老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
200話 ガニとイオラナ
センテナの街へ到着して二日目の朝。
最高のホテルで素晴らしい時間を過ごした一同は、日の出に照らされる一面の海の輝きを受けながらの目覚めという、これまた最高の1日の始まりを迎えることが出来た。
「師匠おはようございます! 今日は領主とギルド長との面会がありますので正装でお願いしますね」
「ユキムラちゃーんおはよー。新作できたから着てみてねー」
「凄いですよーこの服! 超かわいいんですよー!」
サナダ街のイメージカラーである赤と、暑い気候に合わせて黒はポイントで使うだけ、全体をホワイトでまとめた新衣装。確かにこっちのほうが可愛い感じで女性は喜びそうだ。
 現にソーカもこちらの衣装のほうが年相応の可愛らしい女の子っぽくてよく似合っている。
「可愛らしくてよく似合ってるよソーカ」
スラッとそういうことが言えるようになったイケメン主人公。
効果は抜群だ。
「あ、あ、ありがとう……ございます」
真っ赤になってうつむいてしまうソーカ、耳までりんごのように赤くなっている。
レンやヴァリィはパタパタと顔を仰いでいる。ごちそうさま。と言うやつだ。
これまた行き届いた朝食を済ませ予定通りに領主との面談の場へと向かう。
すでに2つの街の領主からの推薦状が届いており、白狼隊自身も書状を持参しているためにVIP待遇を受けさせてもらっている。
向かえの馬車も立派なものだった。
が。ユキムラとレンはその場で魔改造を施してサナダ商会製サスペンション付き馬車に改造する。
「い、一体何を……?」
馬車を引い聞いてきた行者の人も突然タイヤ部分をいじりだしたメンバーにあっけにとられるも、改造後走り出してすぐにその変化に驚きを隠せなかった。
「す、すごい……氷の上を滑っているかのようだ……」
あとで説明はするつもりだが、その御者の感想で咎められることは無いだろうと確信するユキムラたちだった。
その御蔭で酷い馬車酔いをすること無く領主の館へと到着することにも成功した。
センテナの街はフィリポネア共和国のほぼ中央に位置する島に作られた街だ。
近くにこの国唯一のダンジョンである海底洞窟の入り口があり、それを管理している街でもある。
当然冒険者の出入りも多く、商業の要としての働きを背負っている。
街全体を大きめな城壁で囲っており、街全体の発展度合いも王都であるフィリポネアについで立派な作りになっている。
海風にも強い海楼石を用いた色鮮やかな漆喰を用いたカラフルな町並みは訪れる冒険者や商人、旅人の目を大いに楽しませる。
気候としては亜熱帯と言っていいほど暑い。
常に海からの風があるにも関わらずそこまで湿度が高くなく、思っているよりその暑さが苦痛にならないというのが訪れた人間の感想だ。それでも暑いが……
領主の館は真っ白な漆喰の館で高級住宅街が並ぶ区域に構えられていた。
ヤシの木にも似た熱帯地域独特の木々が並ぶ美しい庭園の奥にその建物は佇んでいる。
過美ではないが行き届いた管理がこの屋敷の持ち主の実直な正確を写しているような印象を受ける。
「素敵なお屋敷ですね」
「そう言っていただくと主も喜びます。特に庭は主自身が常に気を使って管理しております」
馬車が止まり屋敷の周りに降り立つ。
一面緑の絨毯に美しい花々の生け垣、周囲の柵から完全に圧迫感を取り除くことに成功している木々の配置。確かに考え抜かれた庭園なのだろうと思わせる。
「素晴らしい美的センスを持っていらっしゃるわねぇこの街の領主さんは……」
ヴァリィもすっかりこの庭の虜になっている。
その言葉に行者はニコニコと笑顔になって館の扉を開けてくれる。
開かれた扉の先には執事姿の使用人やメイドたちが立ち並んでいた。
