老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
36話 散策は続くよ
素材屋などを冷やかすが村産の物が置かれているか、それ以上の品質のものには出会うことはなかった。というか、街全体にファス村の商品がいたるところで扱われていた。
「もしかしてさ、ファス村って儲かってる?」
「師匠、今更ですか? 儲かってるなんてもんじゃない。ってレベルですよ。
そうじゃなければあれだけの勢いで村が拡張するわけがないじゃないですか、師匠が思いつきでどんどん構想を話して、みんながどれだけ影で動いているか、少しは振り返ったほうがいいですよー。
でも、そのまんまのほうが師匠らしいです!」
キラキラとエフェクトがつきそうな笑顔だ。
「俺はレンと出会えて幸せだな」
くしゃくしゃとレンの柔らかい髪をもみくちゃにする。
レンはとても嬉しそうだ。
しばらく大通りを進むと少し開けた場所に出る、そして正面にはこの町では大きめな建物が2軒。
一つは白の漆喰の壁、上品なこげ茶色の屋根と合わせて落ち着いた佇まい。
もう一つは柱材に丸太を力強く使っており、入口の扉も大きな威圧感のある雄雄しい造りだ。
「これが街の中枢である役場と冒険者ギルドになります」
レンが説明をしてくれる。
もちろん前者が役場、後者の建物がギルドだ。
「なんかイメージを良く表していていいね。
村でも全体を統一したイメージで建築をして、象徴的な建物には特徴をもたせるといいね」
「そういう師匠の要望に答えていると、莫大な利益もどんどんと還元されていくんですよ!
働き手も潤いますから経済としては健全なので素晴らしいことなんですけどね!」
やれやれ、困った師匠だ。と同時に素晴らしい師匠だ! といった喜びも含まれている。
ユキムラはいやー、なんかすまん。って感じで頭をかいている。いいコンビである。
「明後日に領主とギルド長との面会もありますし中はその時にでも見ましょう」
「そうだね。ただ、ギルドには顔出しておこう。色々とやりたいことがある」
フラグ立てたいからね。
分厚い木の扉を開けると全体的に落ち着いた色調で統一された空間が広がっていた。
木製のテーブルセットが幾つか置かれ、クエストなどの依頼を掲示するボード、カウンターは依頼受付、報酬受け取り、素材買い取りの3つの窓口が置かれている。
軽食を取れる作りになっており、簡単な料理や酒などをだすBarっぽいお店も併設されている。
道具屋の出張所のような冒険に最低限必要な道具を売っているところもある。
ギルドのこういう作りは冒険を思い起こさせて少しドキドキする。
テーブルに座っていた何人かの冒険者風パーティの目線がユキムラに集まる。
値踏みするような彼らの目線がレンを捕らえると少しやわらかくなったような気がする。
年齢的に冒険者になれなそうなレンがいるということは依頼主なんだろうという考えなのだろう。
単純にレンが可愛いからってのもあるかもしれないが。
とりあえず依頼受付に向かうユキムラ、受付は素朴ながらも笑顔が素敵なおねーさんだ。
なんとなくユキムラをポーッと見つめているような気がする。
そう言えばユキムラはため息が出る程の美男子なのだ。
「ファス村から来たユキムラと言います。冒険者登録をお願いします」
「あ……あっ! はい! 冒険者登録ですね、こちらにご記入ください」
アワアワしちゃうおねーさんはいいものですな。
ユキムラは渡された書類に記入していく。
冒険者登録と聞いて周囲の冒険者が改めてユキムラを観察し始める。
よくあるレザージャケットに得物はロングソード、溢れ出す魔力の気配を感じるのでもしかしたらミスリル製か、もしくは合金製。かなり良質だ。年は若いが少し色気さえ感じる色男。
黒髪を短く整えておりソフトモヒカンスタイル、そのくせ黒い瞳に垂れ目、泣きぼくろがセクシーな美青年。所作振る舞いも隙がない、この青年が只者ではないことは雰囲気でわかる。
「れ、レベル75!!」
受付の言葉でギルド内が騒然となる。
「馬鹿な!? こんなところで70超え!」
「王都近衛隊長クラスってことか!?」
ギルド員に言われるがままに手形に手を載せたユキムラ、しっかりとその魔道具の仕組を目に焼き付けている、周りの喧騒も耳に入っていない。
レンにツンツンと服の袖を引っ張られて初めて騒ぎに気がつく。
「なぁ、ユキムラさんっつったか? パーティとか組んでるのか? よかったらうちにこないか?」
「あ! ズリーぞガッセイ、なあユキムラさんうちに来ないか? な?」
ユキムラ争奪戦がはじまっている。
「まぁまぁ皆さん、とりあえず師匠の登録が終わってからそういうお話はしていきましょう」
「お、おう。そうだな。すまねぇな」
出来る弟子である。ユキムラはちょっと耳打ちして策を授ける。
「お待ちしている間、師匠のおごりで酒でもなんでも飲んでお待ち下さい」
一瞬の静寂の後どわーっと歓声が起きる。
話せるじゃねーか! 気持ちのいい新人が来たもんだ!
