあんまりむやみに使えば自分がBANされてしまう。
ユキムラはVOでキックをどんな時でも使わずにいたので、躊躇してしまいそうで不安になる。
「うー……バウ!」
「心配するな? いざとなったら私がやる……ありがとうタロ! 頼りにしてるよ!」
本当にタロは頼りになる仲間だ。
忘れてしまいそうになるが、こんなに和やかな時間を過ごしているのはダンジョンの中だ。
高級ホテルのような部屋も持ち運べるコテージなのだ。
「ごめん、話がそれたね。
あのくらいの速度になっても何よりも動揺しないこと、自分たちよりも強い存在なんているのが当たり前なんだから。
その上で違和感を感じられるようにしておくのがコツかなぁ、見えて無くてなんか変だな? って……」
ユキムラの話は見るのではなく感じるという、何か高尚な武道の偉い人の話のようだが、要は俯瞰視点で見れば高速移動でもなんとなくこっちの方向が変化したなぐらいはわかるものだという話だ。
なので、九と朧はさっぱり理解ができなかった。
「縮地なんかはこれ出来ないとけっこう大変なんだよね、逆にできると焦って対応しなくて済むからね。
コツとしては全体を見つつ普通の視点はきちんと相手を捕らえて……」
結構無茶苦茶なことを言っているのだが、皆真面目にユキムラの話に耳を傾ける。
ゲームでのコツを話すとこの世界でのコツと同じというスキルのときと同じ現象で皆理解できる。
この世界でもそのまま通用するような説明も有るが、どうしてもVOでの感覚でしか話せないことも有るのでこの現象はユキムラにとって大変ありがたいものだった。
「あ、すみません師匠こんな時間まで……」
「いやいや、疑問点はその時に解決しとかないと命にかかわるからね闘いは……」
「たしかにそうですね……けど、なんか、その……戦ってばかりですね僕達……」
「そ、そうだねぇ……期限決まってるから仕方ないけど、早く終わらせてゆったりと昔みたいに開発とかに没頭したいなぁ……」
「なんか、ユキムラさんが村に来たのがはるか昔のような……」
「ソーカねーちゃん、年取らないから実感ないけど……もう二十歳越えてるんだよ中身……」
その後、皆で年取ったねぇ~、遠いとこまで来たねぇ~、と昔ばなしに花を咲かせてお茶をすすったのでありました。
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