俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第11章 #47「飛び出してきたのは…」

 「ウルアァァァ!!」

 「…フゥーー」

 ベオウルフマンが再び爪で襲い掛かろうとしているなか、落ち着かせるためにゆっくり深く息を吐く俺。ついでに大丈夫、大丈夫と自己暗示も掛けておいた。まあ気休めにしかならないが。

 俺が今できること。まずは相手の目を潰すこと。今持っている木の枝でなんとか片目だけでも潰せれば死角ができて多少は勝機が見えてくるはず。

 そのためには相手の顔の近くまで接近しないといけない。遠くから投げても当たる可能性は極めて低いからな。

 だから、できるだけ引きつけてからこの木の枝をベオウルフマンの目にブッ刺す。

 しかし、それはかなりリスクが高い。タイミングを読み間違えれば串刺しにされるし、さっきみたいに風圧で飛ばされてどこかを強打しても終わりだ。普通に考えてみればこの作戦、ほぼ無謀だな。

 だが、まともに動けない俺達にできることなんてほとんどない。その状態でできることを頭をフル回転で考えた結果がこの作戦だ。

 「ウオォォォォォ!!」

 ベオウルフマンが雄叫びを上げながら近づいてきた。

 タイミングミスったらおわり、タイミングミスったらおわり、タイミングミスったらおわり…

 自分に言い聞かせるように何度も何度も心の中で呟き、神経を全集中させる。

 「…ッ! 今…」

 そして、タイミングを見計らい、俺は手に持った木の枝でベオウルフマンの目を突き刺そうとした。

 ザッザッザッザッザッ

 「ッ?!」

 そのとき、ベオウルフマンの後ろから走る音が聞こえてきた。

 そのせいで一気に集中力がなくなってしまったが、ベオウルフマンも後ろの足音が気になったようで攻撃をやめ、後ろの方に視線を移した。

 足音はものすごい勢いでこっちに向かってきている。ベオウルフマンの背中がデカすぎて見えないが。

 だが、みのりは上空からだし、梓はそんなに速く走れない。じゃあ一体だれなんだ? くそ、もし新手のモンスターだとしたら1番最悪の展開だ。ただでさえ目の前にいるモンスターに窮地に追いやられているっていうのに、それ以上のモンスターなんて相手にできないぞ。

 「まだあきらめたらあかんでー!?」

 「ッ?!」

 そう思っていたが、突然大声で関西弁を喋る男の声が聞こえてきた。まさか、俺達と同じ日本人の冒険者か? 日本人はかなり久しぶりに見たってシルヴィアさんが言ってたと思うけど。

 「とおうっ!!」

 「ッ?!」

 威勢のいい声と共にベオウルフマンの前に男の声をした人が勢いよく飛び出してきた。

 のだが、飛び出してきたのは日本人ではなく、全身青い鱗に覆われた人型のトカゲだった。

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