「ようこそセンテナの街へ、サナダ白狼隊の皆様お待ちしておりました。
私がこの街センテナの領主を務めておりますガニと申します」
その中央で待つ人物がこの街の領主であるガニであった。
礼装でもはっきりと分かる鍛えられた肉体、きっちりと刈り揃えられたツーブロックの髪型と合わさり軍人の様な印象を受ける。
太い眉にはっきりとした顔立ち、日に焼けた肌。男らしさが溢れ出ている。
後に聞いた話ではこの街の女性たちの人気も凄まじいそうだが、40半ばでも嫁を娶っておらず、その席はこの街の女性たちの憧れのポジションとなっているそうだ。
「はじめまして、ユキムラと申します」
握手する手からもその肉体が見た目通りの強靭な力を秘めていることがユキムラにも伝わってきた。
「皆さんのご活躍の数々は報告を受けております。
海底洞窟にも挑まれるそうで、もし制覇されれば前人未到の偉業となります。
個人的にも是非にその偉業を成し遂げていただきたいと思っております。
ご紹介が遅れました。こちらがフィリポネア共和国冒険者ギルド、総ギルドマスターの……」
ガニの隣に立っていた、褐色の女性が一歩前に出る。
「イオラナと申します。よろしくお願いいたします」
深々と頭を下げる。
漆黒の長髪が光に輝くようで、黄金とも言える瞳、華やかな赤い口紅、身にまとうは真っ白なローブ、魔法職の、しかも一流の雰囲気が見て取れる。
絶世の美女だった。
「彼女はまだ20歳だが、魔術の天才で海底洞窟ダンジョンの最深部到達パーティの一員だ。
彼女はこの地に伝わるある部族の長の娘で、前ギルドマスターの娘さんだ。
私も昔からの付き合いだが、切れ者でな。今の職務も十二分にこなしている」
ガニが追加の説明をしてくれる。 ガニ自身もそのパーティの一員だそうだ。
「ガニ様、立ち話も何ですから続きは奥でゆっくりとお話しましょう」
挨拶も済み、一同は奥に通される。
そこもまた美しい中庭に作られた東屋だった。
最高のホテルで素晴らしい時間を過ごした一同は、日の出に照らされる一面の海の輝きを受けながらの目覚めという、これまた最高の1日の始まりを迎えることが出来た。
「師匠おはようございます! 今日は領主とギルド長との面会がありますので正装でお願いしますね」
「ユキムラちゃーんおはよー。新作できたから着てみてねー」
「凄いですよーこの服! 超かわいいんですよー!」
サナダ街のイメージカラーである赤と、暑い気候に合わせて黒はポイントで使うだけ、全体をホワイトでまとめた新衣装。確かにこっちのほうが可愛い感じで女性は喜びそうだ。
 現にソーカもこちらの衣装のほうが年相応の可愛らしい女の子っぽくてよく似合っている。
「可愛らしくてよく似合ってるよソーカ」
スラッとそういうことが言えるようになったイケメン主人公。
効果は抜群だ。
「あ、あ、ありがとう……ございます」
真っ赤になってうつむいてしまうソーカ、耳までりんごのように赤くなっている。
レンやヴァリィはパタパタと顔を仰いでいる。ごちそうさま。と言うやつだ。
これまた行き届いた朝食を済ませ予定通りに領主との面談の場へと向かう。
すでに2つの街の領主からの推薦状が届いており、白狼隊自身も書状を持参しているためにVIP待遇を受けさせてもらっている。
向かえの馬車も立派なものだった。
が。ユキムラとレンはその場で魔改造を施してサナダ商会製サスペンション付き馬車に改造する。
「い、一体何を……?」
馬車を引い聞いてきた行者の人も突然タイヤ部分をいじりだしたメンバーにあっけにとられるも、改造後走り出してすぐにその変化に驚きを隠せなかった。
「す、すごい……氷の上を滑っているかのようだ……」
あとで説明はするつもりだが、その御者の感想で咎められることは無いだろうと確信するユキムラたちだった。
