老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
187話 強ボス
朝日が昇り白狼隊のメンバーは朝の鍛錬を行う。
「やっぱ空が見えていると楽ですね」
「そうだね。気分が違うよね」
「生活リズムが崩れにくいから調子も崩れにくそうですよね」
「やっぱり人間には陽の光が必要だってことだね」
ユキムラの口からそんな言葉が出るようになるとは、この世界は偉大だ。
一通り体を動かし朝食を取って本日のダンジョン攻略が始まる。
平面の作りのダンジョンのせいで単純に成りがちなダンジョンが、様々なギミックによって飽きさせること無くどんどんダンジョンの奥へとプレイヤーを誘っていく。
そういう点は冒険もゲームも同じだ。
「うーん。レベルが高いと宝物の中身が素晴らしー!」
「上級素材枯渇してましたもんね」
「助かるよー、武具も素材に戻せば色々手に入るし。やはり宝箱にはロマンが詰まっている」
「次のときには持っていくアイテム更に吟味しないとですね」
「あとテンゲンとケラリスがあるのよねぇ~」
「女神様、どうか容量を増やしてください……」
軽口を叩く余裕もある白狼隊は和気藹々と森の中を突き進んでいく。
それでも森の様相は深くなっていくと変わっていく。
数日立つと初めの頃とは全く様子がちがう森へと変貌する。
「なんか怪しい花が増えてきましたね」
不気味な花が森中に蔦を伸ばしてきている。
「敵のレベルも上がってきている。油断せずにいこう」
現れる敵のバリエーションも豊富でリビングアーマー、ゴーレム、人面樹、ジャイアントエイプ、ワーウルフ、グランドベア、などなど、様々な敵が襲い掛かってくる。
「あー、インプうざいよー」
インプというのは小悪魔のようなフヨフヨと浮いている奴らなのだが、弓による攻撃を絶え間なく行ってきて、地味にこのレベルだと馬鹿にできない攻撃力を持つので守備を疎かにできない。
それに防御を割いていると他の敵がどんどん割り込んでくる。
強い魔法耐性があるので厄介さに拍車が掛かる。
ユキムラが弓で落としていくが、数も多いのでまた面倒くさい。
インプの掃除が終わってやっと他の敵の排除に本格的に移行できる。
そのせいで戦闘時間が長くなりがちになっている。
「ふ~~~~~。やばいね、今日はまだセーフゾーン見つけてないのに日が暮れてきたな……」
「いつもの感じだともう少し掛かりそうですね」
「暗視下戦闘も覚悟して準備しといてくれ」
日が落ちると視界が悪くなりそしてこちらは照明を用意して進むので敵から発見され不意をつきにくくなる。いままでは俯瞰視点で完全に有利な状態で戦闘を開始できることも多かったのだ。
その優位性を失ってしまうことになる。
「暗視」
もちろん戦闘は補助魔法でしっかりと敵を捉えることができるので、被害が増えることはない。
それでも暗闇というのは人の心に重く疲労を強いるものだ。
「ユキムラさんこの先に少し開けたところがありますね」
「お、セーフゾーンだといいけど……」
「今日は疲れたわねぇ……」
「ヴァリィ!! 前方防御展開!!」
「!!?」
ギャリィン! ヴァリィの棍が相手の攻撃を弾く。
目の前に日本の武士のようなカッコをした敵が突然現れて斬りつけてきた。
「ぐ……」
「ソーカ!!」
「へ、平気です。かすっただけです……」
ソーカの左腕がバックリと切れている。ソーカのそばに立っていた忍者の格好をした敵は闇に溶けるように消える。
「レン、ソーカの治療を、毒使用だと思う。サムライとニンンジャだね。
ヴァリィ悪いけど俺が前にでるよ!」
ユキムラが中衛から一気に前衛へと走り出す。タロも並走する。
「いまのが敵の瞬身による攻撃ね、まだ慣れてないだろうから俺がやる!」
暗闇に突然現れる敵、そして振り下ろされる攻撃、ユキムラは焦ること無く攻撃を捌き的確にカウンターを合わせていく、刀と剣がふれあい火花が散り、次の瞬間にはユキムラの剣が敵を斬り伏せている。
両手にそれぞれ片手剣を持つ二刀流スタイル。
一斉に襲いかかるサムライとニンジャ、大きなサムライの攻撃の影にニンジャの素早く死角を突く攻撃が重なる。
ユキムラは雨あられのように降り注ぐその攻撃を払い、いなして躱す。
まさに舞のように正確に敵の攻撃を受けてはカウンターを決めていく、刀を受ける火花はとどまること無く連続で闇夜に浮かび続ける。
たった一人で敵数十人を翻弄して斬り捨てる。
ここのところ忘れていたが、これがユキムラの実力なのだ。
「!?」
巨大な斬撃がユキムラを襲う。
カウンターではなくCrGでその攻撃を受ける。
目の前には巨大な甲冑が現れる。
「ショーグンが出るレベルか……」
ボス、ショーグン。
サムライ系のボスでサムライ、ニンジャ、火縄兵なんかを取り巻きにしてくる厄介な敵。
強さの割にドロップがしょぼいのでVOでは不人気ボスだ。
しゃっ……
静かだが凄まじい速さの一振りがユキムラの立っていた場所を横払いで斬り払った。
寸前で身をかがめ躱すユキムラ。ショーグンの不人気の一つ、予備動作無く来る超高速防御不能技。
ユキムラはその後にできる一瞬の隙きに考えたわけではなく技を放つ。
「サウザンドストーム」
双剣と魔法で作られた剣が一斉にショーグン周囲の取り巻きを含めて降り注ぐ。
その間にユキムラはショーグンとの距離を取る。
間合い内で高速斬撃を受けながら防御不能技を見切るのは骨が折れる。