大喝采である、少し嫌な顔したバーテンダーの人もレンが耳打ちして小袋を渡すと、満面の笑みでサービスを提供していく。
騒ぎを聞きつけた冒険者仲間が集って大宴会がはじまって色々とカオスになっていくのだが、無事にユキムラは冒険者登録を済ますことが出来た。
過去最高レベルのルーキーの誕生であった。
「もしかしてさ、ファス村って儲かってる?」
「師匠、今更ですか? 儲かってるなんてもんじゃない。ってレベルですよ。
そうじゃなければあれだけの勢いで村が拡張するわけがないじゃないですか、師匠が思いつきでどんどん構想を話して、みんながどれだけ影で動いているか、少しは振り返ったほうがいいですよー。
でも、そのまんまのほうが師匠らしいです!」
キラキラとエフェクトがつきそうな笑顔だ。
「俺はレンと出会えて幸せだな」
くしゃくしゃとレンの柔らかい髪をもみくちゃにする。
レンはとても嬉しそうだ。
しばらく大通りを進むと少し開けた場所に出る、そして正面にはこの町では大きめな建物が2軒。
一つは白の漆喰の壁、上品なこげ茶色の屋根と合わせて落ち着いた佇まい。
もう一つは柱材に丸太を力強く使っており、入口の扉も大きな威圧感のある雄雄しい造りだ。
「これが街の中枢である役場と冒険者ギルドになります」
レンが説明をしてくれる。
もちろん前者が役場、後者の建物がギルドだ。
「なんかイメージを良く表していていいね。
村でも全体を統一したイメージで建築をして、象徴的な建物には特徴をもたせるといいね」
「そういう師匠の要望に答えていると、莫大な利益もどんどんと還元されていくんですよ!
働き手も潤いますから経済としては健全なので素晴らしいことなんですけどね!」
やれやれ、困った師匠だ。と同時に素晴らしい師匠だ! といった喜びも含まれている。
ユキムラはいやー、なんかすまん。って感じで頭をかいている。いいコンビである。
「明後日に領主とギルド長との面会もありますし中はその時にでも見ましょう」
「そうだね。ただ、ギルドには顔出しておこう。色々とやりたいことがある」
フラグ立てたいからね。
分厚い木の扉を開けると全体的に落ち着いた色調で統一された空間が広がっていた。
木製のテーブルセットが幾つか置かれ、クエストなどの依頼を掲示するボード、カウンターは依頼受付、報酬受け取り、素材買い取りの3つの窓口が置かれている。
軽食を取れる作りになっており、簡単な料理や酒などをだすBarっぽいお店も併設されている。
道具屋の出張所のような冒険に最低限必要な道具を売っているところもある。
ギルドのこういう作りは冒険を思い起こさせて少しドキドキする。
テーブルに座っていた何人かの冒険者風パーティの目線がユキムラに集まる。
値踏みするような彼らの目線がレンを捕らえると少しやわらかくなったような気がする。
年齢的に冒険者になれなそうなレンがいるということは依頼主なんだろうという考えなのだろう。
単純にレンが可愛いからってのもあるかもしれないが。
とりあえず依頼受付に向かうユキムラ、受付は素朴ながらも笑顔が素敵なおねーさんだ。
なんとなくユキムラをポーッと見つめているような気がする。
そう言えばユキムラはため息が出る程の美男子なのだ。
「ファス村から来たユキムラと言います。冒険者登録をお願いします」
「あ……あっ! はい! 冒険者登録ですね、こちらにご記入ください」
アワアワしちゃうおねーさんはいいものですな。
ユキムラは渡された書類に記入していく。
冒険者登録と聞いて周囲の冒険者が改めてユキムラを観察し始める。
よくあるレザージャケットに得物はロングソード、溢れ出す魔力の気配を感じるのでもしかしたらミスリル製か、もしくは合金製。かなり良質だ。年は若いが少し色気さえ感じる色男。
黒髪を短く整えておりソフトモヒカンスタイル、そのくせ黒い瞳に垂れ目、泣きぼくろがセクシーな美青年。所作振る舞いも隙がない、この青年が只者ではないことは雰囲気でわかる。
「れ、レベル75!!」
受付の言葉でギルド内が騒然となる。
「馬鹿な!? こんなところで70超え!」
「王都近衛隊長クラスってことか!?」
ギルド員に言われるがままに手形に手を載せたユキムラ、しっかりとその魔道具の仕組を目に焼き付けている、周りの喧騒も耳に入っていない。
レンにツンツンと服の袖を引っ張られて初めて騒ぎに気がつく。
「なぁ、ユキムラさんっつったか? パーティとか組んでるのか? よかったらうちにこないか?」
「あ! ズリーぞガッセイ、なあユキムラさんうちに来ないか? な?」
ユキムラ争奪戦がはじまっている。
「まぁまぁ皆さん、とりあえず師匠の登録が終わってからそういうお話はしていきましょう」
「お、おう。そうだな。すまねぇな」
出来る弟子である。ユキムラはちょっと耳打ちして策を授ける。
「お待ちしている間、師匠のおごりで酒でもなんでも飲んでお待ち下さい」
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話せるじゃねーか! 気持ちのいい新人が来たもんだ!
大喝采である、少し嫌な顔したバーテンダーの人もレンが耳打ちして小袋を渡すと、満面の笑みでサービスを提供していく。
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