老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件

穴の空いた靴下

24話 現実? でのダンジョン探索

 戦闘を終えて一息つく。

(この肉体は凄いな、ほとんど疲労というものを感じない)

 与えられた肉体が素晴らしいのか、16歳と言うのはこういうものだったか?
 思い起こそうとしてもVOをしてただけの記憶しかなく、少しへんこんだユキムラだった。

 確かにゲームのVOでも不思議に思ったふことはある。
 例えば最大HPが5000だったとして、4980のダメージを受けてしまった時に、普通に動いているキャラクターはおかしいんじゃないか?
 あと20ダメージを受ければ死ぬのに、4980のダメージを受けても普通に攻撃を続けるキャラクター。
 ま、ゲームだから。この一言で片がつく。
 しかし、今はどうなんだろう?
 まだ手傷を負わされたことはないが怪我したら痛いはずだ。
 無駄なような大事なようなことをユキムラはつらつらと考えている。

 鍛冶中にやけどは普通に熱かった。
 疲労は無いが痛みはあるみたいだ。
 怪我はどうなんだろう?
 これは実験しないといけない気がしてくる。
 というか、なぜ今思いつくのか、もっとダンジョンに入ることを考えたあたりで思いついてほしかった。実験は今度にしよう。
 ユキムラは今回はきちんと帰ることを改めて目標にしっかりと据えた。

 なお、後日実験でわかったのは戦闘など、ゲーム的要素の時におった傷は行動を阻害しない。
 日常生活でおった傷は痛い。ということがわかるのでありました。
 鍛冶も鍛冶中でミニゲーム中は熱くも痛くも痒くもない。
 でも終わってふーっと一息ついている時に火の粉でもとんでくればアツッ! となる。

 話は戻るが一戦闘終えてもユキムラは疲労を感じていない。
 刀を持つ手はユキムラの思い通りに寸分違わず動いてくれる。
 いつの間にか操作というものを完全に忘れて身体を動かしていた。
 まぁ、すでに生活の一部となっていたUBMアルティメットバトルモードに、もともと特別な意識を必要としていなかった。
 自分の思った通りの動きをさせるというのは実は現実の肉体を使っても非常に難しい。

 この世界に残されてゲーム的要素の場面ではVOのルールが適応される。
 例えばミニゲームだったり、戦闘だったり。
 ただ普段のお風呂に入ったり、スキルを使わずに調理などをするときは自分の体を普通に使ったときと変わらない。
 ユキムラの肉体は16歳、それに来訪者としてのステータスの上乗せをされた身体能力となっている。
 今は全Str振りにしているが最終的には全ステカンストまで行けるはずだ。
 ゲームと同様の仕様なら。

 あとは年齢はどうなんだろうか?
 VOでは年齢は変わらない、40年前始めてユキムラがVOの世界に生まれてから、40年後サービス終了まで16歳のままだ。これはどうなっているのか?
 まだまだわからないことばかりだった。
 それでもユキムラに不安はなかった。
 自分にとって初めてまともに生きているこの世界、今ユキムラの夢と希望はこの世界に秘められている。

 ユキムラは自分の体の状態を確認しながらダンジョンを進んでいく。
 暫く進むと新たなモンスターに出会った。
 大きいネズミ。ジャイアントラットだ。
 ダンジョンの浅い階層から深いとこまでよくいるモンスターだ。
 一説によると冒険者の道具やら、まぁ死体やらなんでも食べる。
 掃除屋的な働きをしているなんて都市伝説もある。
 ジャイアントラットを倒すとたまに変なアイテムを落とす。
 そのレベル帯のダンジョンでは得られないようなレアアイテムが出たりするのは、実は冒険者たちの荷物を腹に納めているからだ。なんて言われている。

 戦いでは素早い動きと壁も走る機動力、鋭い牙と体当りが強力で、もう一つが数が多い。
 VOのシステムだと敵に囲まれている数が多いと、防御力が落ちたり回避率が下がってしまう。
 なのでラットだからと侮っていると気がつけばHPを削られて殺られている、なんてことも起きるので注意が必要だ。
 カウンターやクリティカルガードは敵の数が多くても問題がないので、襲いかかるラットの攻撃にしっかりとカウンターを合わせているうちに、ユキムラの足元にはジャイアントラットの魔石が積まれていく。

 コンソールをOnにしている時に見える俯瞰視点によって四方八方、死角なく対応できる。
 ワラワラと飛びかかってくるラットを受けては斬り、受けては斬る。
 こういう状態で無理に手動で攻撃に移ると絶対に防御のできない時間が出来てしまうため、カウンターのみに攻撃手段を絞る。
 実際にはフレーム単位でカウンターをしなければいけないので常人では不可能だ。
 まぎれもなくVOというゲームの操作に関してユキムラは超能力と言っていいほどの力を持っている。
 人間として社会で生きていく一切を犠牲に40年間たゆまぬ努力? をしてきた人間の、一つの至った境地であった。

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