俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第10章 #12「有紗と2人で(前編)」

 ---「さてさてさーて、どうしよっかなー?」

 みのり誘いを断られた俺は1人歩きながらこれからどうしようかと考えていた。

 梓達と合流しようかと思ったが、梓達は今、お化け屋敷の行列に並んでいて動けないらしい。並んでしまった以上、行かないわけにはいかないだろし、仕方ないか。

 そうなると梓達はしばらく合流出来そうにない。梓も「私達、先に食べたから、食べに行ってていーよ!」とラ◯ンに書いてあったしな。

 「……」

 しかし困ったものだ。学園祭の中で1人昼メシを食べるのって、思いのほか勇気がいる。

 周りはみんな友達とか恋人とかと一緒に模擬店の焼きそばとかたこ焼きとか、談笑しながら楽しそうに食べている。

 そんな中、1人で黙々と焼きそばを食べる俺を周囲の人間が見たらどう思われるだろうか?

 「…丸岡でも誘おうかな?」

 そう思った俺は丸岡を誘おうとスマホを取り出した。たしか丸岡クラスは梓達が並んでいるお化け屋敷のはずだが、アイツ今大丈夫だろうか?

 「あっ」

 「ん?」

 俺が丸岡に連絡を取ろうとしたそのときだった。目の前からだれかの声が聞こえてきた。

 俺はふと前に視線を移すとそこには有紗の姿があった。

 「おお、有紗か。おつかれ」

 「…おつかれ」

 いちおう声をかけてみると、一拍ほど間を空けてからなにか言いたそうな表情を浮かべながらも返事を返した。

 「和彦、アンタここでなにしてんのよ?」

 「えっ?! い、いや、特に、なにも…」

 そんな有紗に今なにしてるのかを問いかけられ、俺は若干慌てながらも返した。さすがに『みのりに昼メシ誘ったけど断られて、梓達とも合流出来そうになく、仕方なく1人でいる』なんてかわいそうなこと言えるわけがない。

 「ふーん、そっか」

 有紗は俺の返事に特になんの疑問も持たず納得してくれた。

 「あっ、そうだ!」

 「?」

 そんな有紗を見ていてふと俺はあることを思いついた。

 「有紗、昼メシは?」

 「えっ? まだ、だけど」

 「なら、一緒に昼メシ食いに行かね?」

 「い、一緒に?! 私と、アンタだけで?!」

 「うん。そうだけど」

 俺は思いきって有紗を誘ってみることにした。

 有紗は基本的に学校では1人で行動することが多い。現に今も1人でうろついていたようだしな。

 それに同じ食卓を囲っている間柄だし、たまには外で一緒に食べるのも悪くないと思い、誘ってみたのだ。別にみのりに断られたから有紗にしたわけじゃないからな。

 「しょ、しょうがないわね。どうしてもって言うんなら、別にいいけど」

 「? そっか。なら、よかった」

 有紗は俺の誘いを承諾してくれたのだが、なぜかツンデレ口調になっていた。なぜ急にツンデレ?

 そんなことを思いながらも俺は有紗と2人で昼メシを食べることにした。

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