その御蔭で酷い馬車酔いをすること無く領主の館へと到着することにも成功した。
センテナの街はフィリポネア共和国のほぼ中央に位置する島に作られた街だ。
近くにこの国唯一のダンジョンである海底洞窟の入り口があり、それを管理している街でもある。
当然冒険者の出入りも多く、商業の要としての働きを背負っている。
街全体を大きめな城壁で囲っており、街全体の発展度合いも王都であるフィリポネアについで立派な作りになっている。
海風にも強い海楼石を用いた色鮮やかな漆喰を用いたカラフルな町並みは訪れる冒険者や商人、旅人の目を大いに楽しませる。
気候としては亜熱帯と言っていいほど暑い。
常に海からの風があるにも関わらずそこまで湿度が高くなく、思っているよりその暑さが苦痛にならないというのが訪れた人間の感想だ。それでも暑いが……
領主の館は真っ白な漆喰の館で高級住宅街が並ぶ区域に構えられていた。
ヤシの木にも似た熱帯地域独特の木々が並ぶ美しい庭園の奥にその建物は佇んでいる。
過美ではないが行き届いた管理がこの屋敷の持ち主の実直な正確を写しているような印象を受ける。
「素敵なお屋敷ですね」
「そう言っていただくと主も喜びます。特に庭は主自身が常に気を使って管理しております」
馬車が止まり屋敷の周りに降り立つ。
一面緑の絨毯に美しい花々の生け垣、周囲の柵から完全に圧迫感を取り除くことに成功している木々の配置。確かに考え抜かれた庭園なのだろうと思わせる。
「素晴らしい美的センスを持っていらっしゃるわねぇこの街の領主さんは……」
ヴァリィもすっかりこの庭の虜になっている。
その言葉に行者はニコニコと笑顔になって館の扉を開けてくれる。
開かれた扉の先には執事姿の使用人やメイドたちが立ち並んでいた。
「ようこそセンテナの街へ、サナダ白狼隊の皆様お待ちしておりました。
私がこの街センテナの領主を務めておりますガニと申します」
その中央で待つ人物がこの街の領主であるガニであった。
礼装でもはっきりと分かる鍛えられた肉体、きっちりと刈り揃えられたツーブロックの髪型と合わさり軍人の様な印象を受ける。
太い眉にはっきりとした顔立ち、日に焼けた肌。男らしさが溢れ出ている。
後に聞いた話ではこの街の女性たちの人気も凄まじいそうだが、40半ばでも嫁を娶っておらず、その席はこの街の女性たちの憧れのポジションとなっているそうだ。
「はじめまして、ユキムラと申します」
握手する手からもその肉体が見た目通りの強靭な力を秘めていることがユキムラにも伝わってきた。
「皆さんのご活躍の数々は報告を受けております。
海底洞窟にも挑まれるそうで、もし制覇されれば前人未到の偉業となります。
個人的にも是非にその偉業を成し遂げていただきたいと思っております。
ご紹介が遅れました。こちらがフィリポネア共和国冒険者ギルド、総ギルドマスターの……」
ガニの隣に立っていた、褐色の女性が一歩前に出る。
「イオラナと申します。よろしくお願いいたします」
深々と頭を下げる。
漆黒の長髪が光に輝くようで、黄金とも言える瞳、華やかな赤い口紅、身にまとうは真っ白なローブ、魔法職の、しかも一流の雰囲気が見て取れる。
絶世の美女だった。
「彼女はまだ20歳だが、魔術の天才で海底洞窟ダンジョンの最深部到達パーティの一員だ。
彼女はこの地に伝わるある部族の長の娘で、前ギルドマスターの娘さんだ。
私も昔からの付き合いだが、切れ者でな。今の職務も十二分にこなしている」
ガニが追加の説明をしてくれる。 ガニ自身もそのパーティの一員だそうだ。
「ガニ様、立ち話も何ですから続きは奥でゆっくりとお話しましょう」
挨拶も済み、一同は奥に通される。
そこもまた美しい中庭に作られた東屋だった。
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