戦いは仕切り直される。
「やっぱ空が見えていると楽ですね」
「そうだね。気分が違うよね」
「生活リズムが崩れにくいから調子も崩れにくそうですよね」
「やっぱり人間には陽の光が必要だってことだね」
ユキムラの口からそんな言葉が出るようになるとは、この世界は偉大だ。
一通り体を動かし朝食を取って本日のダンジョン攻略が始まる。
平面の作りのダンジョンのせいで単純に成りがちなダンジョンが、様々なギミックによって飽きさせること無くどんどんダンジョンの奥へとプレイヤーを誘っていく。
そういう点は冒険もゲームも同じだ。
「うーん。レベルが高いと宝物の中身が素晴らしー!」
「上級素材枯渇してましたもんね」
「助かるよー、武具も素材に戻せば色々手に入るし。やはり宝箱にはロマンが詰まっている」
「次のときには持っていくアイテム更に吟味しないとですね」
「あとテンゲンとケラリスがあるのよねぇ~」
「女神様、どうか容量を増やしてください……」
軽口を叩く余裕もある白狼隊は和気藹々と森の中を突き進んでいく。
それでも森の様相は深くなっていくと変わっていく。
数日立つと初めの頃とは全く様子がちがう森へと変貌する。
「なんか怪しい花が増えてきましたね」
不気味な花が森中に蔦を伸ばしてきている。
「敵のレベルも上がってきている。油断せずにいこう」
現れる敵のバリエーションも豊富でリビングアーマー、ゴーレム、人面樹、ジャイアントエイプ、ワーウルフ、グランドベア、などなど、様々な敵が襲い掛かってくる。
「あー、インプうざいよー」
インプというのは小悪魔のようなフヨフヨと浮いている奴らなのだが、弓による攻撃を絶え間なく行ってきて、地味にこのレベルだと馬鹿にできない攻撃力を持つので守備を疎かにできない。
それに防御を割いていると他の敵がどんどん割り込んでくる。
強い魔法耐性があるので厄介さに拍車が掛かる。
ユキムラが弓で落としていくが、数も多いのでまた面倒くさい。
インプの掃除が終わってやっと他の敵の排除に本格的に移行できる。
そのせいで戦闘時間が長くなりがちになっている。
「ふ~~~~~。やばいね、今日はまだセーフゾーン見つけてないのに日が暮れてきたな……」
「いつもの感じだともう少し掛かりそうですね」
「暗視下戦闘も覚悟して準備しといてくれ」
日が落ちると視界が悪くなりそしてこちらは照明を用意して進むので敵から発見され不意をつきにくくなる。いままでは俯瞰視点で完全に有利な状態で戦闘を開始できることも多かったのだ。
その優位性を失ってしまうことになる。
「暗視」
もちろん戦闘は補助魔法でしっかりと敵を捉えることができるので、被害が増えることはない。
それでも暗闇というのは人の心に重く疲労を強いるものだ。
「ユキムラさんこの先に少し開けたところがありますね」
「お、セーフゾーンだといいけど……」
「今日は疲れたわねぇ……」
「ヴァリィ!! 前方防御展開!!」
「!!?」
ギャリィン! ヴァリィの棍が相手の攻撃を弾く。
目の前に日本の武士のようなカッコをした敵が突然現れて斬りつけてきた。
「ぐ……」
「ソーカ!!」
「へ、平気です。かすっただけです……」
ソーカの左腕がバックリと切れている。ソーカのそばに立っていた忍者の格好をした敵は闇に溶けるように消える。
「レン、ソーカの治療を、毒使用だと思う。サムライとニンンジャだね。
ヴァリィ悪いけど俺が前にでるよ!」
ユキムラが中衛から一気に前衛へと走り出す。タロも並走する。
「いまのが敵の瞬身による攻撃ね、まだ慣れてないだろうから俺がやる!」
暗闇に突然現れる敵、そして振り下ろされる攻撃、ユキムラは焦ること無く攻撃を捌き的確にカウンターを合わせていく、刀と剣がふれあい火花が散り、次の瞬間にはユキムラの剣が敵を斬り伏せている。
両手にそれぞれ片手剣を持つ二刀流スタイル。
一斉に襲いかかるサムライとニンジャ、大きなサムライの攻撃の影にニンジャの素早く死角を突く攻撃が重なる。
ユキムラは雨あられのように降り注ぐその攻撃を払い、いなして躱す。
まさに舞のように正確に敵の攻撃を受けてはカウンターを決めていく、刀を受ける火花はとどまること無く連続で闇夜に浮かび続ける。
たった一人で敵数十人を翻弄して斬り捨てる。
ここのところ忘れていたが、これがユキムラの実力なのだ。
「!?」
巨大な斬撃がユキムラを襲う。
カウンターではなくCrGでその攻撃を受ける。
目の前には巨大な甲冑が現れる。
「ショーグンが出るレベルか……」
ボス、ショーグン。
サムライ系のボスでサムライ、ニンジャ、火縄兵なんかを取り巻きにしてくる厄介な敵。
強さの割にドロップがしょぼいのでVOでは不人気ボスだ。
しゃっ……
静かだが凄まじい速さの一振りがユキムラの立っていた場所を横払いで斬り払った。
寸前で身をかがめ躱すユキムラ。ショーグンの不人気の一つ、予備動作無く来る超高速防御不能技。
ユキムラはその後にできる一瞬の隙きに考えたわけではなく技を放つ。
「サウザンドストーム」
双剣と魔法で作られた剣が一斉にショーグン周囲の取り巻きを含めて降り注ぐ。
その間にユキムラはショーグンとの距離を取る。
間合い内で高速斬撃を受けながら防御不能技を見切るのは骨が折れる。
戦いは仕切り直される。
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