俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第9章 #31「吸血『鬼』だけに」

 「注射器?」

 「はい」

 「な、なんであなたがそれを?」

 それを見て俺はキョトンとしてしまっていたが、風見先輩はその注射器に心当たりがあるようで、みのりになぜそれを持っているのか、問いただしていた。

 「さっきも言ったと思いますが、私は血の匂いに敏感なんです。風紀委員長さんが机の引き出しの中に隠しているのはすぐに気づきましたよ」

 「ッ!?」

 それに対して、みのりは自慢気にそう言い返すと、風見先輩は驚愕していた。俺、微妙に話についていけてないのだが。

 「あ、あのさ」

 「なんですか、和彦君」

 「その注射器ってなんなの?」

 そう思った俺はみのりに問いかけてみることにした今は空になっているが、おそらくなにかを風見先輩に注射したのだろうが、一体なにを注射したのだろうか?

 「これは淫魔専用の抑制剤、人間の血液が摂取されているただの注射器ですよ」

 「なんでそこまで知ってるのよ!?」

 「サキュバスのことについては色々調べましたから」

 俺の問いかけにみのりが返すと、風見先輩はまた驚愕していた。たしかに、よくそこまで調べたなと思う。

 「じゃ、じゃあ、風見先輩の性欲は抑えられたってこと?」

 「人を痴女みたいに言わないでよ!?」

 「…すいません」

 そんなみのりに俺は色々聞こうとしたが、誤解を招きそうなことを言ってしまい、風見先輩に一喝されてしまった。あれを痴女と言わずしてなんと言えばいいのかわからないのだが、とりあえず俺は謝罪することにした。

 「さてと、それじゃあ風紀委員長さん」

 「な、なによ?」

 俺が謝罪し終えると、みのりは笑顔を浮かべながら、風見先輩に話しかけてきた。あの笑顔、絶対なんか企んでるな。

 「この画像、ネットに上げられたくなければ、今すぐ和彦君から離れてください。そして今後2度と和彦君に近寄らないでください」

 「ッ!? ああああなた、そそそそれ…」

 するとみのりは自分のスマホの画面を風見先輩に見せつけると、笑顔で脅迫してきた。

 スマホの画面には風見先輩のシャツだけしか着ていない、今の姿が写っていた。みのりのやつ、いつの間にか風見先輩のあられもない姿を撮影していたようだ。

 それを見せつけられた風見先輩は再び顔を真っ赤にしながら驚愕していた。驚愕するあまりろれつが回らないほどだ。

 「さあ、風紀委員長さん。3秒以内に返答を。3、2、」

 「う、うわぁぁぁぁぁん!」

 そして驚愕する風見先輩にさらに追い討ちをかけるようにツ◯ッターのツイート画面にその画像を貼り付け、すぐにでもツイートできる態勢で3カウントを始めた。

 それを見せつけられた風見先輩は一目散に走り去って行った。さすがサキュバス。あっという間に姿が見えなくなっていった。

 「ふふっ♡ これで一件落着ですね」

 風見先輩の姿が見えなくなると、みのりは満面の笑みを浮かべるのだった。まさに鬼だな。吸血『鬼』だけに。

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